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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


三大続く老舗の宝石店を営む名家・藤吉家。
主人の博通が病床に伏すと、嫡子の他、後妻とその娘姉妹が函館の邸宅・雪華荘で暮らすようになる。
ところが、博通の病状の悪化にともない、主人亡きあとの遺産相続を巡り、雪華荘に不穏な空気が漂う。。。
家族の因縁深い確執と、嫡妻の不可解な死の謎をミステリタッチに描いている。


著者の作品と、わたくしとは相性が良いとはいえない。
著者の作品では、 “建築探偵・桜井京介”シリーズ が有名だが、個人的な評価はいまひとつ。
本書は、ノン・シリーズもの。
意外とシリーズものでないほうが、わたくしは好みかもしれない。
名家の遺産相続を巡る事件。。。という“犬神”チックなあらすじに惹かれ読んでみました。


初っ端から、意味ありげな新聞記事の抜粋で始まり、書簡のやりとりに独白という構成で語られていく。
この時点で、叙述フラグがオンです。
だまされないぞと気合を入れて読んでいたのだが、早々に、トリックがわかってしまうのだ。。。あれ?
これって、撒き餌じゃないよね?
ソレと見せかけて、実は予期せぬところで騙し打ちしようって腹だよね?( ̄□ ̄;)
なんてビクビクしながら読んでいたが、結局、そのまんまソレの展開でジ・エンド。。。
あれ?(´~`)
もしかして、どこかで読みたがえたか。。。?


ミステリとして読んだ場合、手垢まみれのネタなので、早い段階で、かつ9割ぐらいの確率でネタが割れる。
ある意味、ミステリ超初心者用の本かも。
コピーにある、 『驚愕のラスト! 著者渾身のミステリー』 を信用すると肩透かしを食う。
個人的には、本書は本格的なミステリとして読んではいけませんよ。┐('~`;)┌
あくまでも、“ミステリ・タッチ”であって、実際は、人間の本質的な業や相を生々しく描いた悲劇。
ミステリとしての部分は、あくまでもドラマ性を高めるための小道具くらいに考えた方がいいかも。
















※ これ以降ネタバレしてます。











































マテリアルなものに執着する藤吉家の後妻とその娘姉妹。
そして、性同一性障害であるために、男性としての身体を受け入れられず、女性の身体を手に入れようとする嫡子の汀。
この両者の描き様が、かなり生々しい。

近年では、性同一性障害という言葉は、わりと知られるようになり、障害を持つ人達の環境も改善されつつあり、手術で本来の性である身体に戻すという行為も正当化されている。
しかしながら、何かに固執して囚われてしまうという点では、宝石に並々ならぬ執着心を持つ緑と、同等の強欲さを感じずにはいられない。


後妻の娘である緑は、藤吉家の財産(宝飾品)を我がものにするため、汀と肉体関係を結ぼうと、汀の人格を無視した行動に出る。
自分は女性であると感じている汀にとっては、呪わしい男性としての身体を利用した緑を、怒りにまかせ殺害してしまう。
さらに、実の兄が犯した殺人の身代わりとして、やはり、男性としての身体を利用されそうになる。
汀にとって、女性としての性を否定され、人格を踏みにじられたことは万死に等しい。
緑と兄とによって、二度殺されたようなものだ。
汀は、自ら犯した罪と、絶望からの脱却。
そして魂の解放を求め、汀の母親とおなじように死を選択する。

汀の母親・澪の不可解な死の謎は、彼女も汀同様に、性同一性障害であったことが原因。
澪の場合は、汀と逆で、男性の心を持ちながら女性の身体として生まれてしまった。
意に沿わない妊娠、出産が澪を自殺へと追い込んだのだ。

叙述ミステリというドレスをはぎ取ると、隠されていたのは人間が持つグロテスクなまでの強欲さだった。
その強欲さが招いた親子二代にわたる悲劇と、肉体という檻に閉ざされた魂の解放をミステリ・タッチに描いた作品。



ミステリとしては、澪と汀が性同一性障害であるだろうことが、容易に、前半の早い段階でわかってしまう。
叙述でもなんでもない。
ミステリ作品を多く手掛ける著者の“うっかり”とは考え難い。
ただ、近年、読者にウケがいい女性作家の傾向として、本格的なミステリを前面に出すより、ミステリ・タッチな作風に、濃密な人間ドラマを描いた作品が多いことが影響しているのかもしれない。

注目すべきは、グリム童話 『シンデレラ』 と本書を同一視させるような仕掛けをほどこしたこと。
副題や、継母とその娘姉妹にいじめられる嫡妻の子供(汀)という設定、遺産相続の一部であるティアラや、汀が身につけているガラス靴のペンダントなど、『シンデレラ』に関係する設定をいたるところで目にする。
そうすることで、読者は自然と、「シンデレラ=汀=女性」という構図を勝手に脳内で描いてくれる。
読者に固定観念を植え付けるための、ミスリード(叙述トリック)が上手かった。

技が効いているのだが、やはり、肝心の叙述トリックがバレバレだったのが痛い。









(  ゚_ゝ゚) { 『わたしはわたしを閉ざしていた小さな函から、永遠に解放されるのだ。』 そして、三面記事へ。。。か。







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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


















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