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そして扉が閉ざされた (講談社文庫)そして扉が閉ざされた (講談社文庫)
(1990/12/04)
岡嶋 二人

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::: サスペンス・ミステリ ::: ★★☆☆☆


著者の岡嶋二人とは、井上泉(のちに井上夢人と改名)と徳山諄一(のちに田奈純一と改名)による合同ペンネーム。
由来は “おかしな二人” からきているそうです。(笑)
現代において、その作家を代表するようなシリーズものを持つ作家は多いが、著者に限っては皆無といってもよいくらい、シリーズものがない。
珍しいですね。( ̄~ ̄)
また、代表的な作品で高く評価を受けているのが、 “誘拐” をテーマにしたサスペンス・ミステリ。
何でも、 “誘拐の岡嶋” とか “人攫いの岡嶋” などという物騒な異名を持っているとか。。。(笑)
大概のミステリは “殺人” をテーマにしているが、よくよく考えてみると、 “誘拐” の方がいろいろとトリックを考えるのが難しいような気はする。
岡嶋二人は、1989年にコンビを解消しており、残念なことに新作を読むことはできません。


本書は、岡嶋二人の後期作品3部作のうちの1つらしい。
ちなみに残りの2作品はというと、 『99%の誘拐』 、 『クラインの壺』 だそうです。
さらに、 『このミステリーがすごい!』 1989年度版において、6位となった作品。
岡嶋作品は初読ですが、タイトルの意味深なところも含めて期待をしてしまいます。
ん? タイトル・・・?
あれ、どっかで聞いたことがあるようなタイトル・・・。
(゚∀゚) 、2005年に刊行された石持浅海の作品 『扉は閉ざされたまま』 に似てる。
ミステリマニアならご存知のことなのでしょうが、やはり岡嶋二人へのパスティーシュということなのかしら?
扉を挟んで内と外との逆転の違いはあるものの、明らかにパロディですよね?(笑)


あらすじはというと。。。
富豪の一人娘を事故で亡くした母親が、娘の死に不信を抱き、その死に関わっていたとされる男女4人を別荘の地下シェルターに閉じ込めてしまう。
4人の中に娘を殺害した犯人がいると確信した母親は、彼ら自身に事件の真相を語らせようとする。。。

登場人物達がシェルターに閉じ込められるということから、一種の “吹雪の山荘物” であり、シェルターにある食料がわずかであることから、タイム・サスペンスでもある。
さらにさらに、過去の事故(事件)がメインになっており、スリーピング・マーダーとしての面白さもあるかと。。。(笑)
贅沢な構成ですね。(n'∀')η
感想はというと、なかなか良かったのではないでしょうか。
文章が読みやすいです。
赤川作品チックに適度に歯抜けなので、サクサク読めます。
まぁ、その分、人間描写という点においては、希薄であると言わざるを得ませんが。。。(´~`)
手軽に読めるが、ミステリにおいては手抜きなしで、問題なく及第点といった感じです。

構成としては、別荘で起きた過去の事故(事件)の回想を、同じく別荘のシェルター内で記憶を手繰り、事故(事件)を再検討する現在の4人の本編にカットバックする手法を用いている。
事故(事件)の再検討といっても、どうしても本人の証言のみに終始してしまうため、水掛け論の堂々巡りでなかなか解決にたどり着けない。(笑)
また、4人を閉じ込めた三田雅代(事故死した咲子の母親)の真意もはっきりしない。
閉じ込められて餓死させられるかもしれないという緊迫感や恐怖感も伝わらない。
登場人物達は、それなりにもめごとを起こしたり、脱出を試みたりと、必死さらしいものはだしてるが、真に迫っていないところが本書の残念なところでもある。
4人が待ち受ける結末の衝撃を想像すると、もちっと人物造形に力を入れてほしかったでしょうか。。。

派手さはなく地味ではありますが、舞台劇にしたら面白いだろうなぁ~とは思います。



























※ これ以降ネタバレしてます。










































殺人犯が自分が犯人であると自覚していないという読者どころか、登場人物もびっくりの“意外な犯人像”設定。(笑)
そりゃ、みんながみんな無実を主張するに決まってるやん。。。なオチ。
結末を言えば、主人公の毛利雄一が犯人だったわけです。
本人は自分が殺したとは思ってないし、恋人の咲子を突き飛ばしたら、彼女の延髄にアイスピックがグッサリ即死という厳密に言えば、殺意なき傷害罪で、事故と言えなくもないんですけどね。
犯人ではないと主張する雄一視点で描かれているため、あっさり犯人は彼以外と思い込んでしまう。
ある意味、倒叙形式のミステリといえなくもない。
そう考えると、いろいろとミステリの手法が詰まった作品だったんですね。


事態をややこしくしたのが、雄一に好意を持っている鮎美ちゃん。(笑)
雄一が咲子を殺害したと勝手に勘違いした彼女は、これまた自分に好意を持っている正志に、鮎美が咲子を殺してしまったと思わせて、遺体の移動を正志にやらせてしまう。
勘違いのドミノ連鎖の完成です。(´ヘ`)

心理的な驚きはあるし、トリックとして破たんはないようだが、結局、鮎美の独白に頼らざるを得ない事件の解明というのは勿体ないかと。
4人の議論の中で、犯人や犯行を裏付ける決定的な証言があれば良かった。
あと、咲子の母親をもっとサスペンスとして効果的に利用できていないのが残念でならない。
というのも、母親の意図が明確でなかったし、本当に母親が4人を閉じ込めたのかどうかもわからない状況だったので、最後の最後まで何かどんでん返しがあるかも、と用心していただけに肩すかしです。


何も知らずに探偵気取りの道化師、雄一。
雄一を庇うために、自分に好意を寄せている正志を利用する鮎美。
共犯関係を恋人関係にすり替えた正志。
何も知らされず一人蚊帳の外の千鶴。

このドラマで誰が一番哀れな人間か。。。?
何も知らず、意気揚々と推理をする雄一が、自分が犯人と知った時の衝撃、絶望はいかほどのものか?
もちっと人物造形がしっかりしていたら、人間ドラマとしても面白かったのですけどね。。。



印象的だったのが、生前の咲子が雄一に1つの質問をしている。

『あなたの幸せのために周囲の人たちみんなが不幸なのと、みんなは幸せだけど、あなただけ不幸。どっちを選ぶ?』



いわゆる究極の質問ってやつですね。
皮肉にもこれが現実となるわけです。
咲子の死と引き換えに提示された究極の質問。
事件前に雄一は咲子に何と回答したかは、本書を知らない方は読んでからのお楽しみにしておきます。
咲子自身は何と答えたか?
彼女は、 “逃げる” と答えている。
周囲が自分のために不幸になるのは耐えられない、そういうことに気づけない無神経さはもっと耐えがたい。。。と。
予想以上に(笑)繊細な思考を持っていた咲子。。。
彼女の言葉から、どうしてもその死は事故とは思えない。
自分の幸せのために、雄一を不幸にしていたことに気づけなかった咲子には逃げるしかなかった。
雄一を介錯人にした死への逃避ということなのでしょうか。。。女の執念は恐ろしいです。































(  ゚_ゝ゚) { 『あなたの幸せのために周囲の人たちみんなが不幸なのと、みんなは幸せだけど、あなただけ不幸。どっちを選ぶ?』 みんなで幸せになろうよ。。。








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