Bk.045 首挽村の殺人

00:09 Fri 30.05
首挽村の殺人首挽村の殺人
(2007/07)
大村 友貴美

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::: ミステリ ::: ★★☆☆☆


第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
岩手県の雪深い山村で立て続けに起こる不可解な連続猟奇殺人。
プロットは横溝ミステリらしい道具仕立て満載の作品なのだが、本家の足元にも及ばないというのが感想。
“21世紀の横溝正史だ” とか、 “横溝世界を見事に現代に甦らせた本格推理小説の誕生!” というコピーに完全に騙された。
個人的には、ここまで横溝というブランドを出すのであれば、横溝正史自身の作品だと言わんばかりの納得が出来るものであるか、横溝ミステリを彷彿とさせながらも、読者の意表を突くような展開や結末が用意されているか、のどちらかを期待してしまうが、そのどちらでもない中途半端で力量の無さを感じずにはいられない。
横溝作品にある、家やそこに住む人々のおどろおどろしいまでの怖さや怪奇性だとか、誰もが納得出きるような論理的に構築された殺人劇とは程遠く、恐ろしいというよりは、逆に笑ってしまうような2時間サスペンス止まりな作品だったのが残念。
机上の空論とでも言うのか、技術的には可能だけど、人間心理的にどうなのというような内容だったことが痛い。


いわゆる見立て殺人が本書では行われるのですが、横溝作品ではよく、手毬唄や、俳句といった短く形式的な作法にのっとったものが使われる。
これが物語りではシンプルかつ、奇怪的な連続殺人や、その殺害方法までも連想させる上でとても効果的だったと思うのだが、本作の場合、伝承民話が使われているのがよくない。
1話1話の物語が長い上に、手毬唄のように定形的でかつ連続性のある話に出来ないため、それぞれ異なったエピソードにしなければならない。
しかも、陰惨な殺人事件に見合うだけの恐ろしいストーリー性を持たせないといけないだけに、岩手のちっぽけな村に、日本中から集めたのかと思うくらいの残酷話ばかりで逆に不自然。
さらに、リアル感だとか具体性も必要になるので、本来であればミステリに深みを持たせたいはずが、創作伝承本と勘違いしそうなほど作り話に力が入り、本末転倒な作品になってしまっている。
その作り話も全く怖さを感じないんだからひどいもんである。


横溝ミステリと異なる点は、小さな村の合併や過疎、医療、産廃問題といった地方が抱える現代的かつ、社会派なテーマを取り入れているところ。
これで論理的な本格ミステリであったなら、褒められるところだが、悲しいかな2時間サスペンスっぽくなってしまっている。
寂れた田舎の寒村が持つおどろおどろしいイメージも感じられず、ミステリとしてもいまいちとなると、首挽村という村自体の設定に必然性があったのか疑問。
現代的な社会を舞台にしたミステリで良かったんじゃないかと。。。
しかし、そうなると別な問題が発生する。
キャラクターの魅力が無いということ。(´ー`)┌
登場してくる女性キャラクターの差異は全く感じられないし、主人公の医師にすら共感できない。。。

出版社の角川書店としては、本書を映画化して横溝ミステリブームの再来といきたいところだったかもしれないが、2時間ドラマで十分な内容であることは否定できない。















※ これ以降ネタバレしてます。







































本格ミステリとかいいながら、後だしで決定的なヒント出すのはずるいだろうと思えてならない。
本格と言い張るならきっちり伏線張って欲しいですね。
猟奇的かつ、因習になぞられた連続殺人。。。恐ろしいはずなんですが、恐怖感がない。
そんなものより、村を襲う巨大凶暴熊の方が現実的なだけあって怖いんじゃないですか?(笑)
何であそこまで赤熊とやらをフューチャーしたがるのか、著者の意図がよくわかりません。
熊だけでなく、マタギの話もかなりページを割いてましたしね。
たかが、伝承話の1つでしかない上に、殺人事件にさほど絡んでもいない。(´ー`)┌

1番の問題は、人間心理という点で、犯人の動機はもちろんですが、村の人々も含めてリアリティがまるでない。
この科学的な現代で、因習を頑なに信じている人がいるのはおかしいとは思いませんが、それにしても納得いかない人ばかりが多すぎる。
主人公の医師にしても、最初は好青年っぽく描いていながら、中盤あたりから急に感じ悪い人になってしまっているし、家畜どころか、人まで襲い始めている熊に対して、村民は呑気にパトロールとかやってるし。。。
極めつけが犯人である滝本の妹、瑠華の殺害動機がひどすぎる。
ちょっとした疑心暗鬼で猟奇連続殺人なんて起こすわけがないだろうに。。。
とにかく人物描写に於いては、希薄であり、嘘くさく、説得力がない。

ミステリに関しても、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットどれをとっても脆弱。
警察の捜査もわざとらしいほどに核心から遠いところから行われる。
杉医師の事件の再捜査が行われるとなった時に、彼の婚約者や、滝本の存在には全くスルーしている点は非現実的。
村で猟奇的な連続殺人が行われたら、村民の身辺調査は当然の如く行われているはずで、滝本や彼の妹について言及しないのは、どう考えても納得できない。
瑠華が犯人であるということを示す伏線も無く、犯行方法についてもあやふや。
あやふやついでに、赤熊がどうなったかもわからない。。。(´ー`)┌


横溝の名を持ち出してきただけにこの出来では、残念ながら酷評するしかないです。









(  ゚_ゝ゚) { 『これが、21世紀の横溝正史だ』 勝手に決めてもらっては困る。






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