ミステリ ::: ★★★★☆
性別、年齢不詳の覆面作家・西村香を主人公にした、折原先生十八番の叙述トリック満載の短編連作集。
折原作品の短編では本作が一番のように思えました。
折原先生に限らず、大概の短編集はタイトル作品を含んだ2、3編のみ面白いものが多いのですが、本作品は全編通してクオリティが高いです。
覆面作家・西村香のファンや、編集者などの人々が西村宛に送る手紙やファックスから事件が発生します。
西村をとりまく登場人物たちは、熱狂的というよりも狂信的といったほうがいいと思えるほど、思い込みの激しすぎる人物ばかり。
突っ込み好きな方は、突っ込まずにはいられないほどのキャラ設定になっております。
その自分本位な考え方はあきれるを通り越して、笑ってしまうしかないです。
しかし、年々ストーカー事件や、道徳観念を打ち砕くほどの動機で事件が起こる現代、フィクションと笑えないところが怖いです。(´ー`)┌
ファンの勝手な行動が西村を困らせ、堪忍袋の緒が切れた彼はそのファンに向かって、 『ばか!』 、 『田舎モノ!』 、 『虫けらめ!』 などと、直球の悪口雑言で罵ります。(o゚c_,゚o) プ
もしや、作者自身も熱狂的ファンに手をやいてるのでは?
罵り方がなんとも現実味をおびていますよ。(´ー`)┌
『このような迷惑行為はやめてね。』 って、作者がファンに作品で訴え、認識してもらうとともに、それをネタに本を書いちゃったので、一石二鳥だね♪
なんて、ひねくれた妄想してしまいます。
読書好きならわかると思いますが、本作品の主人公・西村香の名前や、デビュー作品名などなど、某著名作家をパスティーシュしたものです。
主人公はわかりやすいほどの女好きなんですが、某著名作家とは関係ないことを祈ります。(´ー`)┌
また、中にはスティーブン・キングの『ミザリー』を彷彿とさせるような作品もあり、読みながらニヤニヤしてしまい、危ない人になりそうです。(o゚c_,゚o) プ
折原さんの長編にくらべ、本作品は短編ということもあり、叙述形式が複雑ではないので、中にはトリックを見抜ける作品もあります。
また、他の短編作品よりもトリックも手がこんでいるし、独特のねっとりしたエロ表現が少なめなので、初めて読む方にはお薦めできます。
※ これ以降ネタバレしてます。折原の短編ではファンレターが一番じゃないでしょうか。
『耳すます部屋』の短編がつまらなかったので、よりよく思えたのでしょうか?
連作のため、結果的に1本の長編小説を読んだかんじです。
最近の折原作品、とくに長編は叙述形式を複雑化しすぎて犬猿していたのですが、短編は複雑に出来ないため、シンプルにおいしい部分だけが凝縮されているので楽しめました。
その分、トリックが見破りやすかったですが。
笑えたのが思い込みが激しすぎて、窮地に陥る登場人物や、それに対応する主人公のセリフ。
西村香 → 北村薫 なのですが、北村作品は全く読んだことがありません。
なので、パスティーシュ作品としての楽しみは半減だったかもしれません。
( ゚_ゝ゚) { 『わたしは先生のナンバー1のファンです。』 思い込み症候群です。
テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌