Bk.003 アルファベット・パズラーズ

13:13 Wed 19.01
アルファベット・パズラーズ アルファベット・パズラーズ
大山 誠一郎 (2004/10/28)
東京創元社
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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


このミス2005年版の紹介文がかなり面白そうだったので、図書館で借りました。
短編2作と中篇1作で構成されている連作。
“AHM”というマンションのオーナー(峰原卓)と、住人で友人でもある3人(警視庁捜査一課の刑事・後藤慎司、翻訳家・奈良井明世、精神科医・竹野理絵)の男女が、3つの殺人事件を解くというストーリー。
住人の3人は、殺人事件についてあ〜だこ〜だと推理するが、どれも決め手に欠ける。
満を持してオーナーが登場し、見事な推理で事件を解決するというパターン。
トリック重視の作品ですね。


1話目 『Pの妄想』 では、家政婦に毒殺される、という妄想にかられた婦人のお茶会に招かれた奈良井と竹野、しかし妄想などではなく、本当に婦人は毒殺されてしまう。

2話目 『Fの告発』 では、指紋照合システムで完全に管理された部屋で、殺人事件が起こる。
入室記録を元に容疑者を特定するも、彼らには犯行が不可能だった。

3話目 『Yの誘拐』 では、過去に起きた、幼児誘拐爆殺事件の真相を突きとめようとするが、二転三転する推理に、思わぬ以外な幕切れが待っていた。










※ これ以降ネタバレしてます。




































内容に関しては、『Pの妄想』は掴みとして、1話目に置くにはパンチに欠ける。
“本格ミステリ界期待の俊英” という宣伝文句が泣く。
読んでる時から怪しいと思わせたらダメだよね。 本格は。
金持ちの婦人が英国式のお茶をやめ、缶紅茶に変えた理由が、読者をバカにしてるとしか思えんくだらないものだし、毒殺されると妄想してるのに、婦人は家政婦をクビにしないという時点で、読者はトリックに気づきそう。
また、遺産目当ての殺害という動機も腑に落ちない。
遺書があるならまだしも、血縁関係でもない人間が、他人の遺産にありつけるわけがない。
殺害方法もちょっと難しいと思いますがね。。。 (´ー`)┌

『Fの告発』は、1話目で掴めなかった分、ここできましたよ。 (´ー`)┌
トリックはほんとうまかった。
人間の盲点をツンツンと突いた作です。
しかし一人二役というトリックは、読者にはアンフェアな気がします。
ここでも怪しいなぁ〜と思わざるえない文章表現がチラホラと。。。
うまくカモフラージュできないのかなぁ?
そのあたりがもったいない気がします。
ストーリーを追ってるだけなら面白かったですけどね。

『Yの誘拐』は、前半部が、誘拐事件の顛末が描かれており、後半部がAHMのメンバーの出番。
後半まで読むのが長い気がします。
それだけズラズラと書かないと、トリックがバレそうだったんでしょうか?
いや、バレないって! だってかなりご都合主義のアンフェアだからさ。
プロットも、二転三転するAHMメンバーの推理討論もすごいよ。
手が混んでるよ。
けど、個人的には “そりゃねぇ〜よ、ずるいよ” と言いたくなります。
いわゆる、殺人犯が刑事だったなんていうオチと対して変わらないからね。 (´ー`)┌


物語中、事件を推理する展開として、まず後藤や奈良井の誰でも考えつきそうな、平々凡々な推理を恥かしげも無く出し、次にこれで正解じゃない? と思わせるほどの竹野の推理をチラつかせ、しかしこれでもまだまだと、オーナー・峰原が最後に落とすというパターン。
これがある意味著者の罠だったのかと 『Yの誘拐』 で思い知らされます。
全体の構成としては、『Pの妄想』で登場人物達の立ち位置を読者に認識してもらい、『Fの告発』で本格的なトリックを披露して、読者をガッチリ洗脳し、固定観念を植付け、そして、ラストの『Yの誘拐』でガツンと落とす。
段階を踏んで、大掛かりなミスディレクションを読者に仕掛ける。
やりたいことはよくわかるような気がするし、うまい構成だと思います。
そのやり方が結構ずるいけどね。 (´ー`)┌

本のタイトル通り、各ストーリーには推理に必要なヒントとも言えるアルファベットが用いられている。
とはいうものの、そんなアルファベットはこじつけのような気がしてならない。
全体的にリアルな犯罪ミステリではない。
犯罪者の動機だとか、殺人事件に至るまでの背景など、人物描写が貧困。
読者は現実的な犯罪トリックをまず考えるが、本作はそれ以前の問題で、常識の上をいく推理なら騙されても納得いくのですが、常識の下を考えないといけないなんて。。。
“本格” といえるかどうか大いに疑問です。
あえて、そこは無視してトリックだけを楽しむなら良いかも。
期待の俊英ってことで次回作に期待しましょう。








(  ゚_ゝ゚) { 『Yという奴が偽者なんだ。』 この言葉はずるい。。。普通、話し言葉でこんな表現は使いません。






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