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訪問者訪問者
(2009/05/14)
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有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER (講談社文庫)有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER (講談社文庫)
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静かな町の夕暮に (徳間文庫 あ 1-47)静かな町の夕暮に (徳間文庫 あ 1-47)
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『ギロチン城』殺人事件 (講談社文庫)『ギロチン城』殺人事件 (講談社文庫)
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密室の如き籠るもの (講談社ノベルス ミG-)密室の如き籠るもの (講談社ノベルス ミG-)
(2009/04/07)
三津田 信三

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ナイチンゲールの沈黙ナイチンゲールの沈黙
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海堂 尊

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ジェネラル・ルージュの凱旋ジェネラル・ルージュの凱旋
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ブラックペアン1988ブラックペアン1988
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海堂 尊

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治療島治療島
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QED 竹取伝説 (講談社文庫)QED 竹取伝説 (講談社文庫)
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罪と罰〈上〉 罪と罰〈上〉
ドストエフスキー (1999/11)
岩波書店
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罪と罰〈中〉 罪と罰〈中〉
ドストエフスキー (1999/12)
岩波書店
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罪と罰〈下〉 罪と罰〈下〉
ドストエフスキー (2000/02)
岩波書店
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贖罪 (ミステリ・フロンティア)贖罪 (ミステリ・フロンティア)
(2009/06/11)
湊 かなえ

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::: ミステリ ::: ★☆☆☆☆


著者のイヤミス・シリーズ(笑)、もしくは、因果応報シリーズ(笑)第三弾です。
勝手にシリーズ名つけてみました。(´ー`)┌

デビュー作の 『告白』 、二作目 『少女』 と読んできましたが、三作目にして化けの皮がはがれつつある気がする。
『告白』 では、子供特有の無意識で残酷な仕打ちに対する大人の復讐劇であり、あまりにも衝撃的な内容だったため、二作目への期待が大きかった。
その二作目、 『少女』 では、女子高生という清純なイメージの仮面の裏側にある、無邪気でどす黒い悪意を淡々と描きつつ、二人の女子高生の成長を追っていく青春小説という変化球を投げてきた。
見事に読者の裏をかいた、まさかの戦略にはやられました。
そうなってくると、ますますもって次回作への期待度が膨らむといもの。
しかし、残念ながらその期待は大きくはずれることとなる。

作品のタイプ的には、 『告白』 に酷似しているせいか、新鮮さが全くなく、工夫も捻りがない。
内容としても、 『告白』 同様にある殺人事件を巡る関係者数人の証言や、その後の人生を関係者自身が独白で語る、羅生門形式である。
新商品と言いながら、中身はパッケージを変えただけという感じ。

ミステリとして見た場合も、 『少女』 のように構成がよく練られて、ジグゾー・パズルのピースが、全てピタリとおさまるところにおさまった、すっきりとした爽快感を感じられるような、見事な伏線さばきが本書では影をひそめている。

サスペンス性の高い 『告白』 や 本格ミステリの手法で描かれた 『少女』 と比べてしまうと、どちらにも及ばずで、かなり見劣りがする。
安物を高く売りつけられたような失望感だけが残る。












※ これ以降ネタバレしてます。






































作品を増すごとに、登場人物達の描写が非現実的になっていくのは思いすごしでしょうか?(笑)
本書の登場人物達は、そろいもそろって尋常じゃない。
まともな人間じゃ無さすぎ。(笑)
キ印一歩手前といった感じ。
要通院ですね。
彼らの異常なまでの思い込みの激しさは、もはやギャグとしてみないとついていけない。
また、登場人物達が、小学生の頃に、同級生が性的な暴行を受けて殺害されるという事件を経験するのだが、洟垂れ小僧のガキが、冷静に当時の状況や、自己や他人の心理を理解、分析できるとは思えないんですよね。
まるで、心理学の教授並みでリアル感を損なう。
設定にしても、人物描写にしても、さすがエンタメ系の作家らしい、インパクトだけの現実離れした作品であることは間違いない。
これが、文芸系に強い桜庭一樹となると話は違うんでしょうけどね。。。(´ー`)┌

それと一番気になったのが、過激さを求め過ぎてないですかね?
世間のせいですか? 編集者のせいですか? 誰が求めてるのかわかりませんが、やり過ぎだし、軽く遊んでいる感じさえ受けるので、イメージが悪すぎる。(´〜`)
とくに本書は、性的異常者や性犯罪、女性の性的な部分を深く描いているのだが、かなり生々しくエグい。
それだけならまだましなのだが、それを物語に利用してますという感じがあからさま。
フォローがないので、性的な現象(?)を弄んでいるように思えてならず、乾くるみの 『Jの神話』 の再来かと。。。(笑)
不謹慎なマイナス・イメージしか持てません。

これで次回作を期待しろというのも無理な話。
このままフェードアウトしていくか、はやくも正念場ですな。。。


これまでの三作品はどれも、 “因果応報” という一貫したテーマがある。
本書ではそれが如実に現れた作品に思う。
因果は回るよどこまでも、ですね。
お嬢様の身勝手なふるまいが、深い恨みを買い、巡り巡って、自分の娘の命で贖う羽目に。。。
人生を掛けた壮大な復讐と贖罪。
っつか、結果的に、贖罪になってないところが、とんちんかんなお嬢様たる所以でしょうか。(笑)










(  ゚_ゝ゚) { 『ヒト科のメスとして欠陥があります。』 女性陣に反感買いそうなセリフですね。








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そして誰かいなくなった (徳間文庫)そして誰かいなくなった (徳間文庫)
(2009/05/01)
夏樹 静子

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そして誰かいなくなった (講談社文庫)そして誰かいなくなった (講談社文庫)
(1991/07)
夏樹 静子

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::: サスペンス・ミステリ ::: ★★★☆☆


1988年の作品。
言うまでもなくアガサ・クリスティ原作 『そして誰もいなくなった』 のパスティーシュである。
著者の代表的な作品としては、エラリー・クイーンへのオマージュとして捧げた 『Wの悲劇』 も有名ですね。

わたくしは1988年当時、講談社より刊行された単行版で読んで、すごく面白かったという印象があり、忘れっぽいわたくしとしては珍しく、ずっと忘れずに記憶に残っていた作品。
今回、徳間書店から文庫版として新装刊されたので、なつかしく思い再読しました。


当時は、本家の 『そして誰もいなくなった』 は既に読了しており、本書においてはトリックを見破ってやろうという気持ちよりも、パロディ本として楽しんで読んでいたせいか、あまり内容に対してどうこうとダメ出し的な感想は抱いていなかった。
しかし、再読してみると少なからず物足りなさは感じましたね。

生真面目にパスティーシュしているという印象を受けました。
それは本家に対する誠実さを充分に感じるのですが、ミステリの面白さの1つでもある“遊び心”に若干欠ける。
“嵐の孤島” と化した海上のヨットで、1人また1人と殺人が行われていくのですが、その状況も機械的で単調。
致命的なのがサスペンス性が著しく欠ける点。
プロットにしても、 『そして誰もいなくなった』 と 『オリエント急行の殺人』 を足して割ったようなもので、ミステリの肝は全て、本家名作のいいとこ取りという感じが否めない。
せめて半分くらいはオリジナリティがないと、オチが簡単にわかってしまう。

ただ、ラストのどんでん返しに関しては、ヒロイン視点で読まされていた分、救いがあるが、いずれ告げられるであろうある “企み” の失敗という余韻を残したラストは非常に印象的である。



赤川次郎の作品なんかもそうですが、昔読んだ本を年齢を重ねてから改めて読むと、客観的に冷めた視点で読んでしまうせいか、かなり色褪せてみえてしまう。
若い時分に読んでいた本は、何の先入観も、抵抗感もなく素直に読んでいたんだなぁと改めて思いました。
やはり、ミステリでも純文学でも、名作は感受性のするどい若い時期に読んでおくべきと思いました。














※ これ以降ネタバレしてます。









































アガサ・クリスティの 『そして誰もいなくなった』 の小説を真似て殺人を重ねる真犯人は誰なのか?
パスティーシュ作品なだけに、ラストの数十ページを読むだけで真相が明らかになるのだが、わかっていながらジリジリとした気持ちで、最初から丹念に読むというのは、かなりストレスありますね。(笑)
これが赤川次郎のように、映画的(視覚的)な手法を用いたストーリーテラーな作家だと、サスペンス性も高く、ページを捲るのも楽しみというもの。
しかし、真面目な著者の小説は、とにかく読む時間の流れが遅く感じる。
読みづらい文章や表現でもないのだが、やはり、エンターテインメント性が低いのでしょうか。
主人公が1人生き残るまでが単調でいまひとつ。
本家を読んでいるだけに、とりあえず、みんな死なないと話が進まない(笑)であろうことは明白なので、ストレス溜まりましたね。(笑)


本書は、 『そして誰もいなくなった』 をベースにした、 『オリエント急行の殺人』 な結末といったところ。
大型ヨットで沖縄へ向う旅(クルージング)に集められた7人。
このクルージングの目的は、物語の語り役として登場するヒロイン・桶谷遥を自殺に追い込むことにあった。
つまり、遥を除く全員が主犯であり共犯者だったという設定。
動機は、遥の父親が経営するホテルでの火災事故にあった。
杜撰な経営方針、違法建築による人災で30人もの人間が死亡した。
6人はこの事故の被災者の遺族や関係者だった。
彼らはその恨みを晴らすべく、人芝居をうち、間接的な手段(自殺という形)で遥を殺害しようと企む。
何者かによって殺害されたかのようにみえた5人は、死んだふりをしていたというだけのこと。
海上で孤立するヨットで、生きる希望を失った遥は、海へと飛び込み自殺を試みる。。。
遥が自殺を遂げたことに祝杯をあげる6人だが、奇跡的に遥は救出されていたというどんでん返しが待っている。。。


遥1人が船上にとり残されてからが、本書の面白さが発揮される。
本家の名作である 『そして誰もいなくなった』 、 『オリエント急行の殺人』 を知らないという方にとっては、それまでの過程は充分に楽しめると思われるが、そうでない方には退屈かもしれませんね。
わたくしは本書の再読でもあるので、ストレスを感じるほど退屈でした。(笑)
しかし、今更ながらですが、タイトルのつけ方と、事件の顛末がピッタリとマッチしている点や、ラストのどんでん返しは非常に上手いなぁと思います。
“誰も” と “誰か” というちょっとした言葉の違いで、物語の結末までも変えてしまえる、言葉遊びともいえる発想は面白い。
また、ヒロインを語り手にすることで、読み手に感情移入させることに成功している上、本家にはないラストのどんでん返しが生きてくる。
自殺したと思われていた遥が奇跡的に生きていたことへの安堵感の反面、復讐を達成したと思っていた6人の、その後の暗い運命を想像させるだけの余韻を持たせている結末は秀逸。


物語の根底には、犯罪者に対する制裁というテーマがあり、人災によって奪われた命に対する犯罪者への制裁は、被害者関係者自らが裁判官となって断罪している。
しかも、大切な人を奪われる苦しみを、犯罪者にも身をもって味わせるというわかりやすい手段を用いている。
人の命を奪った者は、自らの命で償うのが当然であろうという、法という客観性を度外視した国民的な感情を強く感じます。
2009年から国民参加が義務化される裁判員制度を考慮した一冊ということでしょうか。










(  ゚_ゝ゚) { 『信じられるのは死者だけ・・・』 そうとも限らない。(笑)








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猫島ハウスの騒動 (光文社文庫)猫島ハウスの騒動 (光文社文庫)
(2009/05/12)
若竹 七海

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猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)
(2006/07/21)
若竹 七海

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::: コージー・ミステリ ::: ★☆☆☆☆


( ̄〜 ̄)ううん。。。これは肌に合わないと断言しちゃっても良さそうだなぁ。
これまで数冊ほど著者の作品を読んできましたけど、面白いと思ったことがない。
嵐という状況下で起きる殺人事件を描いた 『火天風神』 は、まぁまぁだったんですが、コージー・ミステリはどうもよろしくない。
ホラーも書く方なので、すごい器用な作家ではあるのですが。。。


本書は、葉崎半島という架空の地域を舞台にした “葉崎シリーズ” の第三弾。
『ヴィラ・マグノリアの殺人』 、 『古書店アゼリアの死体』 に登場してきた駒持警部補が殺人事件の謎を追います。
今回の舞台は、葉崎半島の先に位置する、島民30人と猫100匹が暮らす観光地、通称・猫島。
そこで、殺人事件が起き、台風の襲来ですったもんだになるというコージー・ミステリ。
殺人事件は起きますが、読後感は良いということでジャンル的には、コージー・ミステリになるのでしょう。

著者の文章の秀麗さに加え、ちょっとしたバカンス気分が味わえるような演出・表現力の上手さは非常に伝わるのだが、如何せん、のらりくらりとのんびりモードでミステリを味わうような性分ではないわたくし。(´ー`)┌
かったるいったらありゃしない。(笑)
猫島の環境を始め、登場人物達の設定どれをとっても、女性らしさが滲み出るほどきめ細かく、綿密な設定の元成り立っている作品である。
それが悪いわけではないが、正直、そんなのどうでもよかったりする。(笑)
そこまで細かくなくてもいいよな設定。
キャラが立ってるシリーズものなら、逆にチマチマやってくれと思うところだが、それよりは肝心のミステリ部分をもっと濃密に描いて欲しい。
そこを楽しみに読むわたくしにとって、七面倒な細かいいらん描写にイライラしっぱなし。(笑)
事件の展開も、読むペースもなかなか先に進まない。

事件解決にしても、かなり刑事の想像に頼ったものばかりだし、魅力的な謎(殺人)でもなく、そんな解決を知りたいがために、ムダに390ページも読まされたのかとガックリです。(´ー`)┌
そんなミステリとしては、ワクワクハラハラドキドキ0%の無味無臭だが、ソフトなコージー・ミステリの中で、チクりとする毒を孕んだ著者の人間描写は光ります。

猫好きと、バカンス気分を味わいたい、もしくは、リラックスした旅行先で読む本をお探しの方にはピッタリかもしれないですね。







(  ゚_ゝ゚) { 『ハゲと水虫は警察官の職業病でしょ。』 やな職病病だな。。。










パラドックス13パラドックス13
(2009/04/15)
東野 圭吾

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::: SF・パニック・ドラマ ::: ★★☆☆☆


ミステリ作家が、突如としてSF作家に転身か。。。? と思うほど近年の著者の奇行の波はすさまじい。(笑)
ちょっと前は官能小説っぽいの書いてたりと、自身の可能性のあくなき追及ってやつでしょうか。。。( ̄〜 ̄)
俺にはいろんな引き出しがあるぜ、ってな事を主張したいのか?
それともビッグネームな作家になったから、そろそろ遣っ付け仕事で儲けて楽して暮らそうという腹なのか。。。?
まぁ、私的には野心家なお方だと思うので、こんなことあんなことやってみたいお年ごろなんでしょうね。(´ー`)┌


本書は、とある日の13時13分からの13秒間、“P−13現象”に地球全体が飲み込まれる。
その時、過酷な環境下のパラレルワールドに飛ばされ、そこで必至に生き延びようとする人々を描いた作品。

SF的観念のパニック小説であるが、全体的に意外性とか、斬新さというものはない。
先行作品である 『漂流教室』 、 『ドラゴンヘッド』 、 『戦国自衛隊』 、 『日本沈没』 などなど、極限状態に置かれた人々の言動、心理、物語の結末、どれをとっても先行作品の域をでない類型的な内容。
超売れっ子の著者の作品であれば、こんなのでも売れてしまうのだろうが、私的には、既製品にちょっとだけ手を加えて、新製品として売り出すような印象が拭えない。
何とも楽チンなお仕事である。(´ー`)┌

しかし、ストーリーテラーな著者だけあって、序盤からグイグイと読ませるのはさすが。
SF苦手のわたくしでも抵抗感なく読める。
ただ、大地震や火災、洪水といった災害シーンが単調であり、その繰り返しが続く上、食糧問題や、疾病等、いわゆる災害時に予想されるあらゆる問題を提示し、解決していくための災害対策としての要素が目立ち、SF小説というよりは、かなり現実的な災害対策マニュアルという印象。
それは想定内なんでしょうね。
荒唐無稽なSFではなく、東野流災害対策マニュアルという現実性を加味した作品。
それと、著者自身が語っている通り、

「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。」


これが最大のテーマなんでしょうね。
本来人間が持つ生き延びようとする本能や、人間らしさたるその本質といった根源的なものから、食料事情、老人福祉の問題、生死に対する希薄さといった現代人の志向や生活について、法の秩序(理性)が壊れた極限状態(原始的)の中で探っていこうというのが主旨なのかと思う。














※ これ以降ネタバレしてます。







































手馴れてないSFにチャレンジしたせいか、かなり突っ込みどころが多かった本書。
そもそも“P−13現象”自体がどういう現象で起こるのかわからないのに、それがいつやってきて、どういった影響を及ぼすか、といったことが思った以上に詳細に解明されている点が謎。
だって、現代だって地震がいつどこでどれくらいの規模で起きるかってことが特定できないのに、何で宇宙規模のことがわかんだよって思えてならない。

それと、リーダー的存在だった誠哉が、後半でいきなりの “イヴ発言” には大爆笑。
っていうか、物語として興醒めです。(´ー`)┌
完全にTPOをわきまえてない発言ですよ。
子作りのまえに、現状を生き抜くことが最優先なのに気が早いよ。(笑)
誠哉の “壮大な未来計画” には呆れるばかり。
エリートはこれだからダメだ。
何でもかんでも合理的に事が運ぶと思っている。(´ー`)┌
結局、この人たいそうなこと言っていても、自分自身が生き残りたいっていう本能だけに突き動かされているだけなんですよ。
登場人物の設定にしても、お約束通り、ひと悶着ありありの人選で女性陣は若い女性ばかり。
都合の良い設定ですね。

SF小説を真面目に書こうという気がさらさらないということだけは伝わる。
あくまでも、ある現象から発生した極限状態の中で、モラルも法も崩壊した世界を生き延びつつ、人間の根源的な問題(善悪など)を問う人々を描いた人間ドラマなんでしょうね。




“P−13現象”
結局のところ何だかわからない現象だが、数学的不連続性に深くかかわっている。
数学的不連続性とやらも何が何だかだが。(笑)
要は、動物(人間の)の知性は予測不可能ということらしい。
なるほど、人間を作った完璧な神様でもそこは予想できなかったらしい。(笑)
自然の摂理に背いて、勝手に動き回る人間共に、神様はきっと手を焼いているはず。
しかし、この“P−13現象”は、そんなバカな人間共に与えた神様の試練と考えられなくもない。
「天は自ら助くる者を助ける」 という誠哉の宗教的な言葉が印象的だった。
汝、みだらに神の名を口にするなかれですね。
自分が出来る最大限の努力をしたものには救いがある。
再びやってきた“P−13現象”に、必至に生き延びて迎えることが出来た者だけが、現実の世界に戻れたわけです。

でも、誠哉は何故死ぬ運命だったのか。。。疑問だったりする。
誰よりも生に執着していたと思うのだが。
ただ、生き残れた冬樹や明日香、菜々美などと比べて、明らかに違う点がある。
それは、自分が生き残る為には手段を問わないという野心的な計算が働く傲慢さ。
この傲慢さで誠哉は女性陣から総スカン食ったわけです。
神様が篩いにかける選択肢の1つには、 “人間らしさを捨てた者” があったと思えてならない。
自分の心に正直に、ひたすら無垢に行動していた者には神様の救いがあった。
物語での冬樹や明日香の行動に、読者はバカだなぁと何度も思った人も多いと思う。
このバカなとも思える彼らの言動は、現代で生きる私たちが持つ “人間らしさ” の葛藤である。
いわゆる “損な生き方” の代表。
無垢とバカは紙一重なのかもしれん。
しかし、そのバカな部分を神様は無性に愛しているのだと思えてならない。










(  ゚_ゝ゚) { 『この世界は、パラドックスの辻褄合わせのために作られた。』 神様の愛のムチ。









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