Bk.094 リピート

00:45 Thu 29.11
リピート (文春文庫 い 66-2)リピート (文春文庫 い 66-2)
(2007/11)
乾 くるみ

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::: SF・ミステリ ::: ★★★☆☆


あの 『イニシエーション・ラブ』 の著者の作品です。
コテコテの本格ミステリとは異なりますが、ギミックな作風が売り。
本書では、SFミステリに挑戦しています。
個人的に、SFが苦手なので、躊躇したのですが、著者のことだから何かしてくれそうという期待感だけで、がんばって読んでみました。

本文でも明記していますが、ケン・グリムウッド著 『リプレイ』 のオマージュ的作品だそうです。
どんなんだか知りませんが。'`,、('∀`) '`,、
本書では、10ヵ月前の自分に戻れる “リピート” という不思議な現象に誘われた、10人の男女の物語です。
10ヵ月前という長くもなく、短くもない中途半端な期間ですが、選ばれた10人は、それぞれの思惑を胸にリピーターとなります。
ところが、10ヵ月前の世界で、共にリピートしてきた仲間が1人、また1人と不自然な死を遂げる。。。
しかし、警察はリピーター同士の繋がりに気づくわけもなく、それぞれ別個の事件、事故として処理していきます。
その関連性を知っているのは、リピーター達だけ。
本書でも書かれていましたが、 “逆ミッシングリンク” という設定が興味深い。

本書では、この逆ミッシングリンクの連続した不審死の謎、リピートに誘ってきた風間という男の真意、そして、過去の世界で変わるはずのない事象が、刻々と予想もしない方向に変化していく異常事態。。。
読者を引き込むに十分であり、ミステリに、サスペンス、そしてコンゲーム的な要素がある。
非常にエンターテインメント性の高い作品ですね。


褒められるべきは、このリピートという世界観、コンセプトの構築が緻密に作られていたこと。
しかしながら、全体の約1/3がその世界観の説明やら、主人公・毛利の日常生活などを描くことに費やされているため、つかみは良いものではない。
それと、 『イニシエーション・ラブ』 でも感じたことなんですが、著者が描く、男女の恋愛感というのが非常に生々しいのですよね。。。(´ー`)┌
恋愛における、男女の心の内にあるエゴが、すごく現実的なのよ。
それを丸出しにしてしまうのだから、読んでる方としたら気分が滅入る。
特に、登場してくる女性に関して、著者は何か恨みでもあるのだろうかと思うほど、計算高い女性を描かせたら上手い。。。上手すぎる。
いるんだよねぇ、ああいう女って、思わず膝を叩いてしまうほど、観察眼が鋭いです。(笑)
そんな恋愛表現や、後味の悪い結末のあり方を考えると、著者の作品を買いたいとは思えないのですよね。。。残念ながら。

個人的には、世間ではもっと売れてもおかしくない作家さんだと思うんですよね。
なのに、いまひとつ評価されていない気がするのは、やはりこのキャラクターのやなヤツ度が高い(笑)ことと、シリーズものが無いことも原因なんですかね。
わたくしは、本書で登場していた、天童さんを主人公にしてミステリを書いて欲しかったんですが。。。
ご愁傷様です。(笑)













※ これ以降ネタバレしてます。





































“死ぬ運命” にあった10人を選び、10ヵ月前の世界に戻り、再び同じ人生を歩き出した彼らの生死、運命を鑑賞する。
それが “リピート” というサバイバル・ゲームだった。
そのゲームの仕掛け人が風間と池田だった。
なんとも衝撃的な真相でした。
リピーター達は、何も知らずに10ヵ月前の自分をやり直せると喜ぶが、美味い話には罠があったわけですね。
リピートの真相に気づき、自らその運命に逆らう方法を見出すリピーターがいるか、もしくは、期せずして、過去とは違った運命を歩き、死の呪いを解くリピーターが現れるか。。。
それを高見の見物することが、風間と池田の娯楽だったという、何ともブラックで残酷なゲームだこと。(´ー`)┌

本書では、 “カオス理論” について解説していましたが、それがこの物語のテーマだったんでしょうね。
既に過去のものだった、経験しているはずの世界であっても、ちょっとした条件の違いで、予測できない現象に転じてしまう。
“歴史の大いなる呪い” とはよく言ったものです。(´ー`)┌
過去に戻れたとしたら、過去の自分とは違う人生を選択したくなるのは当然だし、そうしなければ、リピートした意味が無い。
違う選択の積み重ねで、どんどこその後の人生が変わってしまう。

リピーター達は、 “リピート” の真相に気づかず、また、歴史の呪いも解けることなく死んでいくのですが、天童は真相に辿り着き、新たなリピートを試みようとする。
しかし、どんなに逃れようともがいてみても、 “死ぬ運命” からは逃れられなかった。
その人の運命は既に定められたもので、それを変えることは出来ないってことなんですかね。。。


作品としてはすごく面白かったと思うのですが、読者の期待を裏切る方向にどんどん流れていく設定がいまいち。
著者の本を買えない(笑)理由でもある。
序盤は好青年だった毛利も、後半では、エゴ丸出しの人間に変貌していくし、何よりも1番期待が高まったラストシーンで、2回目のリピートに成功したと思ったら、毛利はあっけなく事故死するという設定。
あれだけ盛り上げただけに落ちきれてなくて、不満が残る。
それと、天童というキャラクターが結構気に入ってただけに、死んでしまって、ちょっと勿体ない気がするし。
さらに、毛利が自分の推理で、リピートの真相に辿り着くという展開でなく、あっさり、風間らに知らされるという設定も拍子抜け。

後半に入ると、風間らと毛利、天童でコンゲームの様相を呈してきて、個人的には、すごくワクワクしながら読んでいただけに、後味の悪い結末は残念に思える。
良い意味で期待を裏切られる形にはなったんでしょうね。
考えてみれば、毛利の場合、R9の世界で殺人まで犯しているわけですから、そんな人間が、リピートに成功して、新たな世界で人生を謳歌する、なんていう結末にするのは社会的にも道徳的にも難しいんでしょうね。








(  ゚_ゝ゚) { 『歴史の大いなる呪い』 競馬で当てる。。。みんなの夢ですよね。







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Bk.018 イニシエーション・ラブ

22:40 Tue 12.04
イニシエーション・ラブ イニシエーション・ラブ
乾 くるみ (2004/03)
原書房
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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


まんまと騙されました。

『このミステリーがすごい! 2005年版』で12位にランクした作品。
解説に興味を持ち図書館で借りました。
ミステリ = 殺人事件 という公式が当たり前と思ってるわたくしには、後ろからいきなり頭を金槌でかち割られたような衝撃でした。
広義な意味ではミステリーなんでしょうけど、恋愛をモチーフにこれだけ練りに練った作品が出来るとは思いもしませんでした。
プロットとしては非常に面白いのですが、いかんせんわたくしは恋愛小説が死ぬほど嫌いな人間。
なので、星2つです。 (´ー`)┌











※ これ以降ネタバレしてます。




































騙された原因としては、やはり本格ミステリを期待して読み始めたのに、ただの恋愛小説と早合点してしまったことでしょうね。。。
その為、気合なんか入るはずもなく、適当に流し読みしてしまった。
ただ、読んでいておかしいと思った点がいくつかあった。
まず、合コンに出席するのに、恋人から貰ったバースデイプレゼントの指輪を左手薬指に嵌めていくか?
SideAでは、富士通に入社したと話していた鈴木が、SideBでは、慶徳商事の子会社に務めていることになってるし、繭子が便秘で入院したっていう話も現実的にはありえそうもない。
鈴木夕樹の愛称をたっくんにするところもかなり苦しい。
繭子は社会人のくせに、東京にいる辰也に逢いに行かなかったり。。。
極めつけは、SideAの鈴木はモテないくんだったのに、SideBの鈴木はモテるくんで、かなり性格的にも違いが目立った。
などなど。。。違和感を感じずにはいられない場面がちょこちょこと出てはいた。
これらはラストで懇切丁寧なネタばらしが無いので、読者にわかりやすいように、わざと設定したような気がしますね。


作者の企みはかなり徹底してるし、見事に読者を嵌める事に成功している。
違和感を気にしなければ、普通に恋愛小説としても読めてしまう。
ただ、個人的には最後のネタばらしに至るまでの、恋愛ストーリーがチープ過ぎてダメダメですよ。 (´ー`)┌
合コン、モテない男にかわいい彼女、遠距離恋愛と、今時の恋愛小説にこれはないでしょ。。。
これも作者の狙いなんでしょうかね?
読んでて恋愛ストーリー自体に興味を持たせてしまうと、逆に伏線に気づかれるとでも思ったのでしょうか?
わたくしのように、つまんねぇ〜恋愛小説だと思わせて、集中して読ませないための策略なんでしょうか?
最後まで意味不明だったのが、ドラマ『男女7人夏物語』を取り上げたり、昭和のヒットソングを目次に使用することに何か効果を狙ってるはずなんですが、わたくしにはただ物語の年代を古くさくしただけにしか感じませんでしたが。。。 (´ー`)┌


ラストで嵌められた事に気づいたわたくしは早速やったことがあります。
もちろん、タイムテーブルを作りましたよ!
この暇人め。 (´ー`)┌
繭子という女は純情ぶりぶりしてますが、恐ろしい女ですよ。
辰也が東京に行くとわかったらすぐに、合コンに参加すべく計画立ててるんですから。
処女の演技もなんなく演じ、2人の男を両天秤にかけ、自分にとって利益になる男を最終的に選んでるんですから。
怖いというよりは、生理的に好きになれない女ですね。 (´ー`)┌
恋人がいる男を奪おうとする石丸さんの方があからさまな分だけまだまし。
繭子もそうですが、著者にも好きになれない一部分を垣間見ました。
繭子が堕胎する為に、夕樹に週末のデートを断るのですが、その理由が、 『便秘で入院した』 ですよ。。。
フィクションとはいえ、堕胎するという行為を、うんちしてすっきりしたみたいな表現するのは、嫌悪を感じずにはいられません。
というのも理由なんて何でもいいはずじゃないですか?
風邪だっていいし、法事でもいいし、なのに敢えて便秘という表現を使ったことに、著者は無神経な人だなぁと思わざる得ない。








(  ゚_ゝ゚) { 『2度読まれることをお勧めします』 2度と読みません。







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