::: ミステリ ::: ★☆☆☆☆
S&Mシリーズ第10弾にして最終巻。
あ〜、ようやっと終わったぜ。
というのが正直な感想。
最後にしてぶ厚い強敵だったが、無駄にダラダラと続けるようなシリーズでなかったことがせめてもの救いだった。(笑)
本書は、シリーズ第一作目の 『すべてがFになる(THE PERFECT INSIDER)』 の対、もしくは解答ともとれるシリーズの集大成。
全10話の連続ドラマを観ていたようなもんですね。
個人的には、忘れっぽいたちなので、こういった作品はとても苦手です。
それぞれの作品は単品として読めなくはないですが、やはり通読した方が100%楽しめると思います。
特に、本書に関しては重要なキャラクターが登場しており、一作目は必読です。
でないとチンプンカンプンですから。
単品としてみた場合、他の作品と比べてページ数が多いくせにミステリとしての部分が脆弱過ぎる。
ミステリ? トリック? 何それ? みたいな開き直り感があからさまだ。(笑)
本当に理系ミステリなのかと疑うほど、土ワイ的解決にイカリングである。
専門用語をチラつかせおけばどうにかなると思っていたら、本格好きをなめてますね。。。
シリーズの集大成としてみても、完結するにはいろいろと片付いてない問題があり中途半端。
犀川と真賀田博士のどうでもいい哲学風の会話だけで成り立っている作品としかいいようがない。
本来であれば使い捨てになるはずのキャラクターに、著者が肩入れし過ぎたための強引な展開に幕引きという印象がぬぐえない。
シリーズとしては星2つ、単品としては星1つな作品。
やっと、シリーズ完結でホッとしたのも束の間、新シリーズの数冊を過去に買っていたわたくし。。。
まだまだ、森作品とは縁が切れないようだ。。。(つд`)
※ これ以降ネタバレしてます。結局のところ、本シリーズのキーポイントは、 “天才” だったということなのか。
真の天才とはなんぞやがテーマだったような気がします。
巷で天才、天才と騒がれるありふれた人達を犀川と萌絵(計算バカ)とするならば、真の天才は、真賀田博士ということなんでしょうが。。。
たった五十人のスタッフを動かすだけで、現存するどんなマシンにも実現できない非現実を被験者に体感させることができる。
その事実こそ、彼らが確証したかった対象です。
こんなアホな動機で殺人事件を起こす人間を果たして天才と呼べるだろうか。
凡人が理解できない動機で起こす殺人だから天才とも思えなくないが、警察に捕まらないように、姑息で見苦しい工作までするのはどうなのか?
犯罪を犯罪と認識しているコソ泥とどう違うというのか?
どう見ても普通の人という印象がぬぐえない。
コンピューターの世界の創造主だからか?
所詮、人間が作ったもんの世界ですけど。
そんなもんで天才よばわりは、IQという人間が決めた数値で天才と言われる輩と変わらんが。。。
どの辺が天才なんですかね?
天才という定義すらよくわかりませんけど、本書では、人間性を持たない人間が天才としていたようですが。
人間性というのも逆説的な意味と理解しましたが。。。
あくまでもわたくしがそう理解しただけなので、とんちんかんな勘違いしてる可能性大。(笑)
とにもかくにも “天才” というのをフィクションで創造することがいかに難しいかということだけはわかった気がする。
IQがいくつとか、計算が速いとかという指標だけで天才と思わせるのはあまりにもあさはかな手段だし。
凡人には百年かかってもできないような発想や、発明だとかがなされないと説得力に欠けるし。
こういうと、天才は説得しようとは思ってないとかへ理屈こねそうですよね。(笑)
万事がこうだから取りつくしまがない。
犀川と真賀田博士の論理は、まるで駄々っ子の幼稚な言い草としか思えないのはわたくしがバカだからなのだろうか。
そもそも、彼らが天才でなくてもミステリはできるし、物語に何ら影響が無いのが問題なんですよね。
犀川の研究や、萌絵の計算が事件解決の役に立ったかな?
“天才” という肩書は単なるキャラクター性を作るための要素でしかない。
それが物語や事件に活用されてるんだったらわからないでもないが。。。
単に、会話の中でしか成立していない “天才” というのは安っぽく感じる。
哲学的で詩的、洒落た会話で表現するしか天才性を引き出せないとなると、ひねくれ者のわたくしには、知性のひけらかしとしか思えん。
所詮、凡人が書いた小説に登場する人物は凡人ということか。
これまでのシリーズ作品の例からいくと、不可能な密室殺人事件が起こり、犀川と萌絵が事件を解決するというパターンだが、今回に限り萌絵は何がしたかったのかよくわからない。
終始、気絶してばかりという印象しかない。(笑)
むしろ邪魔。
メインが真賀田博士だから仕方ないのかもしれないが、彼女の出番はほとんどないに等しい。
犀川と真賀田博士の二人の世界という感じで、萌絵はおいてきぼり状態。
さすがの計算バカも、ヒロインの影すらない。(笑)
最終巻でありながら、犀川と萌絵の精神的な問題も未解決でとっちらかしたまんま。
犀川と真賀田博士の宇宙人同士のわけのわからん会話に、萌絵達友人同士の雑談ばかりの井戸端会議とか。。。
無駄な会話ばかりが目立つ作品でした。
( ゚_ゝ゚) { 『わからない、という感情。これが、あらゆる感情の中で、最も知的で、最も人間的なものだよ。』 天才らしからぬ普通の意見。