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そして誰もいなくなる (中公文庫)そして誰もいなくなる (中公文庫)
(2010/04)
今邑 彩

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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


本書はタイトル見りゃわかると思いますが、ミステリの女王こと、アガサ・クリスティ原作 『そして誰もいなくなった』 のパスティーシュ。
『このミステリーがすごい! 1994年版』 で、34位にランクインした作品。


あらすじは。。。
女子校で催された、演劇部による『そして誰もいなくなった』の劇中、舞台に立っていた生徒が毒殺される。
その後、芝居の脚本通りの順番と方法で殺害されていく演劇部の生徒達。
見立て殺人の犯人を暴くべく、部長の小雪と演劇部顧問の教師・典子が事件に関わるが。。。


魅力的な謎、意表を突く展開、意外性のある結末という、ミステリには重要な骨格がしっかりしていたのと、個人的に本家を超える作品という期待を、はなからしてなかったことが高評価につながったのかもしれない。
ジャカスカと容赦なく殺害されていく女生徒の描写など、新本格特有のパズル・ミステリを彷彿とさせる。
アガサ・クリスティの本歌取りという固定観念すら、ミスリードの役割をこなしており、“だまし” という点においては、高い技術があると思う。
このままありきたりの本格ミステリで終わるかと思いきや、驚天動地の大どんでん返しが待ち受ける。(笑)
お笑い用語でいうとこの “天丼” 状態です。
またかい! というよりは、 まだかい! と突っ込みたくなるほど。。。

それと、ミステリとしての部分だけでなく、本書は湊かなえ作品の原点なのでは?とも思える、正義の顔した悪意をチラつかせるブラックな人間ドラマが光る。
“真”犯人の犯人像、“真実”の殺害動機など、ミステリとしての面白さだけでなく、本家と同じく、裁かれない罪や罪人はどうあるべきなのかを読者に問題提起している。


難を言えば、前半の女生徒連続殺人が冗長気味なこと。
実行犯の殺害動機があまりにも軽すぎで、犯行もご都合主義な点ですかね。
ハウダニット(トリック)重視の作品でないので仕方ないのかもしれません。
それとキャラクターに好感をもってきたところでのバッド・エンドが痛いかな。。。
















※ これ以降ネタバレしてます。










































本書は、B級映画で掘り出し物をみつけたような気分になった作品。
素直に面白かった。
文章も構成もいたってシンプルなのも読みやすかった。


事件の犯人は、教師の向坂典子と、助教授の松木憲一郎が実行犯であり、共犯関係にあるという展開は多くの読者が見抜いたと思う。
それだけでなく、この二人は二人でお互いをはめようと画策していたというプチ・サプライズのおまけつき。(笑)
さらに、どんでん返し劇場は続く。
刑事の皆川が脅迫を受け、連続殺人の犯人を薄々知りながらも、積極的に事件に関わらないどころか、実行犯の二人が連続殺人を企てるよう、巧みに誘導していたのだ。( ̄□ ̄;)
そうして、脅迫者である演劇部部長の江島小雪が、実行犯の二人に殺害されるまで、知らぬ存ぜぬを決め込もうとしていた、というビックリクリクリックリ!な衝撃展開。
皆川は、娘・夕美が過去に犯した過ちの尻拭いを、殺人という安易な手段で解決し、罪を逃れていたのだ。
だが、その殺害現場で皆川は小雪に目撃されていたのだ。。。ああ無常。(´~`)


皆川の罪は俗に言う、“未必の故意”ってやつですね。
皆川の場合、直接的に手を下さないまでも、実行犯が殺人を犯してくれるであろうこを認識した上で、そうなるよう誘導してます。
さらに、自分が犯した罪を隠蔽するためには、小雪が死んでもかまわないという気持ちも持っていた。
未必の故意が適用されるのでしょうね。きっと。

脅迫者小雪は、裁かれない罪人が、罰せられることもなく日常生活を送っている理不尽さ、正義に対する理想と現実の矛盾、答えが出せない鬱屈した気持ちを抱えていた。
その気持ちを晴らすかのように書いた脚本が、舞台劇「そして誰もいなくなる」だったわけです。
フィクションの世界で、気持ちの折り合いをつけようとした矢先、芝居に見立てた連続殺人事件が発生し、皆川が目の前に現れてしまった。
小雪は、皆川を断罪しろという悪魔の囁きに耳を傾けてしまう。

皆川は、罪が暴かれる前に拳銃自殺を遂げる。。。
裁かれない罪は、自らが自らを罰するほかに術はない、それが著者が出した答えなんでしょうかね。
バッド・エンドな悲しい結末にするしかなかったと思うが、気分が落ち込むモヤモヤした読後感です。
皆川を追い込んだ小雪も、結局は同罪なわけですしね。
彼女自身も、皆川が連続殺人を誘導していることを知りつつ、放置していた。
しかし、皆川と異なるのが、小雪は皆川に自殺することを強要していない点。
死んでもしかたがないという意志もはっきりしていない。
“未必の故意”と判断されるか、“認識ある過失”と認定されるか。。。微妙。
それ以前に、未成年であり少年法が適用されるので、大した罪には問われないんだろうな。
そんな小雪の悪魔的でワルっぷりが冴えた手口は、湊かなえの作品に登場しそうなキャラ。(笑)
証拠を残さず、犯罪者を地獄送りにする手腕は、必殺仕事人レベルだな。(笑)


ミステリとしても、ドラマとしても楽しめたのですが、若干、気になる点もある。
アダルト・チルドレンなバカっぷり見せ付ける実行犯の二人とか、ちょっとしたイタズラで青酸カリを仕込むアホ娘の存在など、非現実的。
っつか、このアホ娘の行為が、未必の故意として適用されなさそうなくらい、ノータリンなアホっぷりが腹立たしい。(笑)
ちょっとしたイタズラで青酸カリを使っちゃおう♪なんて、動物園のチンパンジーでも、そりゃ犯罪だろって突っ込むかもしれない。。。(笑)
こんなアホこそ野放しにしちゃいかんでしょう。
ザ・死刑ですよ。( ̄- ̄メ)











(  ゚_ゝ゚) { 『忘れたがっている一年を奇麗に消してやらなければならない。自分という消しゴムを使って。』 人を救済するための代償が命というのは悲しいことです。







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