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罪・万華鏡 (創元推理文庫)罪・万華鏡 (創元推理文庫)
(2009/12/20)
佐々木 丸美

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罪・万華鏡 (佐々木丸美コレクション)罪・万華鏡 (佐々木丸美コレクション)
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佐々木 丸美

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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


佐々木丸美作品デビューです。
最初に読む本は、“館三部作”シリーズと決めてたんですが、機会があって本書がお先になりました。


物語は。。。
4人の少女が犯罪に手を染める。
だが、彼女達の不可解な動機や異常心理により、裁判を前にして、精神分析医・吹原の元に調査・分析の鑑定依頼が要請される。
彼女達の環境や人間関係を調査し、カウンセリングを続けるうちに、彼女達の精神を破壊し、犯罪へ駆り立てた原罪は、日常に潜む何気ない悪意によるものだと判明していく。。。


4人の少女の事件を1話完結とした、連作短編として、吹原医師の助手である“私”の視点で展開していく。
広義の意味では、ミステリになるのだろうが、少女の心理が描かれている箇所は、幻想小説のようでもあるし、『羊たちの沈黙』 のような分析官と犯罪者との息詰まる心理戦を見る面白さがある。

物語の特徴としては、どれも法律的な立場からみれば、被害者と加害者は歴然としているのだが、事件の深層部まで観察すると、原罪は被害者側にあった。。。というパターンで統一されている。
表沙汰にされにくく、目に見えない悪意という凶器が、加害者の心を傷つけ犯罪へと導いてしまう。
人の心の醜さ、繊細さ、怖さといった複雑な感情、千差万別の心の痛み、あり方を万華鏡になぞらえて展開している。


正直、こういう女流作家が書く、女性的な心理を描いた作品が苦手だ。
特に本書は、 “悪意” のオンパレードで、読んでいて楽しい気分には全くならず、読後感の悪い本ではある。
近年、恩田陸、岸田るり子、湊かなえ、辻村深月といった作家の作品を読む機会があったが、作品や作家の特性は本書とどれも似ている。
特に “女性独特の悪意” をミステリを通して描いている湊かなえの作品は、構成や内容も本書と非常に近いものがある。
著者の影響を少なからずも受けていることは間違いないでしょうね。


評価としては、連作短編で厚くもなく、字数も少ないので、一見すると非常に読みやすそうな印象を受けるが、個人的には、かなり癖のある文章に思えた。
句読点が少ない上、改行が妙なところでされていたり、通常、漢字で表記されるような言葉がひらがななのでわかりづらかったりと、何度も読み直しを余儀なくされた。
それと、文章の意味(日本語)がよくわからない箇所もあって、物語に対する評価以前の問題だった。。。

内容に関しては、主題も理解できるし、何を描きたかったのか伝わるのだが、心理分析に関する専門性という点で、半信半疑な部分があったのが難点。
1983年の作品なので、仕方ないのかもしれないが、物足りなさは感じたし、吹原医師の医療方針がインチキ臭く、そして、医師というよりも研究者という印象が強い。
患者に対する優しさを感じられなかった。
わたくしが患者だったら、お断りな医師ですね。。。(笑)





















※ これ以降ネタバレしてます。


































1つの作品を読む前に、「悩みそれぞれ、罪それぞれ~」で始まる詩が掲載されている。
『罪・万華鏡』 というタイトル通り、鏡の特性を人の心や罪に例えているのだが、この詩が本編の核心をついた内容でもあり非常に良い。

万華鏡が手元にあったら、おもわず手に取って回し見たくなるのが心情。
しかし、この万華鏡は、悪意によって傷つけられた4人の少女の心なのである。
それでも覗いてみたくなる欲求にかられる。
そんな好奇心もある意味、無意識な悪意であり、万華鏡と、人が持つ潜在的な悪意、それによって傷つけられた心というのは、同等に人を魅了してしまうものといえる。
この潜在的な悪意というのは、無意識のうちに人の心を傷つけてしまう。
しかもそれが特別なことではなく、日常的なことであり、ほんの些細な出来事であれ、誰もが経験することだと思う。
他人事ではなく、誰かを傷つけることがあれば、傷つけられることもある。
そういう表面にはなかなか現れないし、気づかれにくい悪意という凶器の怖さを、フィクションであれ、目の前に引きずり出し、曝け出した稀有な作品だと思う。

本書では、加害者を精神的に追い詰めることで、犯罪を犯すよう誘導するという、悪意にもほどがある悪魔のような女性が登場する。
ある意味、加害者の方が精神的な病を抱えているといっても過言ではない。
己の有益のために、人を陥れる裏工作をする人間は現実にもいるわけで、とても絵空事でも他人事でもない怖い話でした。
唯一の救いは、4人の少女たちの精神が復活する兆しがみれたことでしょうか。

決して、法律で裁くことができない原罪の怖さや、悪意の集積から生じる心の痛み、傷を、ミステリ(謎)を通して上手く描いていると思う。












(  ゚_ゝ゚) { 『人のためとて編まれたものが人を越えて君臨するのは世のかげり。』 理不尽は世の常ですね。









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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


















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