Bk.016 青の炎

12:40 Sun 11.07
青の炎 青の炎
貴志 祐介 (1999/10)
角川書店
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::: ミステリ ::: ★★★☆☆


知り合いに紹介されて読みました。
出版された当初、この本を買うか? やめるか? 結構、悩んだことを覚えてます。
というのも、ホラー色の強い作家だと思ってたので、手が出ませんでした。
読み終わって、忘れていたことに気づかされた、これはフィクションなんだと。。。
それだけわたくしには珍しく、集中して読めた本だと思う。


この作品のうまさは、主人公(犯人)視点から描いた倒叙形式を用いており、主人公の殺人に至る経緯が、是非にあらという状況を作り上げたことに尽きる。
さぁ、感情移入して下さい。 と言わんばかりの設定。
また、友達とジャレあう学校での生活、親子3人の団欒、そんな平和であたたかい日常を送る、普通の17歳の少年が一変して、人を殺す為の計画を着々と立てていく。
主人公の “明と暗” の心理や背景が綿密かつ、繊細に描写されている。
フィクションとは思えないリアリティーがあるため、読者が主人公の心理に傾倒すること間違い無しである。


若い時分は、真っ直ぐで、純粋すぎて、ちょっとした汚れもどうしようもなく排除したくなる。
主人公は心の葛藤をするまもなく、“純真” と “狂気” 背中合わせのコインを弾かれてしまった。
彼の中の純真が、狂気に転じたのだ。
落ちていくほかに術のない主人公をみているのはやるせなく、つらかった。
主人公を助けようと、友人達が涙ぐましい努力をするが、救われたのは読者であって、きっと主人公ではないはず。

難を言えば、あんな大人の雰囲気を持った、高校生っているんでしょうか?
確かに、計画的犯行を行うにはそれなりの知識を持っていないとできません。
現状はといえば短絡的、衝動的な犯罪が目立ち、精神的にも幼稚だ。
大人が生み出した高校生には限界があるようです。
主人公には親近感はわかない。
さらに安易にミステリとして発表するよりは、文芸として世に出した方が良かったような気がします。

ミステリには、犯罪を美化するような結末は似合わない。








※ これ以降ネタバレしてます。



























“こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか”

著書のオビにあったキャッチコピー、感銘を受ける文句だと思う。
客観的にみたら、本作品は本当にすばらしく思う。
しかし、手放しで喜べない部分がある。
殺人犯(犯罪者)を美化するような表現が引っ掛かるのだ。
フィクションだから。。。それでいいのか?
殺されても仕方のない人間だからいいのか?
リアリティーがあるぶん、娯楽としてのミステリとは異なり、読者が受ける影響は大きい。
特に若い世代には、主人公がアンチ・ヒーローにみえたのではないか。。。?


人を殺す動機。。。
それは、誰の為でもなく、自分の為だと思う。
家族を守るため? そんなのは罪を正当化するための盾でしかない。
だからこそ罰から逃れようとするのではないか?

ラストシーン、主人公が、最後の選択のどちらかを選んだところで、家族、友人が悲しむことは明白だ。
主人公が “沈黙” を選択したのは、やはり自分本位だと思う。
けして、罪が償われたわけではなく、
他人ではない、自分自身を殺すという罪を重ねただけにすぎない。

“人を裁く” ということは、如何なるものなのか?

神のみが許された特権とも思えるし、罰を受けるべき義務とも思える。
取り返しのつかない罪過は、どうやって贖えばいいのか。
答えのでない永久ループだ。










(  ゚_ゝ゚) { 『こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか』 どんな言葉で飾っても犯罪は、犯罪。





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