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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


2008年版、各紙の本書の評価は以下の通り。

『本格ミステリー・ワールド』 黄金の本格ミステリー選出。
『本格ミステリ・ベスト10』 第3位。
『このミステリーがすごい!』 第16位。
『ミステリが読みたい!』 第9位。


筋金入りの本格好きにお勧めという感じの順位です。
わたくしは2008年版の各紙を読んだ時に、あらすじで興味を持ったのですが、文庫化したら読もうと考えていました。
晴れて文庫化され、手に取った感想は、厚!重!でした。(笑)
今更、“京極スタイル”の枕かと思うほどの厚い文庫を読むはめになるとは思ってもみなかった。
正直、文庫で1200ページ越えは勘弁して欲しい。
せめて、上下巻にしてくれないと、指の関節ポッキリいくよ。。。( ´ロ`)


著者の作品は、以前に 『fの魔弾』 を読んだことがある。
本書と同じく、南美希風という病弱探偵(笑)が登場するシリーズもの。
その時の印象が、正直良くなかった。
文章が読みづらく、小説というか、論文というイメージだった。
上記2008年度版のランクからもそれが伺い知れる。
超長篇作品で、理系密室ものとくると、エンタメ重視のお手軽ミステリが人気の “このミス” では倦厭されるだろう。
本格ミステリを扱った雑誌では、上位になるのはわかる。
どれだけミステリとしてのクオリティが高くても、読みづらい、難しい、長いとなると読者の受けも悪いんでしょうね。

本書に関しても、パラパラと見た時、難なく読めそうな感じがしていたのですが、かなりてこずった。(笑)
もともとの読みづらい文章に加え、密室殺人の状況に加え、トリックの解説など、かなり説明的な文章で占められていて、それをいちいち解釈、納得しながら読むのは時間がかかった。
正直、半分も理解してないんじゃないかとさえ思うほど難しかった。
密室ものは、建物内で起きる殺人ですから、どうしてもドアや窓といった建材や建築関連の知識が無いとわかりづらい。
一部、図により解説もありますが、途中からもういいやと投げだしちゃいますよ。(笑)

それと、探偵役である南美希風というキャラクターが立ってないのも気になる。
個人的には魅力を感じないんですよね。。。
彼の姉がまたウザい存在でね。(笑)
探偵が病弱っていう設定がダメなんですかね?
あと、“美希風ノート”なる存在も、なんだそりゃ?で白ける。
死と隣り合わせの病弱探偵という設定を考えたらわからなくはないが、薄幸の美少女かよ!? と突っ込みたくなるほどのメルヘン? 乙女? なヒロイン症候群発症しちゃってる男には、やはり、魅力を感じない。(笑)


肝心のミステリに関しては、2000ピース級の巨大なジグゾーパズルをよくぞ完成させたと拍手。
ある意味、賛辞でもあり皮肉でもあるが。。。
1つの物語にいくつも密室による事件を盛り込んでいる上、実現可能かどうかとか、納得できるかどうかは別として、不備の無い解答が提示されている点は、昨今ではあまり見ない密室ものミステリでは、本格だと言える。
問題は、実現可能とは思えない認識、というよりは、常識を持っている大多数の読者を納得させるものではないということ。
非常識だからこそ成り立つ密室トリック。
成立させる為に、作者に都合のいいような設定、展開がしくまれている。
“完璧なトリック” というよりは、 “完璧なプログラミング” と言い換えてもいい。
完璧過ぎて逆に不自然。

2000ピースもあるジグゾーパズルでも、裏にナンバリングされていれば、難なくすばやく、完璧に完成させることができる。
それを知らされない読者だけが思考錯誤しながらパズルに挑むわけです。
ミステリが作者優位であるのは納得だが、作者本意というのは納得できんだろう。
一般的な常識だとか認識や、人間の心理などとといった共感覚を、ある程度は意識した作品でないと、完璧なトリックだと堂々と出されても、そう思ってんのはあんただけだよと言われるのがオチじゃないかと思う。


読者は、ぐうの音も出ないほどこてんぱんにのしてくれるミステリを待っているドMなんですよ。(笑)
それは、突拍子もないトリックなんかではなく、読者の持つ常識を踏まえた上で、その常識を覆すような謎、上回るような不思議だと思う。
そういう意味では、あれだけ徹底して自己中心的なトリックを展開すりゃ、謎解きなんぞは不可能だろうと皮肉りたくもなる。

本書の事件は劇場型であり、犯人像もかなりの自信家かつ、自己主張が強く傲慢で幼稚。
なんだか、本書そのものという感じがする。(笑)
終始、ドヤ顔してる著者の顔ばかりが目に浮かぶ。(笑)















※ これ以降ネタバレしてます。































キングダムというだけあって、密室オンリーの頭の痛い作品だった。
5つも密室トリックを考えるだけでもすごいとは思う。
ただ、普通の、一般ピープルから言わせてもらうと、あんなん無理でしょうね。(笑)

第一の密室(三重密室)では、誰がどう考えても、抜け道とか隠し部屋があんじゃねぇの? と思うはず。
しかし、病弱探偵を筆頭に、警察関係者、マジシャンと、誰も現実的な案に言及しない。。。
さんざん、小難しく奇怪な密室トリック案を聞かされて、やっとこ気づくヘボっぷり。(笑)
ちょっと待てよと突っ込まずにいられん。
イリュージョン系のマジシャンが住む邸宅で、密室殺人ですぜ?
絶対、館に仕掛けありと、まずは思うのが普通のというか、凡人の発想だと思うのだが。。。(´~`)
三重密室!! と派手に騒ぎ立てても、抜け道あったら、ただの猟奇殺人だよ。。。がっかりだよ。(笑)

第二の密室(優しい密室)では、殺人と思わせておいて、実は自殺だったという密室の本質を問う展開は秀逸。
殺人と思われない為にほどこした密室工作。
何故、密室にしなければならなかったのか? このホワイダニットが素晴らしいと思う。
密室=トリック殺人というミステリのお約束というか、固定観念を覆す発想は見事。
ただ、庭で枝切りバサミを胸に突き刺したばーさんが、仰向けでほふく前進しながら、縁側を這い上がり、自室を密室にするという行為は、どう考えても不可能。(笑)
命がけの必死さと、仰向けのほふく前進を想像すると、ちょっぴり笑えなくもないが、認知症を発症しているどころか、心臓病を患っているばーさんには無理。
残された状況証拠から考えたら、ばーさんの自殺が正解なんですけど、理論上、計算上問題なかったら何でもアリなのか? と疑問に思う。

第三の密室(図書室の密室)では、とにかく何もかもが完璧過ぎる。
ドライアイスとか、バックドラフトだとか。。。
そんな都合よく、タイミングよく仕掛けが発動するわけないでしょうに。。。┐('~`;)┌
あまりにも著者本位の無茶苦茶なトリック。
著者の完璧なお膳立てなんだから、犯人が完璧な密室を作れるのは当然過ぎて、逆に神懸かり的な犯人のすごさが伝わらない。


完璧過ぎる密室について、あれこれと突いても無意味な気がしてきた。
かといって、犯人について言及するのも気が引ける。
吝家の当主が双子かと思いきや、三つ子だったという展開は、ちょっとだけ驚いた。
双子の入れ替えトリックはありだなと読者に匂わせておいて、一郎を早々に殺害し、その疑いをあっさりはずさせた作戦はすごい。
けど、盲目の二郎が一連の密室殺人の主犯というのはありえん。。。(笑)
人間の情報収集能力の9割は視覚から得ているのに、お手伝いさんという共犯がいたとしても現実的ではない。
無さ過ぎ。(笑)
それともわたくしが盲人の能力を侮り過ぎているのだろうか?
盲人というか、超人ですよ、エスパー二郎だよ。
おまえは神かよと思うほどの完璧密室殺人を成し遂げた二郎なのに、何故か、まぬけなうっかり発言で犯人であることがバレてしまうのもどうなの?┐('~`;)┌
天才なのか、バカなのかわからん。


わたくしは、マジシャン・一郎の弟子兄弟が犯人かと思ってましたね。
殺人は全て、吝家で密室という形で実行されていた。
重要なのは、犯人が隠し通路の存在まで知っていたこと。
マジシャンとしての技能はもちろんだが、吝家に自由に出入りでき、隠し通路の存在まで知っている人間は、数が限られる。
そして、明確な意思を持って殺害したのが一郎だけであり、動機もマジック絡みなのかなぁと。
まさか、三つ子の存在に、盲目犯人とは。。。



トリックにしても犯人像にしても、無理あり過ぎと思うのはわたくしだけなんでしょうかね?
本格ミステリとしては良作ではあると思うが、読者の納得を得られるのかなぁ?
トリックは面白いものを一杯持って、センスも良い。
けど、犯行現場の状況説明の悪さや、数式ですべてを立証しようとするデジタルな完璧性を感じる。
それと、キャラクター性が悪い。
厳しいことを言えば、人を惹きつける魅力が著者自身にないから。。。と思われて仕方ないかも。










(  ゚_ゝ゚) { 『この犯人はトリックをポケットに入れて持ち歩いている。』 入れ過ぎでパンパンでんがな。









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