::: ミステリ ::: ★★★☆☆
赤川次郎ベストレセレクション第7弾です。
すごくなつかしい作品です。
もう何度か再読した青春の一冊。
わたくしが著者の作品で好きなのは、青春ミステリとか、学園ミステリなんですよね。
特にシリーズものでない、 『死者の学園祭』、『赤いこうもり傘』、『殺人はそよ風のように』、そして本作の 『殺人よ、こんにちは』 といったような小粒でありながら、良質な作品が素晴らしいです。
著者はよくタイトルに、ことわざや名言を捩って使う場合があるのですが、本作の場合は、サガンの『悲しみよこんにちは』を捩っています。
わたくしは詳しくは無いのですが、本文中には、フランス文学の名作の名文を捩った文章もあるそうで、文学に対する著者の尊敬の念だったり、知識の深さには敬服します。
わたくしが驚いたのは、今でこそ物語で登場してくるような、娘と母親の関係というのはあってもおかしくないと思うのですが、当時のしかも男性が考えるには突拍子も無い設定だったと思う。
同じように当時の読者は、その破天荒なキャラクター性に非常に驚いたはず。
しかし、現在はそういう家庭があっても不思議でないと思えるから、やっとこ時代に追いついたというところなのでしょうね。
本作の見所というか、読み所は、なんといってもラストシーンでしょうね。
学生の頃、初めて読んだ時は衝撃を受けました。
ミステリー的にどうこうというものではないのですが、プチ・ノワールな匂いのするエンディングは新鮮かつ斬新でした。
事件は解決する、解決するが、それがハッピーエンドなのか、アン・ハッピーエンドなのか。。。とっても微妙な作品です。
※ これ以降ネタバレしてます。学生の頃、原作と漫画で読んだことがありました。
特に、漫画はビジュアルとして、今でもしっかり記憶に残っているほど印象的だった。
当時のわたくしは、殺人事件を扱ったミステリーは、必ず解決するし、すっきりした形で決着するものだと思っていたのですが、本作を読んで、そのエンディングに衝撃を覚えました。
ヒロインである有紀子が、母親の若き恋人を罠に嵌めて殺害するというラスト。
もちろんその恋人は、本作で起きる殺人事件の犯人であり、母親を始め、親友まで不幸にした、いわゆる稀代のワル(笑)なんですけどね。
さすがに有紀子は中学生の乙女ということもあり、ナイフでブスリとか、ロープでギューなんて直接的な殺し方ではなく、沖にある岩場に誘い込み、体が動かせないようにしておいて、満潮時に置き去りにするという、結構残酷な殺し方。(笑)
“ムカツクから殺した” なんて犯行の動機を語る現代のティーンと、有紀子の短絡的思考回路は理由はどうあれ同じであり、読んでいて背筋が寒くなりますよね。(´ー`)┌
ミステリとしては、赤川さんらしい奇抜なアイデアでした。
被害者と顔が似ている人間を身替わりに利用するアリバイトリックは、良かったと思いますけど、現実的に考えちゃうと、かなり強引だし無理がありますけどね。。。
それよりも、わたくしは作品全体の雰囲気がとても好きなんですよね。
アガサ・クリスティの 『地中海殺人事件』 を彷彿とさせる舞台背景に、被害者の女性が着ていたワンピースが赤だったりと、活字でありながら色彩や映像を直感的に感じさせるので、本を読んでいるというよりは、映画を観ている感覚ですね。
( ゚_ゝ゚) { 『私が、忘れないでいるからね』 復讐の誓い。。。こわっ。
テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌