Bk.083 すべてのものをひとつの夜が待つ

13:26 Fri 12.09
すべてのものをひとつの夜が待つ (光文社文庫 し 33-1)すべてのものをひとつの夜が待つ (光文社文庫 し 33-1)
(2008/08/07)
篠田 真由美

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::: ゴシック・ロマン・ミステリ ::: ★★★☆☆


著者の作品では、代表作でもある 『建築探偵・桜井京介の事件簿』 のシリーズを読んでいる。
このシリーズ以外の作品は未読でした。
今回、本書が文庫化になったのを機に図書館でお借りしました。

建築探偵シリーズの方は、ロジック重視の本格ミステリで、個人的な好みに合っているはずなのだが、好きになれない作品であるのに対して、本書は、どちらかというと2時間サスペンス並のロジックであるにも関わらず肌に合った。
久しぶりに、新本格らしいミステリを読んだせいかもしれない。


あらすじは、本州最南端の孤島に立つ、資産家・満喜家の洋館に、5組10人の男女が集められる。
彼らの中から、10日以内に館内からダイヤを発見した者が、莫大な財産を相続できるという。
しかし、外部から隔絶された環境で、謎の連続殺人事件が発生する。

新本格らしい魅力的な設定と謎。
これだけでワクワクしながら読みたくなるのだが、ダイヤ探しのアドベンチャーに、シリアルキラーから逃れるためのサバイバルというサスペンス要素が付加され、面白さ倍増。
ページを捲る手が止まりません。
正直、著者の読みづらい文章と、520ページもの長編を読むには、かなりの気力と集中力が必要だなぁと思っていたのですが、個人的には、建築探偵シリーズよりは、楽しめたのは意外でした。
それと、著者自身、 “ゴシック・ロマン” と語っているだけあって、カチカチのロジカル・ミステリではなく、幻想小説と現代ミステリが程よく混ざり合っており、皆川博子ほどコアでない分、かなり読みやすかった。
しかし、本格好きからすると、その謎解きには納得出来ないことづくしですが。。。(笑)














※ これ以降ネタバレしてます。








































孤島に渡って、宝探しゲームがスタートするまでが、結構、長くて苦痛だったりする。
その第一章でまず、その後の500ページもの長編を読む自信を削がれる。(笑)
乗り越えられず挫折する読者も多数いることだろう。(´ー`)┌
そして第二章に入り、早速お宝探しかと思ったら、それもそこそこに第一の犠牲者が発見される急ピッチな展開。
第三章からは一気に、連続殺人事件へと発展。
宝探しゲーム自体が謎だらけなのに、その上、閉鎖的空間での連続殺人事件である。
しかも、登場人物達の正体すら謎。
こんな論証も提供されない設定や状況で、本格ミステリらしく、探偵が出てきて事件を解明するなんてことは不可能。
また、伏線を巧みに張るタイプの作者でもない。
そのせいか、連続殺人の展開から、殺害方法までがとってつけたように重要視されていない。
これがロジカルなミステリだったら、殺害現場にいろいろ伏線張ったり、遺体の検証やらなんだでページを割くところですが。

本書の犯人は、ヘタレ・杜夫に言わせると、“妖精”(笑)である岬桜子であり、この頭のおかしい女が、満喜家の相続人を皆殺しにする為に、計画した殺人という名の処刑だったわけです。
殺人犯がキ印とされてしまうと、殺害動機がどうのとか、殺害方法に至るまで、現実的には考えられない不可能犯罪であったとしても、何でもありなので何も言いようがない。
事件の解明も、後日談のように語られ、ミステリ部分に関しては、まさに2時間サスペンスもどきである。


個人的には、家捜しらしいことなんぞまるっきりしていない宝探しで、もうちょっと楽しませて欲しかった。
しかし、巨大ダイヤなんぞ元から無いという設定な上、舞台でもある館の複雑な構造を文章で説明されてもチンプンカンプンなのに、建物の全体図すら無いことから、宝探しどころか、館もののミステリとしても作者自身に関心が無い事が窺える。
あくまでもゴシック・ロマンだもんと作者は言いたそうだが、のわりには、“館ミステリの真髄!” なんていうコピーはどう解釈しろと?(´ー`)┌

だったら、冬樹と杜夫の感動の友情(兄弟?)物語の方で、本格らしいトリック(騙し)が欲しかったかなぁと思う。
2人の人物像や関係性も描き足りてないので、感動も薄い。
特に、冬樹が何であんなにも捻くれた人物なのかとか、杜夫が何故、嫌悪しつつも冬樹との関係を断ち切れないのか、など、理解に苦しむ読者も多いかと思う。
同じく捻くれ者のわたくしとしては、冬樹の気持ちは痛いほどわかるし、兄弟(姉妹)を持つ身であれば、杜夫の行動も理解しやすいのですけどね。
まぁ、ヘタレ・杜夫が生き残って、探偵役に向いていた冬樹が死んでしまう展開は、ある意味、読者にとってサプライズではあったが。(´ー`)┌










(  ゚_ゝ゚) { 『閉鎖空間の悪夢「館ミステリ」の真髄!』 真髄言うなら、館の間取り図くらい載せろ。







テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

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