奇跡の人 奇跡の人
真保 裕一 (2000/01)
新潮社
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奇跡の人奇跡の人
(1997/05)
真保 裕一

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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


真保裕一といえば、専門家もビックリの知識を、思う存分発揮した作品が多いのですが、本作は事故で絶望的な脳死状態から蘇えった “奇跡の人”克巳が、失った記憶を辿る物語。
当然の事ながら、医療関係の知識満載です。
勉強家だなぁ〜 と感心します。 (´ー`)┌








※ これ以降ネタバレしてます。



























事故により、言葉も記憶も失った克巳が、生まれたばかりの赤ちゃんが成長しいくように、一から自己を確立していく。
前半の主人公と、彼を取り巻く環境はとても優しく感じた。
特に主人公は31歳という年齢に反して、脳障害により中学生程度の知識と学力しかないせいか、とてもピュアで好感が持てるキャラクター設定だ。
しかしこの人格は “造られた人格” であり、読者は完全に騙されるでしょう。

8年という闘病生活を経て退院も果たした。
しかし病院や亡くなった母親がひた隠した克巳の過去(記憶)にとらわれてしまう。
失った記憶を取り戻すことは不可能だと知りながら、自分の生い立ちを求め旅にでる。
その先々で、今の自分とはかけ離れた過去を知らされる。
後半、克巳はストーカー以外の何者でもありません。 (´ー`)┌
自分の過去を知りたいが故に、犯罪スレスレの行動にでる。
そこまでしなくても。。。と思ってしまうほどひどいものだった。

記憶は絶対に戻らないのに、元恋人を執拗につけまわす。
しつこく粘着質な人格がどんどん浮き彫りにされていく。
前半の人柄を知っていて、感情移入してるだけにこの落差はきつかった。
本来ならこの落差を悲劇として感じるとこなんでしょうが、正直、後半の克巳は気持ち悪いの一言です。
作者の狙い通り(?)、落とし穴にはまってしまった。

残念だったのが、克巳の過去を延ばしに延ばしたわりにはたいしたことがなかった。
さらに、克巳が元恋人に異様に執着しすぎに思えた。
いくら恋人だったと言われても記憶はないのだから、しつこく食い下がるのはやりすぎじゃないのかなぁ。
あと、余談ですが克巳の病院仲間のトモさんの容態が気になります。
克巳を病院に戻す口実だったのかもしれませんが、非常に気になります。。。 (´ー`)┌


印象に残ったのは、8年間の隔離された病院生活と、子供の心を持った大人を社会はひどく否定的だったこと。
精神が未熟な子供なのに、見た目が大人な為、犯罪者的扱いを受ける主人公はひどく哀れでした。


“記憶” と “人格” というのは密接した関係にあるのに、人格だけ蘇ってくることってあるんでしょうか。。。
克巳の一人称が 『ぼく』 だったのが、ラストでは 『おれ』 に変化していき、狂気的で暴力的な人格だけ復活した彼をみるのはつらかったです。
ラストは “奇跡の人” が再び “奇跡” を起こします。
しかし取ってつけたような “奇跡” は、晴れ晴れしくすっきりした気分にはなれませんでした。
ひどく憂鬱で後味が悪かった。
けれど、見捨てることも嫌うことも出来ない不思議な作品でした。







(  ゚_ゝ゚) { 『ぼくという誰でもない空っぽの人間が生まれただけ。』 詩的だ。。。







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