逃げろ光彦 内田康夫と5人の女たち

15:43 Mon 20.10
逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち (幻冬舎文庫 う 3-6)逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち (幻冬舎文庫 う 3-6)
(2008/10)
内田 康夫

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::: サスペンス・ミステリ ::: ★☆☆☆☆


『龍神の女 内田康夫と5人の名探偵』 の姉妹版の作品とでもいうのでしょうか。
『逃げろ光彦 内田康夫と5人の女たち』 というタイトルで、2005年に著者としては珍しく短篇を発表しました。
初出は、実業之日本社よりノベルスとして刊行されましたが、2008年に、幻冬舎より文庫化されました。
出版社が違う。。。要は、売れなかったということなんでしょうね。
いつもの通り、図書館でお借りしましたので、わたくしは無傷。(笑)


さて、本書の内容に触れる前に、怒りの一言がある。
それは、タイトルのつけ方が、だまし討ちというか、もはや詐欺じゃないか!? ということ。
“逃げろ光彦” といかにも浅見光彦シリーズの短編集ですよ〜と、連想させておきながら、5本の短篇のうち1本しか入っていないんだからひどいよ。
さらに、副題として “内田康夫と5人の女たち” とあったら、浅見光彦シリーズの登場人物として存在してる、作家・内田康夫と想像してもおかしくないじゃないか!?
シリーズに詳しい読者であれば、軽井沢のセンセこと内田康夫が何らかの事件に絡んだ女性5人と関わり、例によって浅見ちゃんに助けを求めるというパターンの短篇なのか。。。と思いたくなるところ。
追い討ちをかけるかのように、裏表紙のあらすじでは、浅見光彦が登場してくる短篇の概略しか明記していない。
大概の短編集のあらすじには、最後で、 “表題作を含む〜篇を収録” といった具合に、明記するのが通例だと思うのだが。。。
何の予備情報も無く、本だけを手に取っただけでは、浅見光彦シリーズの短編集と勘違いしてもおかしくない。
というか、勘違いするはず。

浅見光彦ファンだったら、1篇の短篇でも買わずにはいられないだろう。
そんなファン心理を見越した抱き合わせ商法だ。
内田康夫といえど、ノン・シリーズの、しかも官能短篇小説なんぞ売れるわけがない。
こんな詐欺まがいの商売しようなんていう出版社と、それを許可した作家の本なんか誰が金を出してまでも買うか。
読者に対する誠意が全く感じられない。
読者を騙して得た金で豪華客船で世界一周ですか。。。成金作家とは楽な商売でいい。













※ これ以降ネタバレしてます。









































著者の短篇自体あまり読んだ事がない。
2004年に刊行された 『他殺の効用』 ぐらいですか。。。
こちらは、浅見光彦シリーズとしては2本収録されてましたが、どちらにしても短篇は面白くないというのが率直な感想。
著者自身も本書のあとがきで、短篇は苦手と語ってますね。

作品のテイストは、初期の赤川次郎のサスペンス(恐怖)小説といった感じです。
ただ、サスペンス・ミステリーとは名ばかりで、官能小説といった方が近いです。
内田康夫の官能小説って、初めて読みましたけど、お世辞にも上手いとは言えないです。
浅見光彦シリーズは、基本的にほぼ女性ファンで占められており、そんな先入観がある作家の本を、男性読者が買うかどうか微妙。
というのも、本書の官能っぷりが女性向きではないから。
表現が生々し過ぎるのも女性にとっては痛いし、比喩表現もとんちんかんなところがあって、興醒めなのである。
また、登場してくる女性が皆、出会ったばかりの男性とすぐベッドインするのも考えにくく、相当欲求不満な女性ばっかりなのねと辟易。
そんな中で、いい年こちゃってる浅見くんだけは、清廉潔白で、ぼくどぉ〜て〜いだもん♪みたいな顔して登場されても浮きまくりです。(笑)



・埋もれ火

官能部分は抜きにして、本書では1番良かった作品。
サスペンスとミステリのバランスが良い。
物語の世界でも、現実の世界でも、女を狂わすのは、ダメなヒモ男ってところだけは納得。



・飼う女

実に恐ろしきは、女の第六感。
棺桶に片足突っ込んでいる年季の入ったおばばほど恐ろしいものはないですな。(´ー`)┌



・濡れていた紐

密室殺人!?(゜ロ゜)
と思いきや、隠し部屋発見??(オイオイ)
自殺でなきゃ、殺人なんだから、密室なわけないだろうに。
密室でなきゃ、当然、鑑識が部屋を調べまくるだろうに。
そんな基本情報は前提として読んでいる読者に、何ともひどい展開な作品。
自殺か、他殺かにしても、隠し部屋がある可能性にしても、全部ど素人が優位に推理を展開するのはあまりにも無茶。



・交歓殺人

財産家の姉妹を交換殺人で殺っちまおうという夫たちの殺害計画を見通した、姉妹が逆に夫を殺害するパターン。
だが、一文無しのヒモ夫を殺すことで何かメリットがあるのだろうか?
普通に浮気を盾に離婚請求した方が、リスクが無いはずなんですが。。。(´〜`)



・逃げろ光彦

怪しげな女は、囮捜査官(実際はFBI捜査官)じゃないの? と薄々わかるだけにサスペンス性は皆無。
浅見くんの推理も何の伏線も、脈絡もなく唐突過ぎる。
“六本木ヒルズ” の連呼で、当時有名なビルだっただけにこれが言いたかっただけの作品? と思ってしまうよ。(笑)









(  ゚_ゝ゚) { 『愛することは信じる事。』 演歌っぽいです。。。








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Bk.093 十三の冥府

00:16 Wed 21.11
十三の冥府 上 (1) (文春文庫 う 14-7)十三の冥府 上 (1) (文春文庫 う 14-7)
(2007/11)
内田 康夫

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十三の冥府 下 (3) (文春文庫 う 14-8) 十三の冥府 下 (3) (文春文庫 う 14-8)
内田 康夫 (2007/11)
文藝春秋
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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


今回は文藝春秋から刊行された上下巻の文庫本で読了。
単行にすると500ページは超える大作になると思うのですが、のわりにはいまひとつというところ。
2002年に初出誌、単行化されて2004年と浅見シリーズでは比較的新しい作品である。
内田先生の口癖でもある、 “名物にうまいものなし” じゃないですが、近年の内田作品に傑作なしなのである。。。
作品として捻り出せるだけの力量があれば良しとすべきなのか、ただ雛型に押し込むだけのパターン化された作品に憂うべきなのか。。。
個人的には、浅見光彦シリーズが大好きなので、本屋に駆け込んで購入したくなるほどの作品であって欲しいのですが。。。


今回は、古代史の正史を揺るがすような偽書 『都賀流三郡誌(つがるさんぐんし)』 の謎を解く取材旅行で、恐ろしい殺人事件に浅見ちゃんが巻き込まれるわけです。
作品では、 『都賀流三郡誌』 という文献が史実論争に挙げられていますが、実際に、正史と偽書を巡る論争というのがあったらしいです。
自作解説でも内田センセが書かれてますが。
そこからヒントを得て執筆した作品。
内田センセは、現実に起きた事件や話題の事柄、世相を自作品に取り入れるのが達者ですよね。
また、素材の目の付け所も良い。
社会派の小説だけあって、世界観はとてもリアルです。
しかし、本書は歴史に興味の無い人には作品としては重く感じるかもしれません。
わたくしも神話の世界の話を解説されても、正直チンプンカンプン。(笑)
この古代史の謎には、おまけ(笑)として、日本のピラミッドやら、キリストの墓なんてものまで登場してくる。


古代史に関する部分は非常に興味深かったのですが、肝心のミステリの部分においてはいまいち。
上下巻という大長編にも関わらず、珍しいことに浅見ちゃんと行動を共にし、事件解明に乗り出すはずのヒロインの存在が希薄だった。
それには、一緒に行動出来ないオチがあったわけですけどね。
事件を追う展開も、連載小説ということもあり、めまぐるしく流動していく。
本格ミステリーとしては程遠く、フーダニットにおいてはご都合主義が目立つ。
基本的には連載小説のミステリは質が落ちるし、美しくないです。
一度完成した家に建て増しをするようなもんですから。

物語では、古代史の偽装に始まり、宗教論争にまで発展していきます。
世相や歴史、風土やその土地に住む人々を描くことに長けている著者なので、ミステリはこの際度外視して、歴史民俗小説として読む方が面白いかもしれませんね。













※ これ以降ネタバレしてます。





































タイトルの 『十三の冥府』 がインパクトがあり、浅見光彦シリーズでホラーミステリでもやるのかと思いきや、悪いヤツが13人死ぬっていうだけの話だった。。。
まぁ、それもコピーの通り “神の祟りか悪魔の息吹か” っていうホラーな要素を残しての終焉なので、それを意識しての中途半端な解決になったのかなぁなんて思ってみる。( ̄〜 ̄)
悪いヤツが、殺される。
これって理想的な終わり方だとは思うのですが、その点においては浅見ちゃんは深追いしないんですね。
悪いヤツが死ねばそれでOKかと思いたいところですが、結局のところ、大工の棟梁や、大学の教授の不審死は、仮説だけで解決してない。
白黒はっきりさせたい人には消化不良です。
真実を最後まで追及することで、傷つく人がいる為、敢えて、あやふやな終結を選らんだ浅見ちゃんですが、それって、彼の自己満足でしかないような気がしてならない。
内田センセの美的センスであり、浅見ちゃんの優しさということで表現してますが、その結果というか、象徴的な存在が、今回のヒロイン・容子ですよね。
彼女を歴史に虐げられた女達の憂愁の結晶と見るか、幸福だが何も知らない愚か者と見るか。。。
美意識が割れるところだと思う。

浅見ちゃんの自己満足、というよりは、彼がたんに軟弱なだけかもしれませんが。。。
きっとセイラさんだったら、 “軟弱者!” って頬を張っていることだろう。(アホ)
彼が他人の人生に責任が持てない、なんて思ってたら、傲慢としか言いようが無い。
それだけ臆病だから真実が告げられない、よって、結婚もできない。。。なんてな。(笑)








(  ゚_ゝ゚) { 『神の祟りか悪魔の息吹か』 神様だってやるときゃやるってか。。。







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Bk.076 上海迷宮

19:51 Tue 02.10
上海迷宮 (トクマ・ノベルズ)上海迷宮 (トクマ・ノベルズ)
(2006/09)
内田 康夫

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::: ミステリ ::: ★☆☆☆☆


正直、読みたいとは思わなかった本です。
たまたま新刊を図書館で借りられることが出来たので、読んだ次第です。

舞台は中国。
嫌いなんですよね、中国。(´ー`)┌
それに登場人物一覧が中国人名ばっか!!
覚えられへんがな。。。
しかも政治と暴力団絡みのネタも好きじゃないのに、チャイニーズ・マフィアが絡んでくるわけで、もう、ほとんど流し読みに近い感じで読了。


結末もすっきりしないし、特に凝ったトリックだったり、読者を引きつけるような謎や、掴みがあるわけでもない。
どよよ〜んとした陰気で暗い作品でした。(´ー`)┌











※ これ以降ネタバレしてます。




































近年の内田作品の中でもこの手のものは劣化品といっても良い。
殺人かと思ったら自殺だったとか、本当に殺害された被害者が、殺されるくらいが丁度イイってなくらい悪いヤツで、そいつを殺した真犯人は逮捕されることなくジ・エンドというシナリオ。
必ずしも正義が全うされるとは限らないけど、こういう結末にしちゃうと、殺されてもいい人間っていてもいいのかと思ってしまうよね。(´ー`)┌
個人的にはこういうあいまいな形のミステリって好きではない。
あいまいで終わったとしても、ミステリであるならば、読者を納得させられるだけの伏線だったり、論理性を提示して欲しいですね。


今回はミステリというよりは、中国の明暗を描きたかったような気がしますね。
高度成長を続ける姿の裏側で、黒社会なる犯罪集団組織があったり、貧富の格差といった陰の部分にページを割いてました。
社会派旅情作家の真骨頂ですね。
こういうレポートはさすがに上手でした。
ただ、わたくしは中国嫌いなので、どうでもええがなと飛ばし読みしちゃいましたけど。(笑)








(  ゚_ゝ゚) { 『魔都の黒い闇に挑む!』 野人とかいる国ですからね。。。







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Bk.075 他殺の効用

01:14 Mon 01.10
他殺の効用 (祥伝社文庫 う 1-14)他殺の効用 (祥伝社文庫 う 1-14)
(2007/09/01)
内田 康夫

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::: ミステリ ::: ★☆☆☆☆


読後、本書を読んだことに後悔してしまった。
内容的にもいまいちだったことは言うまでもないが、読む必要性が無かった。
ただの短編集ならまだ良かったのだが、収録されている作品全てが、既に別の、それぞれ1冊の本として刊行されている短編作品の中の1篇を寄せ集めたものだからだ。
CDで言うとこのベスト・アルバムみたいな感じです。
しかし、内容的には裏ベストが相当。
寄せ集めの短編が収録されている本のうち、廃刊になっているものもあるかもしれないことを考えれば、本書で読んでおければ得という考え方もあるが。。。
『他殺の効用』 として、統一性のない寄せ集めの短編を刊行する意図がよくわからない。











※ これ以降ネタバレしてます。





































収録作品は、5本。
うち浅見光彦が登場するものが、表題作の 『他殺の効用』 と 『透明な鏡』 である。
『他殺の効用』 は、5本の中では最も優れている作品だと思う。

自殺にみえるけど、他殺にもみえる。

という相反する状況証拠と、不可解な謎を残して死んだ男の真相に迫る光彦くんです。
その背景には多額の保険金を巡る、緻密な計画犯罪が隠されていました。
読みながら、密室という状況を考えれば共犯者がいる可能性が高いわけで、奥さんが1番怪しいなぁと思っていたのですが、会社の社員というのは意外でした。
ただ、いくら会社を1番に考えていた社員とはいえ、犯罪の片棒をかついで、全ての罪をかぶって自殺するという展開は、どうにもこうにも納得がいかない結末でした。
自殺と他殺が共存するという不思議な事件現場を考えついたアイデアは評価できるのですが、人間の心理面でケチがついたという感じです。


『乗せなかった乗客』 ですが、これオチがよくわからなかったんですが。。。(´ー`)┌
愛子の旦那とタクシー会社の社長がグルになって、事件に関係していたということはわかりますが、結局、殺害した犯人は誰なんですかね?
あいまいな形で終わっているので、消化不良です。


『透明な鏡』は、物理トリックがひどかった。。。
オブラートを加工したもので首を吊って自殺というトリックは、アンフェアな謎解きですね。
物理的にもそうですが、人間の心理面でも男に捨てられたからという理由で、自殺を他殺に工作することで、男を殺人犯に仕立てあげようという復讐のシナリオがお粗末。
復讐って、相手が苦しむ姿を見て初めて達成感(笑)を感じるものだと思うので、本人が死んでしまったら意味がないし、復讐が成功したかどうかを確認することも出来ない。
この復讐計画自体の発想が幼稚ですね。
なので、事件にも、女の心境にも同感できなかった。


『ナイスショットは永遠に』は、 “パソコン探偵” とかいう著者の初期のシリーズ作品らしい。
浅見光彦シリーズがブレイクする前には、こんなの書いてたんだぁ〜と思わず笑ってしまうくらい、その作風が現在とはかなりかけ離れている。
辻真先風とでもいうのか、ライトノベル感覚で、文体もかなり新鮮で若々しい印象を受けました。
だけど、わたくしは個人的には二度と読みたくないタイプの小説ですけどね。。。(笑)


『愛するあまり』は、保険金目的の遺体のすり替えトリックでした。
まぁ、よくあるヤツです。
富士の樹海で発見された白骨死体が、捜索依頼がだされていた女性のものとされたが、実は、背格好や歯型痕が同じ、別の女性の遺体だったというオチ。
本書の場合、歯医者が不正な医療を行っていて、警察沙汰になるのを恐れて虚偽の鑑定をしたわけですが、遺体は白骨化していたのですから、歯型痕だけで本人確認を断定しちゃうのは早急かと思います。
DNA鑑定はやはりするでしょうね、今の警察の捜査では。








(  ゚_ゝ゚) { 『密室トリック、アリバイ崩し、ユーモア・ミステリー、ピカレスク・・・。』 ちゃんぽんはきついっす。







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Bk.058 幻香

13:24 Thu 30.08
幻香幻香
(2007/08)
内田 康夫

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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


本作の元ネタは、11年前のファンクラブ機関紙に 『例弊使街道殺人事件』 というタイトルで発表された、著者と会員とのリレー形式ミステリを、大幅に改稿したものらしいです。
当初はファンとの交流を兼ねてのジョーク本というところだったと思うのだが、多作家もとうとうネタが尽きてきたのか、本作に手をつけざるをえなかったんでしょうか。。。

ど素人との合作を、そのまま商業ベースに出せるわけもなく、 “大幅に改稿” したらしいですが、わたくしはファンクラブのメンバーでもないので、元々の原稿を読んだことがありません。
なので、どのへんをどう改稿したのか? 全くわかりません。
あとがきではかなり手を加えたらしいとあり、原作・内田康夫として刊行している。
気になるのが100%著者の創作であるのかどうか、その辺が疑問ですよね。


本作では香水を作る調香師という職業や、特許に関する話が興味深かったですね。
一風変わった2つの要素をミステリに取り入れたことに関しては評価ができる。
作品としては思ったほど悪くは無かった。
しかし、内田作品の “定番の犯人像” には、またかという倦厭の情にたえないです。












※ これ以降ネタバレしてます。





































あとがきを読んで初めて、本作が著者を含めて第三者との合作のような作品であったことを知りました。
合作と言っても、どういった条件で、どの程度までの割合で、元々の原稿を改稿したのかはわかりませんが、プロの作家がこういった作品を商業ベースで刊行するというのははなはだ疑問です。
第三者の権利があいまいにされているような気がしてなりません。
まぁ、それを刊行しようと持ちかける出版社側にも問題があるのかもしれませんね。

後から知って言うのも何ですが、読んでいて違和感を感じていたことは確かですね。
光彦くんの性格が妙に男らしい(笑)というか、強気で、怖い物知らずみたいな描き方されてましたし、母親の雪江との絡みも少なく、兄の陽一郎にしては全く登場してこない。
光彦くんと警察とのひと悶着もスルー。
いつもとはちょっと違った浅見光彦シリーズでしたね。


内容全体としては、良かったのではないでしょうか。
ただ、ミステリとして何らかのトリックを用いるのにおあつらえ向きな調香師という職業や、特許のしくみに思ったほど効果を感じられなかったということ。
上澄みだけをすくって終わってしまったという感じがする。
それと、事件が進展するのに重要な証言を持っている人物が、 “警察が嫌い” という理由で黙秘していたという設定とか、警察に聞かれなかったから証言しなかったという旅館の女将など、読者にしたらずるいと思いたくなる展開はひどいですね。(´ー`)┌
さらに、国井と戸村の殺害の動機が全く違うのだが、犯人だけは同一人物という設定はかなり無理があるし、現実にあったら奇跡としか思えない。
この辺はど素人のアイデアなんでしょうかね? (´ー`)┌

1番評価を下げた点は、やはり、お決まりの犯人像でしょうね。
内田作品の場合、大物代議士が首謀者で、実行犯が暴力団というパターンが定番。
今回は大企業の重役と、暴力団という組み合わせでした。
さらに、登場人物に対する扱いも、旅情ミステリ特有でもある舞台となった場所に対する良く言えば気遣い、悪く言えばしがらみにかなり捕われている気がしてならない。
地方のイメージダウンにならないように、気を遣いすぎて、どう考えても悪人(悪行)なのに、何故か善人(善行)のような、同情されるべき点があるような描き方をする場合がある。

旅情ミステリ作家は、どの地方にも気に入られなければならないのですね。(´ー`)┌
ごますりも才能の1つということか。








(  ゚_ゝ゚) { 『黙りなさい!』 浅見像に反する発言に思うのですが。。。





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