Bk.108 パンドラ’Sボックス

00:58 Sat 22.12
パンドラ'S ボックス (光文社文庫)パンドラ'S ボックス (光文社文庫)
(2007/10/11)
北森 鴻

商品詳細を見る


::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


北森作品デビューです。
本当は、蓮丈那智フィールドファイルシリーズ1作目 『凶笑面』 から読みたかったのですが、文庫落ちの新刊で図書館で借りることが出来たので、お先にこの短編から読みました。
余談ですが、 『凶笑面』 は民俗学をベースにしたミステリで、わたくし好みである。
以前に、2時間ミステリとしてドラマ化され、拝見しました。
シリーズ化には至らなかったので残念でしたが。。。


借りるまで本書が短編ということを知らなかった。
個人的に短編てあまり好きじゃないんですよね。
1つの作品としての世界観に慣れてきたと思ったら、すぐに謎解きになってしまって終わる。。。
そしてまた新しい物語になるので、めまぐるしいし、やっと物語の世界に入ったと思ったら、すぐに追い出されるので、落ち着かないのですよねぇ。
それと短編ミステリで、しかも本格的なものとなると、そうそう優れた作品というのはない。
短い分だけ、伏線を張るのも難しいだろうし。
そういう意味でも、あまり期待せずに読みました。
結果はというと、 “微妙” 。。。かな?(笑)

まず、本自体の構成がいま一つ。
短編の間に、エッセイをはさみこむというものなのですが、エッセイだから仕方ないのかもしれないが、読んでいて楽しい内容ではなかった。
なんというか作家の “愚痴” っぽい内容が多い。
書くなとは言いませんが、中途半端に作品の間に入れるのではなく、エッセイとして出版した方が良いかと思う。
まぁ、著者の人気がいかほどなのか存じませんが、エッセイ単品で売れるかどうかってことと、尺が足りないという理由から、こういう形をとったのかもしれませんが。。。( ̄〜 ̄)


内容に関しては、7本の短編が収められています。
バラエティーに飛んだ作風には、驚かされました。
一般的な短編ミステリから、一人称の落語風なもの、ジュブナイル、時代ミステリと各種取り揃えているという感じ。
著者がエッセイでも書いておられますが、作家として1本立ちするまでは、編集プロダクションに席を置き、様々な内容の記事を書いてこられたそうで、そういう経験が活かされていることはよくわかる。
レパートリーの多さはすごいですよ。
しかし、逆に “個性” が失われたようにも思える。
ミステリの良し悪しは除いても、ノンシリーズの短編ですが、そのうち1本くらいしかシリーズ化しても良いかなぁと思える作品がなかった。
ミステリとして考えても、3本くらいが好みのものでした。
まぁ、短編ミステリ自体が難度が高いので、3本もあれば良い方だと思える。
キャラ専になれとは言わないが、もうちょっと魅力のあるキャラクターが描ければ嬉しいのだが。。。










※ これ以降ネタバレしてます。




























わたくし好みの作品は、
『仮面の遺書』 、 『踊る警官』 、 『鬼子母神の選択肢』 ですかね。

『仮面の遺書』 は、初っ端の作品であり、 “つかみ” としては満足がいく。
ただ、難を言えば、殺人犯が殺人の手掛かりを残すという心境は理解出来ないということ。
そういう一般ピープルの理解を超えた発想があるから、意外な真犯人が登場するのでしょうが。

『踊る警官』 は、エッセイでも書かれてましたが、一人称で書かれた落語風な作品で、あまりこういう作風は見かけないので新鮮に映りました。
また内容も犯人当てのミステリと読者をミスリードさせておき、実は、犯人の “真の目的” が落としどころだったという展開が素晴らしい。
“一度調べたところは安全” という逆転の発想にやられました。
こういうスカっとする短編ミステリを読んだのは久しぶりだったので、爽快でした。
これは是非、落語として観てみたいです。
ミステリ界では、落語を舞台にした推理小説がかなり出版されてますが、実際の落語で、ミステリを演目としてやる落語家って見たことがない。
わたくしは落語に詳しくないのですが、落語でミステリーっていうのも楽しそうだ。

『鬼子母神の選択肢』 は、ストーリーがというよりは、キャラクターに好感が持てて良かった。
お寺を舞台にしたミステリというのもこれまた新鮮でした。
これは、シリーズ化されてるんですかね?


逆に、わたくしの受けが悪かったのが、時代物ですね。。。
『無残絵の男』 、 『幇間二人羽織』 と2本もあった。
それからジュブナイル系 『ちあき電脳探偵社』 は、子供向けでありながら、あまりにもキャラが立ってないのがいただけない。
『ランチタイムの小悪魔』 は、OL向け(?)なのかわかりませんが、華がない作品でした。。。










(  ゚_ゝ゚) { 『悪人は自らの良心の呵責によって、その身を滅ぼすものや』 悪人に良心はあるのか。。。?






テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

 BLOG TOP