::: 文芸・ファンタジー ::: ★☆☆☆☆
よせばいいのに、読んでしまった。
感動系とか、癒し系、恋愛小説、大っ嫌いなわたくしが、がんばって読んじゃいました!
そして、騙されました!
第1回 『このミステリーがすごい!』 大賞受賞作
というふれこみだったのですが、何故、本作がミステリー大賞なのか全くもって理解できなかった。
ミステリという言葉に幅をもたせすぎですよ。
どうみても本作は、ファンタジーでしかあり得ない。
本が売れないからって、こんな方法で買わせようなんて、オレオレ詐欺とどこが違うというのか!! -y( ̄Д ̄)。oO○
出版社はどこだ? 宝島社?? あぁ〜 納得。
本作の存在は、かなり以前から知ってたんですよね。
それが映画化されたと聞き、結構人気があるんだなぁとは思ってはいた。
『世界の中心で愛をさけぶ』 でもそうでしたから、図書館ですぐには借りれないだろうし、それより先に読みたい本がたくさんあるので、予約もしようとは思わなかった。
ところが、本棚に置かれているところを発見してしまった。
余裕で借りれてしまい、しかも、わたくしの後に予約待ちをしている人もいなかった。
本当に映画化されるほど人気だったのか?? 時間の無駄かな? と一瞬躊躇しましたね。
量も500ページもある長編ですし。
しかし、こ汚くなってから読むよりはマシかと思い、借りました。
読み始めは、こんなに退屈な本はないと思いましたね。
ミステリと違って、ツカミが全くない上に、海のものとも山のものともわからずに読む本ほどつらいものはない。
しかも、誰もが思うことだと思うけど、オリジナリティーに欠ける本です。
設定の全てが、他の作品の盗作としか思えないです。
盗作とは言わなくて、物語の展開が全て予想できてしまうので、意外性とか、結末の衝撃とか、一切感じられなかった。
また、人物描写も読者が感情移入しやすいような誘導がされておらず、頭の中で築き上げてきた人間関係をいきなり断ち切られて、次の登場人物へマイクを渡されたみたいで、非常に違和感を感じた。
そもそも、著者はこの作品を通して、何を訴えたかったんだろう。
それが全然見えなかった、人間の死生観を表現したかったのか?
それだったら、短く、読みやすくまとめた、セカチューの方がよっぽどマシ。
※ これ以降ネタバレしてます。物語について、あーだこーだと語る以前に、出版社側のやり方が許せない。
ミステリー大賞を選ぶなら、ミステリーを選べよ。
こういうやり方していると、純粋にミステリを書いている作家との軋轢が深くなるだけだよ。
売れれば何でもありという体質は、あさましすぎるし、本を売って食っている人間のくせに、自ら質を落として、売上を下げていることに気づかないのか?
“感動” を評価したいんだったら、感動大賞でもなんでも名目をつけて、そこでやれ!
作品に関しては、どこからどこまでが盗作だという、厳密な線引きがないので、何とも言えないが、既に世に出ている作品と、設定が酷似していることは明白。
それをそのままパクるか、自分流にさらにアレンジして、新しい物語を創るかの違いで、かなり読者の見方も変わると思うのですが、本作はそういう点で、ヒトマネで終始した駄作でしかない。
文章に関しては、デヴュー作品にしては上手なんだろうと思う。
ただ、著者の表現は、外国の華やかで、ゴテゴテとしたフラワーアレンジメントのように、飾りつけすぎな感じがある。
和風の生け花が好きなわたくしの趣味ではない。
さらに、登場人物達にベラベラと、長々と語らせるのは、読んでいてイライラするし疲れる。
それと、一番描きたい部分にページを割くならわかるのですが、脳のしくみや、施設の内情とかに説明が多すぎる。
人間や世界観、その他の描写全てにいえるけど、言葉での余計な説明ばかりが目立つ。
読者の感性をバカにしているのか、著者の表現力が乏しいだけかのどちらかだな。
登場人物についても、有能なピアニストだった如月は、指を失って夢を絶たれるわけですが、たった指1本失っただけで、あそこまで女々しく悲劇のヒロインぶるのはどうかと思います。
手袋してまで隠すか? 大人の男が? ありえないって。
そんなに気になるなら、義指くらい作ればいいじゃないかとさえ思う。
顔にひどいケガをした人からみたら、たかが指くらいでガタガタ抜かすなって話ですね。
さらに、千織にしても、明らかに映画化もしくは、ドラマ化を狙って設定したとしか思えないほど、かわいらしく描きすぎ。
勘違いしてないか?
障害者が全員、良い人なわけないし、知的障害があるからって、みんながみんな天使みたいな人ばかりじゃないよ。
もっと現実を見て来いといいたい。
並外れた才能を持ちながら、比較的軽度の知的障害で、しかも経済的にも恵まれているなんて、いくらなんでも都合良過ぎるよ設定が。
そして真里子は子供が生まれない体だからと、離婚させられたという身の上話も、一体いつの時代の話だよとあきれる。
そんなつまらない話をここぞとばかりに持ち出して、不幸ぶって、男に甘える女にもついていけない。
彼女を筆頭に、全ての登場人物達が、いい人ばっかりというのも嘘くさい。
子供はそれで騙せるかもしれんが、いい大人がそんな人間ばかりに、涙を流せるわけがなかろう。
中には、恵まれている千織に対して、妬む人がいてもいいだろうに。
白雪姫とか、シンデレラといった子供向けの童話の人物達の方がまだ現実味を感じる。
1/3まで、如月と千織との関係をきめ細かく描写していたのは良かったのに、なんで、途中から、ヒロインが真里子に移行しちゃうんだよ?
せっかく、築き上げてきた人間関係が、全てパーだよ。
結局は、如月一人が救われるだけのストーリーで、真里子の死や、千織の障害は、主人公の都合のいい小道具でしかなかったってことか?
自分が気持良くさえあれば、相手が感染症になろうが、妊娠しようがかまわないというような、男のエゴが丸出しで寒気がする。
ずいぶんと軽くあしらわれたものだなと思った。
理不尽な死や、障害は、哀れなモノで、それらを利用すれば、泣ける感動の物語が作れる、という安易な発想のもとに作られた作品としか思えない。
だから著者は、そこを見破られないように、必死で登場人物達に言い訳のような長いセリフを語らせてるのか?
千織に真里子の心が入り込んだ時だって、千織の心配なんてそっちのけの如月の心理は絶対おかしいでしょう。
出会って2日程度の女と、数年生活を共にしてきた少女に寄せる感情の比率が違いすぎる。
もしかしたら、千織がいなくなるかもしれないんですよ?
正直、真里子なんてどうでもいいだろうと思いますがね。
真里子にしても、自分の体がどうなっているのか、まずそれが知りたいし、自分の目で確かめずにはいられないと思うのですが。
会いにいったのは、自殺行為に及んだ時だけなんて、とてもじゃないが考えられない。
それでも真里子の方は、千織の体が自分の体だったらと、卑しい思いにかられて苦しむんですが、如月には、そういう人間らしい感情がない。。。
如月という人物は、物語では見るからに優しい男のような描き方をしているが、それは愛情からくる人間らしさではなく、給料を貰って仕事をしている介護士のプロフェッショナル精神と同じだ。
せめて、真里子と如月が恋人くらい深い関係だったら、感情表現を複雑にできたと思うのですが。。。
あきれたのが、奇蹟後の千織の描写だ。
天才的なピアニストとしての才能はそのままで、他はすっかり普通の人じゃんよ。
そんな奇蹟、現実には起こらんぞ。
起こらんからこそ、あの四日間が奇蹟なんじゃないの?
作品は体から分離した、 “心” を描かなきゃいけないはずなのに、著者の方は、 “頭” だけ使って書きましたって印象でした。
感動どころか、自分本位で、自己陶酔型の小説にはもうこりごり。
( ゚_ゝ゚) { 『天は自ら助くる者を助く』 はい、そうですか。
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