Bk.062 深泥丘奇談

23:14 Tue 22.07
深泥丘奇談 (幽BOOKS)深泥丘奇談 (幽BOOKS)
(2008/02/27)
綾辻行人

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::: ホラー ::: ★★☆☆☆


1980年代後半から、新本格ミステリというブームを巻き起こした立役者でもある綾辻行人が、新たな新境地として世に送り出した作品。


綾辻作品はわたくしも非常に好きで、本格ミステリにのめり込むきっかけは、著者の 『十角館の殺人』 に他ならない。
著者は本格ミステリだけではなく、ホラー小説家としても有名。
ただし、そっちはスプラッター系のホラーなので、個人的には好みではなく全くの未読状態です。
ところが今回、いわゆる “怪談” を書いたと聞き、興味を持ち読んでみた。


怪談というと、 『四谷怪談』 や 『番長皿屋敷』 のような作品を連想してしまいがちだが、本書は、怪談というよりは、夢野久作の 『ドクラマグラ』 に近いという印象。
怪奇であり、ダーク・ファンタジーの様相でもある。
物語の舞台となる環境設定だけでなく、登場する人物設定などがかなりモダンなので、非常に読みやすい。
得体の知れない架空の町、そこに住む不気味な人々、その中で起こる奇怪な現象を、語り手であり作家の男が体験するのだが、この男がまた自律神経を病んでいて、記憶障害もある精神的に脆弱な人物という設定なため、怪奇現象が現実の出来事なのか、幻想なのか、はたまた夢なのか、まったくもって不明。(笑)
そこが怪奇現象が怪奇たる所以なのかもしれないが。。。

文章自体は大変読みやすいのだが、読みやすいからといって内容が理解出来るとは限らないのが本書の特徴でもある。
例えていうならば、ミステリ小説なのに、犯人が誰だかわからない状態でピリオドが打たれてしまう。
そんな感じです。(笑)
9編の連作短編として構成されているのですが、わたくしが理解できたのはそのうちの5編だけ、残りの4編は、全くわけがわからない。(´ー`)┌
短編なので、何度か読み直してみても解決できないで終わる。
著者の言葉を借りるのであれば、 “この世にはね、不思議なことがあるものなのです。” である。
これまで本格ミステリを好んで読んできたわたくしにとって、納得できない(非論理的)物語は苦手。
自分の読解力が不毛なだけなのか、著者にだけ理解できる論理性があるのか、謎です。
読み終わっても、 “?” ばかりが頭に残り、気になって仕方が無い。
それこそが著者の狙いなのかもしれないですけどね。(´ー`)┌

解決できない、謎のまま終わる、そんな物語に抵抗感のない方は大丈夫ですが、論理性を求めてしまうガチなミステリ好きには向かない作品でしょう。
個人的に、内容はいまひとつでしたが、祖父江慎デザインによる装丁は素晴らしい。
贅沢な本である。
細部に渡りイラストがあり、和紙の様なやわらかく暖かみのある質感の用紙も手触りが良い。
“怪談絵巻” とは良く言ったものだと感心する。
ジャケ買いして、部屋に飾っておくのも趣があってよろしいかと思う。













※ これ以降ネタバレしてます。






































9編の短編で最も理解しやすい作品は、

『顔』 、 『長びく雨』 、 『悪霊憑き』 、 『サムザムシ』 、 『開けるな』 の5編だと思う。
『顔』 と 『サムザムシ』 は、漫画家・梅図かずおタッチの作品で、気持ち悪い系。(笑)
女性向きではないですね。
『開けるな』 はショートショートの名手・星新一風のオチが面白いです。
個人的に高評価なのが、 『長びく雨』 と 『悪霊憑き』 です。
ホラーミステリな作品で、怖気が走るような怪談らしさが1番出ているのではないでしょうか。

問題は残りの4編です。
とくに気になるのが、 『丘の向こう』 、 『六山の夜』 です。
『丘の向こう』 は、ファンタじーでありながら、どこか言い知れぬ恐怖感を感じさせる、宮沢賢治の 『銀河鉄道の夜』 を連想するような作品。
『六山の夜』 は京都の送り火をモチーフにした作品なんですが、どちらも、知りたい部分が濁されて終わる。
1番最後の 『声』 まで読みきれば、謎が解明されるのかと思いきや、謎は謎のまま終わる。(笑)
気になって眠れないです。(笑)









(  ゚_ゝ゚) { 『ぐらあぁっ、と世界が揺れる。』 虚脱感で揺れましたけどね。。。






テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

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