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チーム・バチスタの栄光チーム・バチスタの栄光
(2006/01)
海堂 尊

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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)
(2007/11/10)
海堂 尊

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チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)
(2007/11/10)
海堂 尊

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::: メディカル・ミステリ ::: ★★☆☆☆


宝島社から出る小説にはろくなモノがない。
というのが持論なのですが、本作はベストセラーになっただけあって意外と面白かったです。
ただし、本格ミステリではないし、パズル要素のあるギミックなミステリでもない。
エンターテインメント重視のミステリーですね。
なので、事件の犯行動機だったり、その手口や、解明の方法は作家本意もいいとこです。
また、専門用語も多いですし、エンターテインメントなわりには、リズム感のない読みずらい作品ではある。
特に探偵役が登場するまでのくだりがダラダラと長いので、物語の作り手としては演出効果が下手。
同じようにエピローグもダラダラと長い。
あれもこれもとエピソードを入れたいのはわからなくもないが、主要な部分以外は、読み手に想像させるだけの完結な一文だけでも良いと思える。
まだかよと思わせる踏ん切りの悪いラストは爽快感を失うだけ。

しかし、医療ミステリというと、大抵が社会性の強い内容になりがちですが、エンターテインメント化した点は面白いとは思う。
“不定愁訴” という聞きなれないが、現代人が抱える疾患にスポットを当てていることも目新しく感じたし、何よりも、厚生労働省の役人であり、本作の探偵役・白鳥という男のキャラが強烈なのだ。
この人ありのキャラ本といっても過言ではないだろう。
犯人を追いつめるためには、自分自身がヒールに徹して憎まれ役を買うことも、ピエロになっておどけてみせることもへっちゃらな、鉄のハートを持っている白鳥は犯人からしたら強敵。
彼には “ゴキちゃん” というピッタリな相性(笑)がある。
古代から環境の激しい変化にも全く堪えず、絶滅のぜの字も知らなさそうなゴキブリのタフさと、大概の人から忌み嫌われるというところからきているのだが、そのキャラクター性が面白くて、次回作も読んでみたくなる。
怖いもの見たさってやつですね。(´ー`)┌
おそらく、映画化するんじゃないんですかね、これ。


不定愁訴外来・田口医師と、厚生労働省の役人・白鳥とのコンビは、シリーズ化されており、現時点で本作以外に、 『ナイチンゲールの沈黙』 、 『ジェネラル・ルージュの凱旋』 という作品がありますが、どれも内容は別として、タイトルのつけ方がインパクトがあって良いですよね。
それと装丁のデザインが好きです。
3作品それぞれメイン・カラーが、黄色、水色、赤となっていて、この3冊が本屋で平積みされていると、とにかくビビッドで目を引く。
ジュブナイルか? と思うほど子供っぽいデザインですが、わかりやすいシンプルさが逆に良い。












※ これ以降ネタバレしてます。





































わたくしは医療技術に関しての知識が全くないので、医者が書いているからそうなんだろうというスタンスでしか読めないのですが、とある外科医によると、医療小説としては全く成っていないらしい。
“バチスタ” という術式にしても現在の日本では過去の産物らしいですし、心停止したからといってすぐに死亡と判定する事に対しても、ありえないとのことです。
バチスタ、バチスタとやけに連呼する三流医療ドラマの影響で、一般人にもその術式名が知れたこともあり、素人相手なんだから “バチスタ” って出しときゃ売れるとでも思って、医師のくせにいい加減な知識で見切り発車したんですかね。
これが、真保裕一や貴志祐介だったら、本物の医者よりも真に迫った作品になるところですが。。。(´ー`)┌

こちらとしては、 “バチスタ” という特殊な医療技術ならではのトリックがあるのではないかと楽しみにしていたのですが、結局のところ、麻酔医師が犯人であり、その麻酔をかける段階で殺人が行われているという身も蓋もない設定。
なので、心臓の手術だろうが、痔の手術だろうが、何でもよかったというオチ。。。(´ー`)┌
しかも、解剖すれば一発で死因が特定されるじゃんという突っ込みを敢然と無視しまくるという強引さ。
本格的なミステリとしてあるならば、 “解剖したが原因不明” と、徹底して常識的な可能性を全て破壊してから、読者をアッと言わせるトリックでびっくらこかせるというのがセオリーと思うのだが、常識を破壊しない非常識な破壊的ミステリである。'`,、('∀`) '`,、
誰からも尊敬される偉大な医師・桐生がですよ、自分の失敗した手術の原因を探るために、わざわざ真相を解明して欲しいと調査依頼をするくらいなのに、何故か、手っ取り早い解剖は拒否というのはどうしても解せない。
なんだかんだと理由をつけますが、誰がどう見ても自己保身でしかなく、解剖は死んだ人間と、残された家族の権利を守るものだという考えはない。
フィクションの中の医師ですらこうなんだから、現実の医者なんか解剖を勧めるどころか、毎日医療ミスのオンパレード状態で、それを隠すことで頭一杯なんでしょうけど。。。(´ー`)┌


ミステリとしての面白さはないといってもいいくらい、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットどれをとっても秀でているものはない。
桐生ブラザーズが犯人でなければ、犯行可能なのは麻酔医師・氷室しかいないし、そうなると自ずと犯行方法も想像できるわけで、本作はミステリの3本柱は無視して、犯人を特定するための過程に焦点を絞っている。
事情聴取という形を用いて、田口と白鳥の両バージョンで楽しめる。
田口の事情聴取は誰もが想像できる範囲での、一般的な聞き取りであり、その基礎データを元に、読者の意表を突くような聴取を行う白鳥の2人の対比は非常に興味深い。
2人の立場が見事に逆転しているところが面白い。
田口と白鳥はお互い医師免許を持つ列記とした医師である。
本来であれば田口の方が、不定愁訴という疾患と向き合っているだけに、患者の内面に入り込む必要があり、“人を見る目” というのが養われているはずなので、探偵役であってもおかしくないのだが、一般的なイメージとして、書類しか見ない四角四面な役人のはずの白鳥の方が、卓越した話術と心理的な戦略で、探偵としての才能を発揮しているというおかしな構図なのです。
とはいうもののこの2人は、2人で一人前なんですよね。
基礎が得意な田口に、応用が得意な白鳥って感じです。


強烈な個性を放つ白鳥ですが、外見的なキャラクター設定が “小太りで子持ちのおっさん” という点が問題。
人気キャラに押し上げるには、小太りのおっさんは最悪です。
ちなみにわたくしは、 『名探偵コナン』 の「探偵甲子園」(Volume54,55)に登場してくる、時津潤哉というキャラクターを想像していただけに、小太りのおっさん設定にはすっごいショックだったりする。。。(´ー`)┌








(  ゚_ゝ゚) { 『天は、なぜあの時、氷室を殺さなかったのだろうか。』 神様もたまには壊れるんじゃないの。。。?







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テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌


















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東城大学医学部付属病院で結成された、心臓移植の代替手術専門の天才外科チーム。 そこで術中死が続発。高階病院長は不定愁訴外来の田口医師... 粋な提案【2009/04/28 14:51】
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