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サクリファイス (新潮文庫)サクリファイス (新潮文庫)
(2010/01/28)
近藤 史恵

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サクリファイスサクリファイス
(2007/08)
近藤 史恵

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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


2007年度末の各ミステリランキング・ガイドブックで、5位、7位という上々の成績を残しており、コミック化もされている作品。


わたくしは、 『演じられた白い夜』 と 『ガーデン』 という著者の作品を読んだことがあるが、どちらも好みではなかった。
単行が出版された時点では、スポーツ青春小説というイメージしかなく、あっさりスルーした。(笑)
ところが、年度末の各紙ランキングが軒並み高評価であり、文庫化の機会に読むことにしていた。

カテゴリーとしては総合的にはミステリになるのだろうけど、サスペンスや、スポーツ小説、青春小説としての面白さも含み、そのバランスが絶妙。
間口の広い小説なので、本書を機に、ミステリにハマるもよし、スポーツ小説にハマるもよしな、カテゴリーに拘らず、“小説”として純粋に読書の楽しみを味わえる作品。
280ページの薄さ、赤川次郎チックの会話だらけの文体でもあり非常に読みやすい。
読書が苦手な人にもピッタリな小説でもある。


本書の面白さといったら、やはり、ロードレース(自転車競技)の魅力だろう。
日本では認知度が低いスポーツである。
このスポーツの魅力をあますことなく描ききっている。
それだけでも必読の価値はある。
さらに、そのロードレースに向き合う青年と、不審な事故死を絡めた青春ミステリとしても楽しめる。

正直、期待していなかった作品だが、気がつくと時間も忘れて集中して読んだ。
こんなに夢中になって読んだ本は久しぶりかもしれない。
個人的な評価として星4つでもいいかもと思うのだが、ミステリとして読んだ場合、手ぬるさがあるし、青春小説として読んだ場合でも、人物描写に疑問が残る点も多い。
どちらにしても、もっと書き込んでいてくれたら。。。と残念に思えてならない。






















※ これ以降ネタバレしてます。










































気になる点と言えば、人物描写がひどい。
特に、主人公・白石の元恋人の香乃の言動は、同性としても許せない女でした。(笑)
彼女を悪女(?)にしないと、ドラマにならないので仕方ないのかもしれないが。。。
香乃は、白石と恋人だった時期に、別の男と二股をかけている。
よくありがちな、わたしとマラソンのどっちが好きなの? なくだらん恋の悩み(?)だ。(;´д`)
さらに、二股男が好きで付き合いたいという手前勝手な理由で、白石に別れ告げる。
しかも、数年後にその二股男とは別れている!!(゜ロ゜)
それなのに、香乃は、白石に対する良心の呵責に苦しんでいたどうのこうのと、香乃の現恋人・袴田(殺人犯)が語ってた。(笑)
良心の呵責うんぬん抜かすなら、二股男と一生添いとげろよ! と思うところ。
添いとげるどころか、離縁。
新たな恋人と婚約しているが、白石が忘れられずにいる。
最低な女だなと。。。┐('~`;)┌
でも、袴田は、人殺しですから。。。
事件の真相をしりつつも、そいつと結婚させちゃう白石は、意外と腹黒いなぁ。。。
石尾を死に追いやった袴田と、元恋人への一石二鳥な復讐(?)と考えられなくもない。。。(´~`)

香乃だけじゃなく、袴田もちょっとおかしいよね、こいつ。
石尾殺害計画を練って、実行しちゃう時点でおかしいっちゃ、おかしいが。
現恋人である香乃の初めての男が気になって仕方ないってうるさくないか?(笑)
処女神話にどんだけ信奉してんだよ、と突っ込まずにはいられない。
っつか、今時、処女にこだわる男っているか?
もう、香乃も十分うぜぇ女だが、袴田はもっとうぜぇ。
袴田は、石尾との接触事故で半身不随になってしまった経緯があるから、石尾に並々ならぬ復讐心を持っていてもおかしくはない。
けど、スポーツ選手って、気持ちの切り替えが早いと思うのですが。
オリンピックでもそうですが、4年の集大成という大舞台で、メダルの期待をかけられている選手が、期待はずれの成績で終わったとしても、どの選手もくやしい気持はあるものの、それなりに満足して次に向かっていくが、袴田はかなりネチネチと根に持ちすぎだよな。。。
しかも逆恨みでさ。

逆恨みされた石尾も、この人、生きる時代を完全に間違えてません?
スポーツ選手というよりは、武士だよ、武士。(笑)
プライドに命をかけるか~?(´~`)
スポーツ精神を通り越しちゃってるね。
そのエベレストよりも高いプライドを、押しつけられる他のチームメイトは困るよなぁ。。。

香乃にしても、袴田、石尾の極端ともいえる言動が、ドラマ性を高めているのはわかるが、東野圭吾風のくどい感動巨編になってしまっているのは、残念。


ミステリとして気になる点は、レース中に袴田が石尾に、給水ボトルにエフェドリン(禁止薬剤)を入れたことを告げるのですが、レース中に車イスでしか移動できない袴田が、ノコノコ近づいて石尾に、あーだこーだと話をすることは可能なのだろうか? とか、スポーツ選手(しかも企業スポーツ)が、レース期間中にアルコールを摂取するか? などなど、突けそうな穴があり、ぬるい仕上がりが気になる。
だが、タイトルでもある “サクリファイス(犠牲)” という言葉の真意は、ロードレースでのアシスト役という形式的なものではなく、託された役割に誇りを持ち、命までも投じる覚悟と信念を、後続にその思いを手渡した石尾の気高い精神性にあったのではないかと思う。
そういう意味では、本書の真意ではすっかりだまされたことになる。
ミステリには、フーダニットや、ハウダニット、ホワイダニットなど謎解きのポイントがあるが、本書は、それらの要素を含みながらも、主題である “サクリファイス(犠牲)” が何を意味しているのか? を探る叙述的なミステリであったとも言える。


人物描写としては、ちょっとやりすぎな点が目立ったが、肝心のロードレースというスポーツのシステムはすごく興味深かった。
完全なる個人競技と思っていたら、団体競技であったこと。
しかも、エースの選手を1位にするために、チームメイトが犠牲(アシスト)となる役割を担ったり、レースでの駆け引きなどが、思っていた以上に複雑で、かつ紳士的なスポーツであったことが非常に面白かった。
TVで放映される機会があったら、是非、観戦したいと思うほどです。


本書で、石尾のエースとしての誇りをバトンされた白石は、

“勝利は、ひとりだけのものじゃないんだ。ぼくの勝利は、ぼくだけのものではない。”

と語り、再びアシストとしての役割を担うため海外へと旅立ちます。
昨今のスポーツでは、石尾や白石のような選手をあまり見ないような気がします。
明らかに団体競技であるサッカーのような競技に、二人のような精神性があるかどうか。。。(´~`)
一見して個人競技のようにみえるロードレースに根づいるというのも不思議な話です。










(  ゚_ゝ゚) { 『月のうさぎは、美しい行為に身を捧げたわけではなく、むしろ、生々しい望みを人に押しつけただけなのだ。』 全くだ。。。








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