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Another(上) (角川スニーカー文庫)Another(上) (角川スニーカー文庫)
(2012/02/29)
綾辻 行人

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Another(下) (角川スニーカー文庫)Another(下) (角川スニーカー文庫)
(2012/02/29)
綾辻 行人

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Another(上) (角川文庫)Another(上) (角川文庫)
(2011/11/25)
綾辻 行人

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Another(下) (角川文庫)Another(下) (角川文庫)
(2011/11/25)
綾辻 行人

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::: ホラー ::: ★★☆☆☆


26年前から続く、夜見山北中学三年三組を襲う“呪い”。
転校生の恒一と謎の美少女・メイが呪いの正体を探る。。。青春ホラー・ミステリ。


ミステリ作家でもある著者のことだから、例のごとく、ホラーを地盤としてミステリの手法を活かした作品になっている。
700ページ近い長篇作品であり、読書慣れしていないと、手を出すのもためらいがちになりそうだが、実際は、ラノベ感覚な小説なので苦戦は強いられないでしょう。

一言で言うとホラーなんですが、詳細は青春ホラー・ミステリなのかなと思う。
表向きはホラーですが、中身は本格ミステリとしての様式があり、尋常でない超常現象に巻き込まれた少年少女達のひと夏の冒険みたいな要素もある。。。
冒険なんていうご気楽な経験じゃないんですけどね。。。(笑)

個人的には、著者のホラー小説との相性がいまひとつのわたくしなこともあり、やっぱり評価は低いですね。
通常だと星2つは、私的には普通レベルなんですけど、著者の作品(本格ミステリ)は好きなので、それと比べてしまうと3はあげられないなぁと。。。
ホラーとミステリは切っても切れない関係性にあり、その2つを巧みに取り入れた作品としては良いと思う。
映画作品 『アザーズ』 のような作品にしたかったうんぬんと、著者のあとがきにもありましたが、わたくしも 『アザーズ』 や 『シックスセンス』 のように、ホラー作品にミステリ(謎解き要素)の手法が取り入れられた作風が大好きなんですよ。
ただ、内容、設定、人物造形にしても、先行作品のなにか、どれか、あれをかいつまんで再利用している感じがしてならない。
それと、ホラー至上主義じゃないわたくしとしては、ホラーで700ページは冗長でしかない。
どうせならダラダラと無駄に長い前半よりも、サスペンスで盛り上がる後半を厚めにして欲しかった。
状況説明だとか、なかなか核心に触れようとしないまだるっこしさとか、読んでいてイラつく。

どっちかっていうと、まだ 『深泥丘奇談』 のほうが良かったんじゃないかなぁと思う。













※ これ以降ネタバレしてます。






































“超自然的な自然現象” が三年三組を襲う。
大型台風の襲来みたいな“呪い”です。(笑)


大きく第一部と第二部に分かれており、第一部では、“何が・何故”を中心に、“呪い”の現状と過去を暴いていく。
第二部では、把握した“呪い”を“如何にして”終結させ、根源である“誰が”を突き止めるかという内容。
第一部はホラー、第二部はミステリという構成。
構成は悪くないし、ホラーとミステリの融合もマッチしてるが、どちらにも足を深く踏み込んでいないように思う。
ホラーとしては、“呪い”が持つ恐怖感が伝わらない。
というのも、三等親以上は“呪い”の対象外だし、物理的な距離を置けば大丈夫らしいとか、抜け道があったりする。
主人公も主人公で、危機感を全く持ってないしなぁ。。。
ホラーというよりも、ジュブナイルだ、冒険気分だよ。
ミステリに関しても、肝心のフーダニットの伏線が、遠まわしすぎじゃないの? あれでわかれって無理がある。
肝心の“呪い”の謎もわからずじまいだし。。。
700ページも読ませておいて、それはないだろうというのが正直な感想。
本格ミステリ作家らしい、すっきりする解答を期待していただけに、がっかりだ。
物語の中だけで本格やってんだもんなぁ。



全体的にオリジナリティがなく、どっかでみたような設定に展開。

“クラスの誰か一人を〈いないもの〉にしてしまう。
そうやって人数の帳尻を合わせることによって、まぎれこんだ〈もう一人〉=〈死者〉が招き寄せるその年の〈厄災〉を防げる。”



という、“不幸の手紙”に類型する設定が子供っぽいし。
さらに、“ある年ない年”って、“ゆく年くる年”の親戚かなんかか!? と突っ込みいれたくもなる。(´~`)
どうしてホラー小説ってこういう漫画的というか、子供騙しなネタに終始しちゃうんでしょうか。
しかも、三年三組に関わった人々の記憶や関連する全ての事象が、改ざんされるという設定は、本格ミステリを書いてる作家としては、かなり卑怯な手だと思うのだが。。。
読者としては誰も、何も信用すべき基準を持てない。
そんな状況で伏線をおかれても、それすらも疑ってかからないといけないじゃないか。。。( ´ロ`)
漠然とし過ぎているので、もう少し制約を設けないとズルいでしょう。



先に、青春小説としての要素もありと書きましたが、正直、個人的にはそんな気分ではない。
登場人物がバッタバッタと死ぬのはいいとして(よくないか)、担任の久保先生の死に様が凄まじいのと、叔母さん(呪いの元凶であり幽霊)とはいえ、彼女を主人公(甥)が殺すシーンがちょっと。。。である。
そんなんで青春できるかどうか悩みどころだ。(笑)
文章力とか読解力を考えても、小学校高学年からでも読める作品ではあるが、あの死に様はトラウマになるんじゃね?
とかいらぬ(?)心配してみたりする。
。。。やっぱ、ノスタルジックな気分にならないから青春小説は否定しておくか。。。











(  ゚_ゝ゚) { 『気をつけて。もう、始まってるかもしれない。』 その忠告もダメだったんじゃ。。。








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ナゴム、ホラーライフ 怖い映画のススメ (幽ブックス)ナゴム、ホラーライフ 怖い映画のススメ (幽ブックス)
(2009/06/17)
綾辻行人、牧野修

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::: エッセイ・対談集 ::: ★★☆☆☆


綾辻行人と牧野修によるホラー映画に関する対談エッセイ集。
70年代から現在に至る、A級からC級までのホラー映画を挙げつらね、独自の解説というか、ナゴミどころを紹介している。
ホラー映画でほっこりなごめるかどうかははなはだ疑問ですが。。。(笑)

わたくしはホラー映画はそんなに好きではない。
ホラーの代名詞的な、スプラッターとかスラッシャーとか、グロいのとか、虫がたくさんとか、そんなのは苦手です。
ただし、宗教が絡んでいるオカルトや、謎とき要素のあるミステリよりのホラーは好き。
綾辻先生といえば、やはり本格ミステリってことで、謎ときミステリ・ホラーで何か面白い作品はないか物色してみました。(笑)


かなりコアなホラーファン向きの本書であり、ホラー初心者はあまり参考にはならない。
紹介されている作品もかなり多く、ホラーと一言でいっても、サスペンス系から、巨大生物、アニマル・パニックといった映画まで紹介されており、もうちょっと焦点を絞って欲しかった。
それと、メジャー作品の紹介が多く、ホラー好きを豪語するなら、有名じゃないけど秀作だという “ツウ” な作品をもっと紹介してほしかったですね。
また、欄外で、作品の解説があったりなかったりと、DVDのパッケージ画像が無いのもマイナスかなぁ。

挿絵とか、デザイン、イラストがとてもかわいいし、凝っているのでもったいないですね。














※ これ以降ネタバレしてます。







































コアなホラーファンでないわたくしにはあまり面白い本ではなかったが、印象に残ったのは、綾辻先生によるJホラー・ブームの解釈。
特に 『邪願霊』(1989年 日本) 、 『女優霊』(1995年 日本) の二作品が、Jホラー・ブームの起点ではないかという解説は興味深かったですかね。
機会があったら観てみたいですけど。



わたくしはオカルト系のホラーか、ミステリ系のホラーが大好きで、本書でもわたくしが観賞した大好きな作品が紹介されていました。
いくつか紹介。


『エクソシスト』 シリーズ(1973年~ アメリカ)

『オーメン』 シリーズ(1976年~ アメリカ)

『リング』(1998年・日本)

『ナインスゲート』(1999年 フランス/スペイン)
『シックスセンス』(1999年 アメリカ)
『呪怨』(1999年 日本)

『アザーズ』(2001年 アメリカ/スペイン/フランス)

『the Eye』(2002年 香港/タイ/イギリス/シンガポール)
『ダークネス』(2002年 スペイン/アメリカ)

『アイデンティティー』(2003年 アメリカ)

『ヴィレッジ』(2004年 アメリカ)

『奇談』(2005年 日本)
『スケルトンキー』(2005年 アメリカ)



中でも、映画館で上映されなかったDVD作品である 『スケルトンキー』 は、世間ではC級ホラーに甘んじているが、個人的には非常に評価が高いと思っており、綾辻、牧野両者とも絶賛しているのは嬉しいことです。(笑)
『スケルトンキー』 は、アメリカ南部の土着的な古呪術 “フードゥー” にまつわる恐怖を描いたホラー・サスペンス。
本格ミステリの手法で描かれており、構成は緻密です。
映画館での上映がされなかったのは、いわゆる差別的な要素があると判断されたからなんでしょうかね。。。残念です。


それと、ホラーの基本中の基本である 『エクソシスト』 と 『オーメン』 だが、わたくしはオーメン派。(笑)
どちらも宗教(キリスト教)絡みのオカルト。

本書では紹介されませんでしたが、 『スティグマータ 聖痕』 という作品もオカルト・ホラーと、謎ときミステリが融合した良作です。

『奇談』 は、漫画家・諸星大二郎の代表作 『妖怪ハンター』シリーズ の 『生命の木』 を映画化したもの。
日本の作品であるが、東北の隠れキリシタンの村を舞台にしており、キリスト教絡みのホラーというよりは、歴史ミステリ・サスペンスに近いですね。

『ナインスゲート』 は、A.P.レベルテ原作のオカルト・ミステリの映画化。
富豪の依頼により、禁断の書である “悪魔の書” を入手した古書籍ブローカーが奇妙な殺人事件に巻き込まれる恐怖を描いている。
ジョニー・デップ主演というのも良いですな。(笑)


『リング』 『呪怨』 は、日本独特の死者の怨念という恐怖を描いた作品。
悪魔がいない日本は、誰かを呪って死んでいった恨みの念が一番怖いですね。(笑)
本書では紹介されませんでしたが、 『輪廻』 もなかなか怖い作品です。


『シックスセンス』 『ヴィレッジ』 『アザーズ』 は、叙述的な仕掛けがほどこされたギミックなゴシック・ホラー。
『スケルトンキー』 同様に本格ミステリとしても観られる秀作です。


『the Eye』 は、香港/タイ/イギリス/シンガポールの合作。
レベルの高いJホラーにも負けないだけのアジアンホラーだと思う。
意味不明でおちゃめな幽霊の言動も面白いし、怖さだけでなくストーリー性も光るものがある。


『ダークネス』 は、めきめき力をつけてきているスペイン性のミステリ・ホラー。
ちょっとヤバ気なオヤジが家庭を崩壊に導くという点では、 『悪魔の棲む家』 に似ている。。。


『アイデンティティー』 は、シリアルキラーにモーテルの宿泊者がバンバン殺害されるという映画。
日本でのいわゆる “新本格”ミステリ をそのまんま映画でやってくれたという作品。
映画って本当にいいですねって言いたくなるほど、巧みな構成にはアッパレです。



掘り出し物を探すつもりで読んだ本書だが、観た映画ばっかりでちょっと残念。
しかし、両先生による、謎ときミステリ・ホラーの評価が高い点は、嬉しいばかりです。(´v`)









(  ゚_ゝ゚) { 『ジェイソンによる死は事故死とあまり変わらないものなのだ。』 じゃなきゃとてもじゃないが観れない。。。








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深泥丘奇談 (MF文庫ダ・ヴィンチ)深泥丘奇談 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
(2011/12/21)
綾辻行人

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深泥丘奇談・続 (幽ブックス)深泥丘奇談・続 (幽ブックス)
(2011/03/18)
綾辻 行人

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::: ホラー ::: ★★☆☆☆


1980年代後半から、新本格ミステリというブームを巻き起こした立役者でもある綾辻行人が、新たな新境地として世に送り出した作品。


綾辻作品はわたくしも非常に好きで、本格ミステリにのめり込むきっかけは、著者の 『十角館の殺人』 に他ならない。
著者は本格ミステリだけではなく、ホラー小説家としても有名。
ただし、そっちはスプラッター系のホラーなので、個人的には好みではなく全くの未読状態です。
ところが今回、いわゆる “怪談” を書いたと聞き、興味を持ち読んでみた。


怪談というと、 『四谷怪談』 や 『番長皿屋敷』 のような作品を連想してしまいがちだが、本書は、怪談というよりは、夢野久作の 『ドクラマグラ』 に近いという印象。
怪奇であり、ダーク・ファンタジーの様相でもある。
物語の舞台となる環境設定だけでなく、登場する人物設定などがかなりモダンなので、非常に読みやすい。
得体の知れない架空の町、そこに住む不気味な人々、その中で起こる奇怪な現象を、語り手であり作家の男が体験するのだが、この男がまた自律神経を病んでいて、記憶障害もある精神的に脆弱な人物という設定なため、怪奇現象が現実の出来事なのか、幻想なのか、はたまた夢なのか、まったくもって不明。(笑)
そこが怪奇現象が怪奇たる所以なのかもしれないが。。。

文章自体は大変読みやすいのだが、読みやすいからといって内容が理解出来るとは限らないのが本書の特徴でもある。
例えていうならば、ミステリ小説なのに、犯人が誰だかわからない状態でピリオドが打たれてしまう。
そんな感じです。(笑)
9編の連作短編として構成されているのですが、わたくしが理解できたのはそのうちの5編だけ、残りの4編は、全くわけがわからない。(´ー`)┌
短編なので、何度か読み直してみても解決できないで終わる。
著者の言葉を借りるのであれば、 “この世にはね、不思議なことがあるものなのです。” である。
これまで本格ミステリを好んで読んできたわたくしにとって、納得できない(非論理的)物語は苦手。
自分の読解力が不毛なだけなのか、著者にだけ理解できる論理性があるのか、謎です。
読み終わっても、 “?” ばかりが頭に残り、気になって仕方が無い。
それこそが著者の狙いなのかもしれないですけどね。(´ー`)┌

解決できない、謎のまま終わる、そんな物語に抵抗感のない方は大丈夫ですが、論理性を求めてしまうガチなミステリ好きには向かない作品でしょう。
個人的に、内容はいまひとつでしたが、祖父江慎デザインによる装丁は素晴らしい。
贅沢な本である。
細部に渡りイラストがあり、和紙の様なやわらかく暖かみのある質感の用紙も手触りが良い。
“怪談絵巻” とは良く言ったものだと感心する。
ジャケ買いして、部屋に飾っておくのも趣があってよろしいかと思う。













※ これ以降ネタバレしてます。






































9編の短編で最も理解しやすい作品は、

『顔』 、 『長びく雨』 、 『悪霊憑き』 、 『サムザムシ』 、 『開けるな』 の5編だと思う。
『顔』 と 『サムザムシ』 は、漫画家・梅図かずおタッチの作品で、気持ち悪い系。(笑)
女性向きではないですね。
『開けるな』 はショートショートの名手・星新一風のオチが面白いです。
個人的に高評価なのが、 『長びく雨』 と 『悪霊憑き』 です。
ホラーミステリな作品で、怖気が走るような怪談らしさが1番出ているのではないでしょうか。

問題は残りの4編です。
とくに気になるのが、 『丘の向こう』 、 『六山の夜』 です。
『丘の向こう』 は、ファンタじーでありながら、どこか言い知れぬ恐怖感を感じさせる、宮沢賢治の 『銀河鉄道の夜』 を連想するような作品。
『六山の夜』 は京都の送り火をモチーフにした作品なんですが、どちらも、知りたい部分が濁されて終わる。
1番最後の 『声』 まで読みきれば、謎が解明されるのかと思いきや、謎は謎のまま終わる。(笑)
気になって眠れないです。(笑)









(  ゚_ゝ゚) { 『ぐらあぁっ、と世界が揺れる。』 虚脱感で揺れましたけどね。。。






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