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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


2008年版での各紙ランキングは以下の通り。

『本格ミステリー・ワールド』 黄金の本格ミステリー選出。
『本格ミステリ・ベスト10』 6位。
『このミステリーがすごい!』 12位。

意外な結果かもしれない。
作品の本質からすると、本格ミステリとしての評価が高いのはうなづけるが、内容からすると、“このミス”ウケしそうな作品。
しかし、“このミス”では12位と意外と揮わない成績でした。


あらすじはというと、
個人情報が一切不明のウェブチャットというインターネットを介した繋がりだけの5人が、仮想ではなく、実際に各自それぞれ起こした殺人事件について、ウェブチャット上で公開し、推理ゲームを行うというとんでもミステリだ。
5人のうち1人が質題者となり、殺人を実行し、残りの4人がトリックを当てるというゲーム。

一言で言えば、 “悪趣味” なミステリ。
最近なにかと物事にうるさい世の中。
こんな不道徳な本を出版したら、いろんなところからクレームがきて、著者はたたかれちゃにうんだろうなぁ。
などと余計な心配をしそうになる本でした。(笑)
わたくしの感覚からすると、今更こんなネタ? と思う。
テレビのように、家庭にパソコンとインターネットが普及しきった時代ですからね。
せめて、本書が10年前に発表されていたら、“このミス”でももっと上位にランクインしていたような気がする。

わたくしが本書を文庫化されたタイミングで読んだのも、ノベルスで刊行された時点では、全く興味がなかったからだ。
この手の設定って、コミックでお馴染みの 『DEATH NOTE』 とか、 『LIAR GAME』 といった作品と、着眼点は同じですし、媒体は何でもいいけど、過去の作品を捜せば、本書よりも過激な内容の似たような作品が見つかりそう。
見た目は派手なんだけど、新鮮味は全くない。
ただ、“本格10” で6位と意外と善戦したこともあり、読んでみようと思ったわけで、そうでもなかったら、間違いなくスルーしていた本ですね。


著者の作品は、有栖川有栖のように本格らしい本格ミステリでもないし、東野圭吾のように読み手をひきつけるストーリーテラーなミステリでもない。
森博嗣のような奇抜なキャラクター性もない。
特徴がないっちゃ何もない。。。
仕方なく見た目だけでもど派手にということなのか。。。?
それにしても、実力もあるベテランのミステリ作家が、イロモノなメフィスト賞を受賞した新人作家のような作品を書くのは誉められたもんではない。





















※ これ以降ネタバレしてます。









































本書は、最近とみに見られる、あるミステリの手法が用いられている。
本書が刊行されてから、東野圭吾の 『新参者』 、米澤穂信の 『追想五断章』 、似鳥鶏の 『さよならの次にくる』 などの作品が本書と同じような手法で評価の高い作品を発表している。
手法としては昔からあるものだが、最近、顕著に増えている気がする。
そのブーム(?)の先駆けが本書かもしれない。

その手法とは、入れ子のミステリとでも言うのでしょうか。
感覚としては、作中作の叙述ミステリと同じ。
短篇ミステリと見せかけて、実は長篇のミステリとか、短篇ミステリとしても成立させながら、その短篇に伏線を張り巡らせた長篇ミステリなど。
東野圭吾の 『新参者』 や、似鳥鶏の 『さよならの次にくる』 はこのパターン。
米澤穂信の 『追想五断章』 は、短篇ではなく掌編に変わり、さらに、掌編は作中作となっている。

こういう叙述的な趣向が凝らされたミステリは私的には大好きである。
本書では、短中篇のように読まされていたミステリの中に、伏線が張られていたわけです。
短篇では、如何にして5人が殺人を達成したのかを解く、ハウダニットもののミステリだが、長篇としてみると、5人のパーソナリティというか、正体を暴く、フーダニットもののミステリでもある。
本格ミステリとしての構成は、さすがベテランだと思う。

ただ、フーダニットとして読んでみると、5人が5人ともどういう人物かが特定できるような伏線が無いのが残念。
特に、“aXe(アクス)”は自己申告するまで何もわからない。
短篇としての事件でも、“044APD”と“ザンギャ君”が起こした事件くらいしか目立って良いと思えるトリックではない。
そう考えると、長篇として読んだ場合のオチが甘いかなぁと思う。
個人的には、ウェブチャットに参加しているのは、家族同士なのではないか? と考えていた。
それだと読者に見抜かれる確率が高過ぎると踏んで、“頭狂人”と“044APD”が兄妹(親族)としたのかもしれない。
伏線を張るには、どうしても登場人物視点での章が必要になってくる。
それが“頭狂人”だけしかないというのも、読者からしたら結構胡散臭かったですけどね。。。(笑)

それと、ラストがどうしても納得がいかない。
不満が残る。
何で、“頭狂人”がロシアン・ゲームのような形で、他人を巻き込み、自殺しようとするのか理解不能。
他人を殺し、実の兄まで殺した人間であり、死生観なるものが爪の先ほどもないにも関わらず、自分で自殺することも出来ないとするのは不自然な気がする。
死にたいなら勝手に一人で死にさらせと思いたくもなる。
“頭狂人”を筆頭にチャッ友の5人は、

「殺したいから殺すのではなく、使いたいトリックがあるから殺してみた」

という動機で殺人ゲームを行っていたわけです。
こんなヤツらから良心の呵責に耐えきれず。。。なんて理由で自殺してもらっても逆に不愉快でもある。(笑)
だから、自分が死ぬ時も、死にたいから死ぬわけではなく、使いたいトリックがあったから自分に使ってみた。
なんていうくだらん理由なんでしょうかね。

それにしても、殺人行為をテレビドラマの話と同じように語り合い、遊びとして実行する5人を、面白おかしく描いてますが、フィクションとして読んでいる時代はとっくに過ぎてますよね。
リアルでも、自殺したいが自分じゃできないから、死刑になるために多くの人を殺した。
なんて言って実行しちゃうキ印がいますから。
自分大好きで、自分が1番で、根拠なき自信で一杯、自分以外はどうでもいい。
自我の塊みたいな人間が多くなってきたなぁと感じます。


余談だが、“aXe(アクス)”のアックスアクションは笑える。。。










(  ゚_ゝ゚) { 『密室とアリバイは、トリック界の飛車と角』 うまいことを言う。











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