::: ミステリ ::: ★★☆☆☆
記念すべき浅見光彦シリーズの第一作『後鳥羽伝説殺人事件』で、後鳥羽上皇を取り上げたのに、再び、同じネタで書いた作品が本作。
さすがにタイトルは、 『後鳥羽伝説殺人事件2』 とはいかなかった。(´ー`)┌
同じような設定で、 『平家伝説殺人事件』 の平家ネタを再度用い、『赤い雲伝説殺人事件』 という作品を残している。
日本の伝説もそろそろネタが尽きてきたのでは? と心配です。
本作は、デビュー作では、描ききれなかった後鳥羽伝説を、もっと掘り下げて書いてみたかったのかなと思うほど、ボリュームのある作品です。
確かに、著者の歴史観とか、後鳥羽上皇の人物像については、一読の価値はあります。
しかし、それがミステリーにあまり結びつかなかったような気がします。
前半は、後鳥羽上皇の呪いだのなんだのって、盛り上げてますけど、後半は、上皇なんて完全に忘れられた存在でした。(´ー`)┌
さらに、500ページ近いボリュームなのに、読者をひきつけておくだけの、決定的な展開がない。
山も谷もなく、落差のないジェットコースターのようでした。
おいしい食材はたくさんあったはずなのに、調理で失敗したという感じです。
※ これ以降ネタバレしてます。なんだか、もったいない作品だと思います。
冒頭の謎の屋敷のシーンは、ミステリの掴みとしては良かったと思うし、後鳥羽上皇に関する歴史の自説も面白いし、『ち』の呪いのキーワードの使い方や、笑い顔の死体もインパクトがある。
ミステリとして楽しめる要素は、ありすぎるほどあった。
初めから肯定的な目で読んだが、良い出来だとは思わなかった。
何が悪いかっていえば、スピード感がない。
歴史ミステリとなれば、ページ数が増えるのは仕方ないと思うが、それ以前に、事件の流れがとても遅かった。
それと、5人ものの死者の謎を解かなくてはいけないのに、死者が出る度に、その手掛かりともなるような展開や、証拠品なども出ず、延々と引っ張られたことが、退屈と感じた点だろう。
もっと読者が食いつくようなエサを小出しにするとか、テニスで言えば、対戦相手が右へ左へと振られるような球を打てれば、退屈する暇など無いはず。
これでは、何人も殺害される意味が無く、1人しか殺害されないミステリを読むのと大差がない。
あと、気になったのが、雑誌連載が災いしたのか、人物の描き方が極端で失笑した。
特に、佐田、白倉両教授の変貌ぶりはひどかった。
連載当初は犯罪に絡む人物ではなかったのだろう。
それと、広山警部の名推理も、書いてる最中に、探偵役の浅見のアリバイが無く、探偵どころか、一番の容疑者であることに気づいちゃったんだろうなぁ。
それを逆手に取って物語りに活かしたように感じました。
自作品に客観性を見いだすのは困難であり、編集者か読者に指摘されたと思います。
著者の作品は、現実に起きた事件や事故を元にして書く場合が多く、そういう意味では、とても現実的なストーリーなんですよね。
そのせいか、本作に出てきた源氏物語絵巻や、軍事作戦なんか、本当のように思えてしまう。
世事にうといと妄信的に信じてしまいそうになるが、フィクションだと解説に書いてました。
中には、本当に信じてる人とかいそうだよなぁ。
( ゚_ゝ゚) { 『浅見さんより祟りのほうがよっぽど怖いですよ』 男として悲しむべきか、喜ぶべきか。。。
テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌