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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


福家警部補シリーズ第二弾です。

全体的に前作よりも質が劣る。
倒叙型のミステリは、ミステリの中でも難易度が非常に高いので、手を出す作家がいないという現状では、本書は秀逸な作品であることは確かではある。
しかし、本家である 『刑事コロンボ』 のレベルの高さを知っているだけに、どうしても見る目が厳しくなってしまう。

本格ミステリとはいえ、今回ばかりはかなりご都合主義な展開が目立つ。
意図的に伏線を隠している点が気になる。
探偵と読者が同時進行的に、現場の状況や、容疑者の描写などが知り得ない。
福家の発言で初めて情報を得られるというパターンが多く、ちょっと神(作者)の視点で有利に描かれているのではないでしょうか。
さらに、福家の発言は客観的事実ではなく、主観的意見なので、客観的な情報が得られない。
福家(作者)に誘導されるような形になるので、読者自身が考える余地を与えてくれないので不満が残る。

















※ これ以降ネタバレしてます。








































内容と、ちょこっと感想。



◆ マックス号事件

犯人: ハラダ警備保障 会社社長 原田明博
被害者: 川上直巳(素行調査の元フリー女性調査員)
殺害動機と方法:

過去に探偵事務所を経営していた時、原田と直巳は調査対象者の弱みを握り、金銭目的の強請りを行っていた。
大会社の社長と成り上がった原田は、過去の悪行をネタに強請ってきた直巳を、客船でのクルーズ旅行に誘い、航海中の客室で、直巳を警棒で殴り殺す。


原田が犯人であるという決め手は、被害者の爪から検出された指紋。
直巳と争った時に、ネクタイピンを掴まれ奪われた原田は、直巳が握りしめている指を開こうとして、塗りたてで半乾きの爪に触れてしまい、指紋を残してしまう。

ネイルケアをする女性には、よく理解できる話かと思う。
なかなかマニキュアが乾かないイライラさとか、うっかり爪に触れて台無しにした時のガッカリさといった、苦労を思い起こさせるような作品。(笑)





◆ 失われた灯

犯人: 脚本家 藤堂昌也
被害者: 古物商 辻伸彦
      三室勘司(役者志望の青年)
殺害動機と方法:

脚本家として大成している藤堂の記念すべきデビュー作が、盗作であったことを知った古物商の辻は、それをネタに藤堂を強請っていた。
耐えかねた藤堂は、ある殺人計画を実行する。
自らが誘拐されるという狂言誘拐を起こし、アイバイを確保しつつ、辻を自宅で焼死させる。
さらに、演技の稽古と称し、誘拐の犯人に仕立てあげた役者志望の青年・三室を射殺し、正当防衛を主張し罪を免れようとする。


藤堂が犯人であるという決め手は、古物商の辻が、壊れた燭台をカップの代用にしていた現場を目撃していた藤堂が、福家の前で燭台の写真をカップと発言してしまったこと。
燭台がカップの代わりになっていたのは、犯行当夜だけであったことから自ら墓穴を掘った形になる。

愉快犯的な大胆さと派手さで、脚本家らしい凝りに凝った計画犯罪(トリック)だなぁと思う。
どう考えても、事故に見せかけて殺す方が、シンプルだし手間もかからず、犯罪性が見抜けずらいと思うのだが。。。(笑)
また、著者に都合良過ぎな証拠がバンバン出てくるのが痛い。
そんだけ手がかりがありゃ、バカでも真相にたどりつける。(´ー`)┌
個人的には、こういうトリッキーな作品は好きなんだが、もったいない。。。
本作では、シリーズ一作目で登場したバー「リッジ」が再登場するというオマケつき。





◆ 相棒

犯人: 漫才師(山の手のぼり) 立石浩二
被害者: 漫才師(山の手くだり) 内海珠雄
殺害動機と方法:

人気に陰りが出てきた漫才コンビ・山の手のぼり、くだりを解消し、独立して再起に賭けようとする立石だが、それに反対する内海を説得できず、二人が所有する別荘のベランダから内海を突き落として殺害する。


立石が犯人であるという決め手は、内海をベランダから突き落としたはずみで、松の木にひっかかていたレコーダー。。。

ということだが、どうも納得のいかない内容。
立石は、そのレコーダーに事件当夜の会話などが録音されているかもしれない、という疑心暗鬼から観念したというオチで良いのだろうか?
立石の言う通り、レコーダーが落ちた衝撃や、雨にさらされたことで故障している可能性もあるし、そもそもベランダから内海を突き落とした時に、録音状態であったかどうかもわからない。
それよりも、内海自身が立石に殺害されるかもしれないという事を自覚していて、いつ、だれと何処で会うかといった情報(証拠)を、レコーダーに吹き込んでいた可能性が高いということなんですよね、きっと。(笑)
内海が何故か事件当夜、ステージ衣装を着ていたという理由は、福家はわからないと答えていますが、事故として処理されないような異様な状況をと考えてのことなのか、それとも、最後まで漫才師でありたいという気持からなのか。。。
どちらにしても、内海は立石に殺害されることを知っていて、それに抵抗しようとも思ってなかったんじゃないですかね。
内海が認知症を患っているんじゃないかってことは、すぐにわかってしまうので、自然とホワイダニットに視点が移るが、そこがどうもすっきりしない。





◆ プロジェクトブルー

犯人: 玩具企画専門会社(スワン・インプ)社長 新井信宏
被害者: 西村浩(造形家)
殺害動機と方法:

玩具業界で名を馳せる新井だが、老舗メーカーが発売したソフトビニール製の怪獣フィギュアを複製して売っていた過去を、フィギュア制作に携わる西村に知られてしまう。
強請られた新井は、自動車事故に見せかけて西村を殺害する。


新井が犯人であるという決め手は、西村を彼の工房で殺害した時に、新井が持っていた塗料と、工房にあった塗料を取り違えてしまったこと。
殺害当夜のアリバイとして、フィギュア製作をしていたと主張するが、その時に使用していた塗料は、西村の工房にしかない希少な塗料だった。

決定打が、都合良過ぎ。
塗料を取り違えたという点はまだしも、その塗料が希少なものでうんぬんは、著者に都合良過ぎて納得しかねる。
せめて、本家である 『刑事コロンボ』 のように、しっぽをなかなか出さない犯人に、罠を仕掛けるくらいのギミックさがあった方が面白いのだが。。。











(  ゚_ゝ゚) { 『人がふだんと違ったことをすると、気になる質でして。』 いわゆる女の勘ってやつです。







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