::: 伝奇・ミステリ ::: ★☆☆☆☆
以前から本屋に行くと、平積みされていて気になっていた本だった。
映画化の話もあり、上映後、DVD化されるほど時間が経たないと、図書館では借りられないかなと思っていたのですが、あっさり借りられたので、ちょっと不審に思いつつも読みました。
元々は、2001年に同人誌として発表された作品らしいですが、アマチュアとしは異例の人気を博したそうで、2004年にめでたく講談社より上下巻として刊行されました。
内容としては短編と中編の単独したストーリーが数本あり、それらが時系列を変えて、1本の長編として繋がっているという構成。
この本を手に取ったきっかけというのが、まず、表紙のイラストが良かったのと、映画化されるという話題性に、解説をミステリ作家で、書評家でもある笠井潔が書いており、他の雑誌でも彼は本作を絶賛していたから。
笠井潔のファンというわけでもないのだが、プロのミステリ作家が太鼓判を押すなら面白いのだろうと、安直かつ他人まかせのいい加減さで、あらすじさえろくすっぽ読まないで借りました。
勝手にミステリ作品だと思い込んでいたのだが、読了してみればミステリというよりは、伝奇小説そのものだということに気づく。。。(´ー`)┌
伝奇チックなミステリーだとばかり思っていた。
笠井潔に対して、何でこの人解説書いてんの? とか思った。
だが、わたくしは知らなかった。
彼はミステリーだけでなく、伝奇小説も書いていたことに。。。それでか。
あらすじ、推薦者に騙されたというよりは、自分の勝手な思い込みに騙されという感じです。
霊能力者とか、吸血鬼、魔術師。。。etc。
そんな超人、奇人、変人(?)が登場してくる伝奇小説は嫌いじゃないです。
嫌いじゃないけど、本作は好きにはなれそうもないし、面白い作品とも思えなかった。
つまらなかった。
つまらない作品ほど、大量ページの作品が多いと再確認したほど。。。
プロの作家も一驚するほどの技術力と表現力はあると思うしパワーを感じる。
ハードルが下がりつつある現在の出版業界のレベルからしたら、十分商業化できる作品だとも思う。
ただ、誰が読んでも明確な事は、単なる “オタク本” にすぎないということ。
マニアックな趣向を持つ人限定な作品なので、一般的な意味でのベストセラーには成りえない。
清涼院流水や、西尾維新の系統を継ぐような作品なので、好き嫌いがはっきりわかれる。
何がつまらないかというと、アニメ『エヴァンゲリオン』の伝奇版としか思えないどころか、それすら超えていないことと、オタクな設定に、論理武装による文体、構成。
型にはまったようなオタクキャラには辟易です。
どMな戦闘美少女に、お兄ちゃん大好きな妹キャラ。。。
ベタベタです。
変態思考なオタク野郎が萌え〜とする設定っすね。ウヘェ。
さらに、頭でっかちが妄想を捻くりだして書く、屁理屈ストーリー。
論理に対して、論理で説こうとすることは、嘘の上塗りをするようなもので、真実味が失われる。
何をそんなに必死で隠そうとしてるの? と問いたくなるほど、苦し紛れの言い訳を延々と聞かされているような気になるのだ。
さらに、言えば、
“わたしは普段からこんな高尚な事を考えているが、君らには理解できないと思うからわかりやすく説明しといてあげるよ。。。”
そんな押し付けがましさをヒシヒシと感じる。
理屈に理屈を掛けても屁理屈にしかならないのに。
屁理屈には心をゆさぶられるモノがない。
登場人物らがどんな苦境や苦難に立たされても、どんなグロテスクな描写を突きつけられても、読んでる側は熱くもなければ、寒くもないし、痛くもなければ、悲しくもない。
ただ空虚な時間を過ごしただけに過ぎない。
疑似体験すらできない小説など面白いわけがない。
何よりも西尾維新を筆頭に、オタクを単なるマーケットとしか見ていないにも関わらず、そんな金の成る木である読者に対する媚を感じることが不快なのだ。
わからないヤツには、一生わからないままでよいのだと断言できる潔さが本作には無い。
オタク本の強みや魅力はその孤高さにあると思うのだが。。。
( ゚_ゝ゚) { 『“新伝綺”はここからはじまる!』 いや、もうこれが終わりでしょ。。。