::: SF・ミステリ ::: ★★★☆☆
あの 『イニシエーション・ラブ』 の著者の作品です。
コテコテの本格ミステリとは異なりますが、ギミックな作風が売り。
本書では、SFミステリに挑戦しています。
個人的に、SFが苦手なので、躊躇したのですが、著者のことだから何かしてくれそうという期待感だけで、がんばって読んでみました。
本文でも明記していますが、ケン・グリムウッド著 『リプレイ』 のオマージュ的作品だそうです。
どんなんだか知りませんが。'`,、('∀`) '`,、
本書では、10ヵ月前の自分に戻れる “リピート” という不思議な現象に誘われた、10人の男女の物語です。
10ヵ月前という長くもなく、短くもない中途半端な期間ですが、選ばれた10人は、それぞれの思惑を胸にリピーターとなります。
ところが、10ヵ月前の世界で、共にリピートしてきた仲間が1人、また1人と不自然な死を遂げる。。。
しかし、警察はリピーター同士の繋がりに気づくわけもなく、それぞれ別個の事件、事故として処理していきます。
その関連性を知っているのは、リピーター達だけ。
本書でも書かれていましたが、 “逆ミッシングリンク” という設定が興味深い。
本書では、この逆ミッシングリンクの連続した不審死の謎、リピートに誘ってきた風間という男の真意、そして、過去の世界で変わるはずのない事象が、刻々と予想もしない方向に変化していく異常事態。。。
読者を引き込むに十分であり、ミステリに、サスペンス、そしてコンゲーム的な要素がある。
非常にエンターテインメント性の高い作品ですね。
褒められるべきは、このリピートという世界観、コンセプトの構築が緻密に作られていたこと。
しかしながら、全体の約1/3がその世界観の説明やら、主人公・毛利の日常生活などを描くことに費やされているため、つかみは良いものではない。
それと、 『イニシエーション・ラブ』 でも感じたことなんですが、著者が描く、男女の恋愛感というのが非常に生々しいのですよね。。。(´ー`)┌
恋愛における、男女の心の内にあるエゴが、すごく現実的なのよ。
それを丸出しにしてしまうのだから、読んでる方としたら気分が滅入る。
特に、登場してくる女性に関して、著者は何か恨みでもあるのだろうかと思うほど、計算高い女性を描かせたら上手い。。。上手すぎる。
いるんだよねぇ、ああいう女って、思わず膝を叩いてしまうほど、観察眼が鋭いです。(笑)
そんな恋愛表現や、後味の悪い結末のあり方を考えると、著者の作品を買いたいとは思えないのですよね。。。残念ながら。
個人的には、世間ではもっと売れてもおかしくない作家さんだと思うんですよね。
なのに、いまひとつ評価されていない気がするのは、やはりこのキャラクターのやなヤツ度が高い(笑)ことと、シリーズものが無いことも原因なんですかね。
わたくしは、本書で登場していた、天童さんを主人公にしてミステリを書いて欲しかったんですが。。。
ご愁傷様です。(笑)
※ これ以降ネタバレしてます。“死ぬ運命” にあった10人を選び、10ヵ月前の世界に戻り、再び同じ人生を歩き出した彼らの生死、運命を鑑賞する。
それが “リピート” というサバイバル・ゲームだった。
そのゲームの仕掛け人が風間と池田だった。
なんとも衝撃的な真相でした。
リピーター達は、何も知らずに10ヵ月前の自分をやり直せると喜ぶが、美味い話には罠があったわけですね。
リピートの真相に気づき、自らその運命に逆らう方法を見出すリピーターがいるか、もしくは、期せずして、過去とは違った運命を歩き、死の呪いを解くリピーターが現れるか。。。
それを高見の見物することが、風間と池田の娯楽だったという、何ともブラックで残酷なゲームだこと。(´ー`)┌
本書では、
“カオス理論” について解説していましたが、それがこの物語のテーマだったんでしょうね。
既に過去のものだった、経験しているはずの世界であっても、ちょっとした条件の違いで、予測できない現象に転じてしまう。
“歴史の大いなる呪い” とはよく言ったものです。(´ー`)┌
過去に戻れたとしたら、過去の自分とは違う人生を選択したくなるのは当然だし、そうしなければ、リピートした意味が無い。
違う選択の積み重ねで、どんどこその後の人生が変わってしまう。
リピーター達は、 “リピート” の真相に気づかず、また、歴史の呪いも解けることなく死んでいくのですが、天童は真相に辿り着き、新たなリピートを試みようとする。
しかし、どんなに逃れようともがいてみても、 “死ぬ運命” からは逃れられなかった。
その人の運命は既に定められたもので、それを変えることは出来ないってことなんですかね。。。
作品としてはすごく面白かったと思うのですが、読者の期待を裏切る方向にどんどん流れていく設定がいまいち。
著者の本を買えない(笑)理由でもある。
序盤は好青年だった毛利も、後半では、エゴ丸出しの人間に変貌していくし、何よりも1番期待が高まったラストシーンで、2回目のリピートに成功したと思ったら、毛利はあっけなく事故死するという設定。
あれだけ盛り上げただけに落ちきれてなくて、不満が残る。
それと、天童というキャラクターが結構気に入ってただけに、死んでしまって、ちょっと勿体ない気がするし。
さらに、毛利が自分の推理で、リピートの真相に辿り着くという展開でなく、あっさり、風間らに知らされるという設定も拍子抜け。
後半に入ると、風間らと毛利、天童でコンゲームの様相を呈してきて、個人的には、すごくワクワクしながら読んでいただけに、後味の悪い結末は残念に思える。
良い意味で期待を裏切られる形にはなったんでしょうね。
考えてみれば、毛利の場合、R9の世界で殺人まで犯しているわけですから、そんな人間が、リピートに成功して、新たな世界で人生を謳歌する、なんていう結末にするのは社会的にも道徳的にも難しいんでしょうね。
( ゚_ゝ゚) { 『歴史の大いなる呪い』 競馬で当てる。。。みんなの夢ですよね。
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