Bk.087 軽井沢マジック

01:17 Tue 30.09
軽井沢マジック (講談社文庫 に 22-22)軽井沢マジック (講談社文庫 に 22-22)
(2008/09/12)
二階堂 黎人

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::: ミステリ ::: ★☆☆☆☆


水乃サトルシリーズ第一弾です。
一作目よりもお先に、2008年9月に発表された新刊 『鬼蟻村マジック』 を読了しました。
二階堂蘭子シリーズよりもライトな本格ミステリであり、とても読みやすく中々の出来栄えだったことと、たまたま講談社より一作目が文庫化されたので、これを機に読んでみました。

初出は、1995年徳間書店より出版され、タイトルに、 “地名+マジック” と明記されるシリーズ作品。
要は、二階堂流トラベル(旅情)・ミステリということなんでしょうか。
トラベル・ミステリと言えば、西村京太郎や、内田康夫を思い浮かべるが、本格畑の島田荘司が西村京太郎を意識した作品を書いているのに対して、島田荘司と同じく、本格ミステリを得意とする著者の水乃サトルシリーズは、内田康夫の浅見光彦シリーズを意識していると思われる。
興味深い構図である。(笑)
浅見光彦シリーズでは、警察庁刑事局長を肩書きに持つ兄の威光を嫌々ながら借りて、事件解決に奔走する爽やか好青年が主人公の浅見光彦が活躍しますが、二階堂流は、警察機構に絶大な権力を持つ代議士の身内、という特権を利用して、事件解決に奔走するチャラ男な変人が主人公の水乃サトルが登場する。

浅見光彦シリーズが、歴史やそこで生きる人々にスポットを当てた社会派で、人間味溢れる情緒的な旅情ミステリなら、水乃サトルシリーズは、ライト感覚な本格推理を目指したトラベル・ミステリといった感じです。
感覚的に、英語か日本語かの違いだけですが、作品の雰囲気は丸きっり違う。
旅先という土地柄をいかにミステリに組み込むかという点に於いては、本書は内田ミステリにはまだまだ及ばずというところ。
本書は単に、事件が起きた場所が軽井沢だったというだけで、事件の本質はどこが舞台でもかまわないほど旅情感がない。


それと、主人公・水乃サトルのキャラクターですが、変人の美青年という設定らしいが、特に、変人らしい言動は見受けられない。
外野があーだこーだと変人ぶりを説明するだけでは説得力がない。
日常の行動や、その応用でもある推理などで、発揮して欲しかった。











※ これ以降ネタバレしてます。





























純粋なトラベル・ミステリと異なる長所は、本格ミステリらしい謎と、推理にあるはずなのですが、後半の謎解き段階になると、読者を納得させるだけの解決が成されたかというと疑問が大いに残る。
また、作家が別荘で変死を遂げた事件と、ホテルの経営者が殺害された事件が、リンクしておらず、掠めた程度の接点しかないので腰砕け状態。
列車内での不可能殺人というトラベル・ミステリらしい道具立ても、有効活用されていない。
共犯者が、3人も4人もいれば、そりゃどんな不可能と思える殺人でも可能だろうよと思えてならない。
ナイフのバトンリレーで、列車に凶器を持ち込むのは容易い。
屋根の上で殺害されたジャーナリストにしても、宗教団体の教祖の正体を暴き、騒いだとしても確たる証拠はない。
教祖の若かりし頃の映像を観られたくないばかりに殺害する、という動機も心理的に非現実的。

おそらく、オウム真理教の事件にヒントを得て書かれた作品なのかと思うが、著者の作品にしては、手抜きしたのかと思うほど内容が浅い。
重々しい二階堂蘭子シリーズに対して、軽めのミステリが欲しかったという気持ちが読者としてはあるが、せめて、アッと驚くようなトリックが1つくらいはないと、読み捨てられそうな気がします。









(  ゚_ゝ゚) { 『人の考えだすことは、所詮、人によって解かれてしまう運命にあるんですよ。』 変人らしからぬ真っ当な意見です。









テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

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