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弁護側の証人 (集英社文庫)弁護側の証人 (集英社文庫)
(2009/04/17)
小泉 喜美子

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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


1963年に発表された、叙述ミステリの古典。
ヌードダンサーで生計を立てていた蓮子が、八島財閥の御曹司・杉彦と出会い見染められ結婚する。
だが、新婚生活もそこそこに義父が何者かに殺害される。。。真犯人は誰か。。。?

アガサ・クリスティの 『検察側の証人』 がモチーフになっており、大どんでん返しが待ち受ける叙述ミステリ。
そのため、あらすじも書くのに苦労します。(笑)
昨今では叙述ミステリは定着しており、さほど珍しくない手法ですが、60年代という時代背景を考えると、当時はかなり衝撃的な作品だったのでは?と思います。


250ページと長篇と呼ぶにはいささか物足りない量ではありますが、主人公・蓮子の独白による今と、三人称による過去を交互に描く構成になっている。
そしてその中では、仕組まれた叙述トリックだけではなく、“冤罪”という社会派なテーマを法廷ミステリという見事な舞台に仕上げている。
現代では、ソフトで軽いミステリがウケる状況にあって、ちょっと重いかなと思えるテーマですが、昭和30年代では、まだまだミステリをフィクションとして純粋に楽しむという環境ではなかったのかもしれませんね。


わたくしの勝手な個人的な評価は、星3つとかなり高いです。
もともと叙述ミステリが好きということもありますし、60年代にこれだけのトリックを仕掛けられるテクニックが素晴らしいです。
アイデアだけでなく、読者を騙すための構成力、文章力も文句ないです。

難点をあげるとすると、ほぼ50年前の作品ということもあり、時代背景や言葉に抵抗を感じる方もいるかもしれません。
特に法廷シーンでは、法律用語が多用されています。
言葉の使い方も、仰々しくわざと遠まわしや捻っていたりして、もっとかみ砕いて説明して欲しいところです。(´ヘ`)
それと、仕掛けがワントリックのみなので、それを看破されてしまうと後は惰性で読むだけになってしまう。
そのせいか、冗長な内容も目立ち、中だるみしている。
余計な想像をさせる余裕を与えないうちに、一気に読ませる展開でないと、叙述ミステリを読みなれている読者を相手にするとヤバいです。(笑)
ちなみに、わたくしは途中からトリックに気づいてしまったくちです。。。(n'∀')η
でも、叙述は二度読みが楽しいのである!

残念なのは、本書は映像化が難しいということですね。
ドラマでも映画でもいいから、見てみたいな~と切に思いますが。。。

















※ これ以降ネタバレしてます。













































“騙した者、騙された者の心理戦”


読み出しから違和感があったんですけどね。。。


“わたしたちは、面会室の金網ごしに接吻した。”

“わたしたちは鉄格子の内と外とにへだてられた。”




といった文面で、なんでこんな抽象的な表現なのかしら?。。。と。( ̄- ̄)
しかし、古典作品にありがちな歪曲した表現かもと、気にせずそのまま何の先入観も持たずに読んでいたのですが、途中で、中だるみしてきた時に、よせばいいのにアレコレ展開を考えてしまったのがいけなかったんですね。(笑)
でも、面白かったからいいや。(゚∀゚)

本書での叙述トリックは、拘置所にいたのが杉彦だと思われていたが、実は、蓮子の方だったというオチ。
そして、弁護側の証人が、蓮子を逮捕した刑事というサプライズ。
驚かしてくれますね。(笑)
驚いてから再読するとさらに面白い。
面会室の金網ごしに、騙した者と、騙された者が火花ちらす、命と莫大な財産を賭けた陰険心理対決は見ごたえありです。

本書は、杉彦が、いや、杉彦とその身内といった方が正しいのか、彼らが、端から財閥の当主を殺害し、その莫大な遺産を手にすることを目的とし計画した殺人劇だった。。。
最初から気にはなってたんですよね、放蕩息子とはいえ、何故、ストリッパーの蓮子を結婚相手に選んだのか。。。
しかし、その上をいったのが蓮子の方だったわけですが。。。
蓮子は、杉彦ではない別の男性の子供をすでに身ごもっており、窮地に立った人生を逆転する最高の一手が玉の輿に乗ることであったわけです。
まぁ、子供の血液型に整合性があることが条件ですが、親子鑑定は当時ではなかったでしょうから。
そんな両者の思惑が、お互いのあずかりしらないところで進行していく展開は、読み手を巻き込みドキドキします。
謎なのが、彼女は、杉彦が自分を陥れようと画策していることを知っていたのでしょうか。。。?
知っていたからこそ義父に忠実で誠意のある対応していたのか。。。?
自分に遺産を残す遺言を書かせる為に。
そう考えたら、新婚当時に控えめで純情そうな態度だったのは、悪女の一面ということになる。
伊達にストリッパーという職業で修羅場をくぐってきたわけではないということか。。。 ( O_O)
さすが、雑草。
しぶとく打たれ強い。
だからこそ、本家お嬢様・美紗子のバカ息子を愛する純な強さが光るというもの。
二人の女性の異なる強さも、本書の見物かもしれない。


注意すべき点は、殺人事件に対する警察の捜査や、尊属殺人に対する法律など、時代背景を理解していないと、?マークが頭をよぎるということ。
本書は年代物の作品であるためいたしかたないのですけどね。。。(´~`)
警察の捜査に関しては、一方側の証言を立証できる証人がいないというだけで、証言が黙殺されてしまう安直で杜撰な捜査が常識のように描かれている。
でも、痴漢の冤罪とか、現代でも無くはないというところが怖いですけど。。。
当然ですが、DNA鑑定やプロファイリングといった科学捜査は本書では皆無です。
尊属殺人に関しては、当時の法律では、死刑か無期懲役に限定されていたとの事で、一人殺害しただけで死刑の判定もありえたわけですね。
幸か不幸かその極刑が本書では、サスペンス性を高めていることに成功している。


本書は、単なるミステリの面白さだけでなく、社会派なテーマや、愛憎劇だったりと、多角的な見方ができる内容を含んでいるので、ミステリ好きな方だけでなく楽しめると思います。















(  ゚_ゝ゚) { 『新婚一ヵ月の女がもっとも熱心におこなう仕事は、この一、二ヵ月のできごとをくりかえし回想するという、楽しくも非生産的な仕事である。』 名言だ。。。








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