上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

NのためにNのために
(2010/01/27)
湊 かなえ

商品詳細を見る



::: ミステリ・恋愛 ::: ★★☆☆☆


著者の4作目の作品。
デビュー作からこれまで、モノローグの羅生門形式でミステリを発表してきた。
前作あたりから、いい加減違った作風もしくは、スタイルの本が読みたいと思っていたのだが、相変わらずのモノローグの羅生門形式のミステリだった。。。(;´д`)

折原一が叙述サスペンス(ミステリ)にこだわるように、著者もこのスタイルにこだわりがあるのだろうか?
一生、このスタイルを貫くつもりなのだろうか?
仏の顔も三度という常識を覆した4作目なので、著者のビジョンが見えてこない。
というか、ただ単に、デビュー作『告白』の大ヒットの余韻(つか夢?)から醒めない、出版業界の要求に付き従っているだけという感じもしないでもない。(´ー`)┌
だとしても、同じような作品ばかり読まされる読者にとっては、うんざりなので、もうやめてくれ。


本書は、ある夫婦が暮らすマンションの一室で、殺人事件が起きる。
現場に居合わせた友人を含めた数人それぞれが事件を語り、真相に肉薄していく。。。という、ただそれだけの話。
しかし、語られる事件の全容は、登場人物達各自の思惑(“Nのために”)により、狂気的なまでに捻じ曲げられている。
そこには彼らの生い立ち、培われた人間性が事件に深く関与していた。。。

登場人物たちの人生、人間模様を描きつつ、ミステリとして織り成す手管は上手いと思う。
その出来栄えは、どれもブラックなイヤミスですが。。。(笑)
ミステリのテクニックだけを見れば、かなり上達しているように思う。
構成や見せ方も良く、序盤からグイグイと引き付けて読ませてくれる。
しかし、後半から雲行きが怪しくなってくる。
ミステリとしてどうのってことよりも、事件が起こってしまう動機付けや、登場人物達の生い立ち、環境などが、ドロドロでお馴染みの昼ドラかと思うような設定、展開へと変貌していく。
帳尻合わせのための設定だということがあからさまなので、かなりご都合主義に思える。
ナチュラルな伏線が張れないのが著者の欠点かもしれない。

それと、イヤミスを通り越して、イタミスであるにもかかわらず、ラストが青春文芸小説風なのも、なんだかチグハグ。

あれですかね? やはり、著者も直木賞狙いですか?
なんだか、作家という職業に限らず、どこにそんな自信が!? な自信過剰、自画自賛な若者が増えたような気がする。
才能に年齢も経験も関係ないとは思いますが、天才ってなんだかんだいって、早熟だと思うんだよなぁ。
ま、いいけどね。



















※ これ以降ネタバレしてます。









































イヤミス、イタミスと見せつつ、実は著者流の恋愛小説だった。(勝手に解釈)
(ってことで修正)イヤレン、イタレンですね。
一見すると増愛劇にもみえるが、登場人物達のひん曲がった人間性故に純愛。
一回転して表に戻ったわけです。
しかも、暗黒で光も時間も全てを飲み込もうと待ち構えているブラック・ホールのような、とてつもない重力を感じる恋愛小説だ。

しかし、いわゆる昼ドラではお馴染みの愛憎ドロドロ劇場とは一味違うのが、著者らしい。
主な登場人物にまともなというか、健全な精神性を持つ人間が一人もいないという、現実にはあり得なさそうな設定。
あり得ないと断言できないところが、現代の病んだ日本社会。
一見して、“普通の人”が、実は、ストーカーしてたり、殺人犯だったりする時代。
もっと身近に考えても、これまで日本人が持っていた共通観念、認識といったものが薄れてきており、常識やモラルが至る所で叫ばれている。
こんな状況で、果たして自分が普通かとか、他者が異常かなんて計るのが難しい時代になったわけです。

物語では、ちょっと君たち心のケアに行った方が良いのでは?
とアドバイスしたくなるような登場人物達が続々と登場。
そして、予期せぬ事件が勃発。
彼らの思考では、“予期せぬ”とか、“想定外”なんでしょうが、読者からしたその計画は根本から間違ってますよ~とお知らせしたいほど。。。(笑)
そして、あぁ~やっぱりそうなった~になるわけです。
そこで彼らの物差しで計ってだした答えが、 “Nのために” だった。
それが、彼らのにとっての正義であり、常識であり、幸福という認識だったということでしょう。
おそらく読者の大多数が、納得いかん結末だと思う。
Nのためになんかなってないよと思うかもしれん。
その通りで、結局は、各自がNのためにしたことが、最悪の結果を導いてしまったのだから。
でも、それはそれでありなんだと思う。
彼らが不幸な生い立ちだったとか、トラウマを抱えるような体験をしたとか、自己を形成する上で、影響を及ぼしたことは間違いない。
そんな経験下でも常識人でいる人もいれば、彼らのように言動に影を落とすこともある。
寛大にみれば人間の多様性といえる。
だから、そういう人、そういう生き方しかできないと受け入れるしかないのです。

そんな心理的な状況が理解できれば、本書の事件は特に魅力的なストーリーとはいえない。
なんだか、純文チックに展開されていくが、三文芝居を見ているよう。
「灼熱バード」というネーミングセンスにも残念ながら爆笑。
すまん、我慢できなかった。(´▽`;)ゝ
現代の谷崎文学みたいなのを目指したかったのかは謎だが、現実の方がもっと酷で地獄だと思えてならない。
ただ、 “炎” をモチーフに登場人物達の人間描写を表現する技巧は、作家らしさを感じられたと思う。


それと、主人公・希美の子供時代のストーリーはひどすぎる。。。
いきなりオヤジが50歳(だっけ?)までしか生きられない運命だからという理由で、若い女をつくり、妻と子供を家から追い出すという設定。'`,、('∀`) '`,、
このエピソードからテンション下がったしなぁ~
帳尻あわせのためのご都合主義で無茶な設定はやめようよ。。。(´ー`)┌
まぁ、50歳過ぎても未だに健在ってラストの一文は、大爆笑でしたけど。。。'`,、('∀`) '`,、


















(  ゚_ゝ゚) { 『文学に疎いヤツに限って、文学的な人生を送ってんだから、世の中ってのは皮肉なもんだ。』 幸せな人は文学が理解できないと思う。











スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


















管理者にだけ表示を許可する


出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それ... 粋な提案【2011/02/11 17:08】
| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 snook. de book, All rights reserved.



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。